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スマホ向けMOBA『Vainglory』配信開始 難しい、だから面白い

2015年04月08日 23時15分更新

 本日4月8日、iOS用のMOBA(マルチプレイヤーオンラインバトルアリーナ)系タイトル『Vainglory』の日本配信開始を記念して、イベントが行なわれた。Vaingloryについてはこちらの記事をご覧ください。

Vainglory
↑右から司会のStanSmith氏、Bo Daly CEO、対戦に参加した同社の女性スタッフ、AppBank GameFighter氏、Kristain Sergerstrale COO。

  開発元のSuper Evil Megacorpから、Bo Daly CEOやKristain Sergerstrale COOも来日。本作はRockstar GamesやRiot Games、Blizzard Entertainmenntといった名だたるメーカーの出身の開発者が手がけている。以前の記事でも述べたとおり、AppleのキーノートでiOS8のMetal APIが活用されているゲームとしてお披露目された。

■ スマホゲーム史上、観戦していてもっとも面白いタイトル

 “MOBA”というジャンルにピンとくる人は多くはないだろう。基本的には敵チームの拠点を破壊すれば勝ち、という対戦ゲームだ。

 MOBAはよく“アクションと戦略とRPG要素がひとつになったゲーム”と表現されることが多いが、そのシステムを解説して面白さを伝えるのは難しい。

 では魅力は何なのか。

 ゲーム画面の向こうに相手がいて、その感情が伝わってくる“対人戦”であることだ。当たり前のことだが、負ければくやしいし、勝てば嬉しい。プレイ人口が多いだけでなく、動画投稿が多いのも、そのプレイヤーの感情の揺れ動きが観ていて面白いからのだろう。Sergerstrale氏も「観戦モードの要望がとても多かった」というように、TwitchやYouTubeの実況プレイ動画だけでなく、ゲーム内にも観戦する機能がある。

 チームになって人と人が対戦するゲームだからこそ、同氏は「ほとんどのMOBA系ゲームはマネタイズを重視している。私達はまずユーザーコミュニティーの活性化を考えたい」と述べた。PC用MOBAよりも、思い立ったら友達やプレイヤーと会って遊ぶのが容易なので、リアルな繋がりで生まれるコミュニティーもゲームの成長に必要だ。

  イベントでは、観戦することと集まって遊ぶ楽しさをアピールするかのように、Super Evil MegacorpチームとAppBankチームによる3対3のエキシビジョンマッチが行なわれた。

Vainglory
↑後ろのモニターにはゲーム内の観戦モードの映像が映っている。

 個人的にPC用『League of Ledgends』を観戦することが多い私でも、なにか新しいPC用MOBAを観ているのか錯覚するくらいにクオリティーが高い。グラフィックが良いということではなく、タッチだけでPC用MOBAのようによどみなくアクションができ、そこでなにかが起こっていることがリアルタイムで伝わり、緊張感もライトなゲームにはない感覚だったからだ。

Vainglory
↑観戦モードでは、マップ上で何が起こっているのか好きな場所を指定して観られる。両陣営のヒーローの装備や取得したゴールドなど、様々な情報を確認できる。

 MOBA好きのゲーマー向けの話にはなってしまうが、他のMOBAと比べて、“レーンよりジャングル重視”と感じた。例えば、プレイ開始後15分で敵タワーを圧倒的なスピードで破壊する“クラーケン”が沸くことや、ジャングル内ショップがあってそこでバトルが生まれることなどだ。もちろん、ほかのゲームだと3レーンあるところ、1レーンしかないうえに味方も3人なため、ゴールドを稼ぐにはジャングルに入ったほうが効率的なのだろう。

Vainglory
↑クラーケンを倒したあとはボキボキと敵のタワーを破壊してくれる。

 MOBA系ではゴールド差がつくと装備の差が生まれ、キルが獲りやすくなり、さらにゴールドが稼ぎやすくなり……、序盤に差が付いたら取り戻すのが難しいゲームだ。それでやる気を失ってしまうこともしばしば。Vaingloryでも基本的には変わらないのだが、ジャングルのモンスターから得られるゴールドが多いシステムになっているようだ。実際に7キル以上差が付いて負けている状況でも集団戦で勝利したり、最終局面ではゴールド差がほぼなくなって、ミスがなければどちらに勝つかわからない状況だった。

■ モバイル端末向けだが据え置きふうに遊ぶゲーム

 “本格的”をウリにするスマホ用ゲームはよくあるが、このVaingloryは“本格的すぎる”ゲームだ。

 PVで机にタブレットを置いて一心不乱にタッチしているシーンがあるが、細かく移動地点を指定する必要があるのでどうしてもそうなる。Ping(通信ラグ)の影響が大きいのでWiFi接続のほうが良いし、1ゲームに20分ほどかかるのでじっくりと遊べるスペースが必要だ。プレイヤー自身も、操作できるヒーローが多いので、相手のヒーローに対する知識や理解度、操作テクニックが必要だ。

 課金システムは基本プレイ無料で、毎週変わる無料ヒーローをいつでも使いたければキャラを購入する形式。ずっと無料で遊ぶことも可能だが、強くなるためというより、ゲームをより理解するためには購入したほうがよいだろう。

 Vaingloryはモバイル端末用のアプリとして配信されているが、実は“据え置きゲーム機ふう”に遊ぶゲームとしてとらえるべきだろう。その善し悪しはプレイヤーの好みとしか言いようがない。しかし、モバイル端末をゲーム機としてほかの据え置き機と同列に並べられるほどの、価値とクオリティーをもつタイトルが登場したインパクトがある。

Vainglory
↑開発チームがプレイしている様子。基本的にはこのようにテーブルに置いてプレイすることになるだろう。

 『モンスターストライク』の大ヒットで、スマホゲームにはマルチプレイシステムが必須とされている昨今だが、Vaingloryも下記PVのように集まって遊ぶことが容易に想像できるし、大げさではなくチームメイトと顔を合わせて遊べば盛り上がる。

  これだけ並べてみると、なんだか敷居が高いゲームだな、と感じると思う。実際にライトなゲームではない。面白いと感じるまで時間がかかるだろう。だからこそ、ぜひ観戦して、仲間で対戦してほしい。格ゲーでアツくなったあの感覚が甦るはずだ。スマホゲームにもの足りなさを感じているのであれば間違いないタイトルだ。

『Vainglory(ベイングローリー)』
●Super Evil Megacorp ●無料(ゲーム内課金あり)
●動作端末 iPad Air、Retina ディスプレイ iPad mini、Retina ディスプレイ iPad、iPad 2(30+fps)、iPhone 5s、iPhone 6、iPhone 6 Plus
●対応OS iOS 6.1以上(iPad)、iOS 8.0(iPhone)、Android版はクローズドベータテスト中

(C) 2014 SUPER EVIL MEGACORP. ALL RIGHTS RESERVED. 

■関連サイト
Super Evil Megacorp 公式サイト
Vainglory 公式サイト

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