週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

全身写真をグリグリ触って動かせるヤフー新技術の“疑似3D画像”を体験してきた

2015年04月09日 10時00分更新

 ECサービス『Yahoo!ショッピング』では、ただ今特集ページ『春のファッショントレンドアイテム』にて、左右の多方向から立体的にモデルの写真を見られる“疑似3D画像”を掲載中。
 画像を回転させてモデルのファッションコーディネートを立体的な質感で見られ、さらにターンテーブルとは異なり背景となっているショップの雰囲気まで楽しめます。

『Yahoo!ショッピング』で新技術による“疑似3D画像”を掲載中

疑似3D画像
写真をマウスでタッチ。タッチディスプレイの場合は直接タップできる。
疑似3D画像
回転させるような感覚で、画像が立体的に動く。
疑似3D画像

 この“疑似3D画像”の画像処理技術はヤフー独自のもので、ただ今特許申請中。

 グリグリ動く写真だからずいぶん撮影に手間がかかるだろうと思いませんか。実際には、特別な機材も必要なく、コツを抑えれば誰でも簡単に撮影自体はできるため、今後本格導入するときには各自ショップが写真を準備する流れを予定しているということです。
 どれだけ撮影が簡単なのでしょうか? 記者ナベコがヤフーに突撃して実際に“疑似3D画像”になってきました。

セクシーポーズ(?)で“疑似3D画像”になってきた

疑似3D画像

 まずはポージング。この状態で写真撮影の間、静止します。片足あげた状態ですが、はたしてしっかり止まっていられるでしょうか。

疑似3D画像

 使用するのは一般的なカメラ。機種などに制約は特にありません。

疑似3D画像

 モデル(私)を中心に、撮影する人が円状に1、2歩ずつ移動。180度を回りながら15度に1枚程度の感覚で写真を撮影していきます。

疑似3D画像


 

疑似3D画像

 この間、数分。
 さすがにグラ~っとしてしまい、途中で足をついてしまいました。はぁ、はぁ。
 実際にはわざわざ足をあげたポーズをとらなくても良いので、ファッションモデルさんにとって数分間のポージングはちっとも問題ないでしょう。

疑似3D画像
実際にはこちらのポーズで撮ってもらった写真を使用しました。片足上げはキツかった……。

 あまりに動いてしまったので、二度目は両足をしっかりついて手を銃ふうに構えたスパイふうのポーズで再撮影。

 今回の撮影では、壁を背景に14枚程度撮ってもらいました。実際の撮影では細かく20枚~30枚程度撮っておいて、後ほど不要なカットを省くことができます。一瞬目をつぶってしまっても大丈夫!

疑似3D画像

 SDカードをPCで読み込んで、画像処理。簡易的に画像を圧縮したもので処理してもらったため、この間ものの2、3分程度。“疑似3D画像”かなりスピーディーです。

疑似3D画像

 画面の左側が、複数の静止画をつないだだけのカクカクした動きのもの。右側が、それらを独自技術でなめらかに補正した“疑似3D画像”になります。
 動画でご確認ください。

 どうですか!? プロのモデルではないので、静止しているつもりでもけっこう動いてしまったのですが、それでもヌルッと滑らかに動く立体画像になりました。記者は自分の写真がグリグリ動かせるようになってびっくりです。

疑似3D画像

 ファッションの紹介で使用すると、例えば背中側のデザインもカットを変えることなく見せることができます。角度によって印象が変わる服装を紹介するときには特に便利な手法でしょう。また、背景も映り込むことで、ショップの雰囲気や世界観を存分に表現できます。

 この“疑似3D画像”を掲載した特集ページは3月12日にスタートしていますが、すでにここで紹介している商品のコンバージョンが通常よりも高くなっており、特にスマートフォンユーザーからの反応が良いことがわかっています。スマホだと写真に直接触れているようにタッチ操作で画像を動かせるので、「おもしろい感覚」と評判のようです。

 今回、この新技術の開発にあたった、ヤフーの陳鼎さんと鈴木雄太さんにお話をお聞きすることができました。

疑似3D画像
(写真左から)Yahoo! JAPAN研究所 陳鼎さん、先端技術応用室 鈴木雄太さん

 『Yahoo!ショッピング』のファッションカテゴリーでは、実店舗をもたないプライベートブランドのショップが多く、そのため実物のシルエットや雰囲気をよりリアルにサイト上で伝えたいという背景があり、導入することになった今回の“疑似3D画像”。下地となる基礎技術の研究はずっとやっており、2014年の10月から本企画のために本格的に開発をスタートしました。

 今回の技術は、複数の静止画をつなげたときにガタガタしてしまう部分を滑らかに補正しているのですが、コンピュータービジョンという技術で、パノラマ撮影時の画像補正に近いイメージです。

 ファッションを立体的に見せる手法として近いものは、ターンテーブルと3Dスキャナーがあります。ターンテーブルの場合は、場所が限定されてしまう上に、背景がなく対象物だけが回転しているため、非現実的な印象になりがちです。“疑似3D画像”では、映り込んでいる背景(壁)との視差により立体感が出て、より存在感が際立ちます。背景として映り込むショップの雰囲気を見せることができるのもメリットですね。

 3Dスキャンの場合には専用の機材が必要ですが、“疑似3D画像”に必要なものは一般的なカメラだけです。今回はトライアルとして撮影時にヤフーのスタッフが立ち会いましたが、本格的に運用するときには、撮影は各ショップが行なって、その写真を処理するサービスをヤフーが行なうといった流れを予定しています。

 実際に、ショップの人にも撮影を試してもらいましたが、通常はショップのほうにも専用のカメラマンや写真に詳しい人がいるのがほとんどなので、スムーズに撮影してもらえました。モデルのまわりを移動しながら撮るだけで、撮影自体は通常のものと変わりませんので。

 スマートフォンで撮影した写真でも技術的に問題ないのですが、ほとんどのショップがある程度本格的な撮影設備をもっているため、基本的にはカメラでと考えています。撮影する場所も選ばないので、屋外でのスナップふうの写真にも応用できると思います。

 ECサイトの商品紹介画像は、通常は静止画。多角的にポイントを見せたい場合は、複数の静止画を並べるというのが一般的です。開発者の話にもあるように、最近だとターンテーブルなどを利用した特殊な手法も表われていますが、これからも規模が拡大するEC市場であるだけに、まだまだユーザーにとって心地良い“見せ方”の可能性は追求できるでしょう。“疑似3D画像”はそんな中のひとつです。

 撮影を体験してみて、機材や場所を選ばないという気軽さと、1ポーズごとに数分程度という短い撮影時間が、ショップにとって負担が少ないと感じました。
 個人的にはこの技術だからこそアピールできる、トリックが仕掛けられたおもしろい服(なんのこっちゃ)が出てくると良いなと思いました。

 “疑似3D画像”は『Yahoo!ショッピング』に今後導入していきたいとのことですが、スケジュールは現在未定です。

■“疑似3D画像”を見られるサイトはココ
『春のファッショントレンドアイテム 女性向け』
『春のファッショントレンドアイテム 男性向け』
特集期間:~4月13日正午を予定(以後も掲載続行予定)

■関連サイト
Yahoo!ショッピング - Tポイントが貯まる!使える!ネット通販

~ナベコ、Facebookページはじめました~
この記事を書いたナベコです!よかったらFacebookページをのぞいてください。

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう