2015年04月24日09時00分

「うんこが漏れない世界を」世界待望のデバイスDFree予約開始 中西敦士代表インタビュー

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排泄予知デバイス「DFree」(2万4000円)


「うんこを漏らすのは大変だ」

 トリプル・ダブリュー・ジャパン中西敦士代表は『DFree』(ディーフリー)開発のきっかけを自身の体験をもとにそう語った。

 DFreeは、おなかに貼るだけで便や尿が「10分後に出ます」という情報をスマートフォンに通知する排泄予知デバイスだ。4月24日からクラウドファンディングのREADYFORで予約販売を開始した。価格は2万4000円。2016年4月出荷予定。

 超音波センサーで膀胱や前立腺、直腸をモニターし、膨らみや振る舞いから排泄を予知する仕組みだ。ニッセイ・キャピタルからの出資も決まり、世界中から問い合わせが殺到しているという。日本発の画期的製品、開発の苦労を中西代表に聞いた。

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トリプル・ダブリュー・ジャパン中西敦士代表。うんこを漏らしたことがある


●世界中の子供たちからコメントが届く

――開発したきっかけは。
うんこを漏らしたからだ。身をもって「うんこを漏らすのは大変だ」と感じた。

――いつごろの話か。
2013年9月くらいだ。

――最近だ。
そうだ。

――本当にそれだけか。
わたしの祖母は人工肛門をつけていて、母が世話をしていた。排泄介護は大変だ。自分の親の下の世話をするのも、自分の子に世話をされるのも、おたがいに嫌だ。今年の2月上旬に、認知症の妻を殺害する事件があった。年間60件ほど介護疲れの殺人があり、自殺も起きている。1つ1つの記事を読んでいるだけで泣きそうになる。

――介護現場のヒアリングをしたのか。
いくら手間がかかっても、(排泄の処理を)トイレでやってもらうのとベッドでやってもらうのは全然ちがう。手術後には漏れっぱなしになる人もいる。ヘルパーさんもせいぜい5時間に1回くらいしか来られない。そうなると朝には背中までうんこが広がっていることもある。在宅介護の場合、隣で食事の用意をするので嫌になるという話も聞いた。

――介護がメインか。
尿意・便意を感じない方、トイレへの移動が難しい方、ストレスや緊張で下痢しやすい人などを想定している。過敏になり、電車の駅を降りるたびトイレに行ってしまう人たちもいる。「腸の中はからっぽですよ」と教えて、安心してもらいたい。

――海外からも問い合わせがあるのか。
ノースカロライナ、ブラジル、スウェーデンなどから問い合わせがある。排泄がきっかけでいじめられている子供も多い。ある14歳の子供からは、障害を抱えていじめられて泣いていた、YouTubeの動画を見た、ぜひ作ってほしいというコメントが届いている。


●かなり肛門を痛めつけた

――開発開始はいつごろか。
アイデアを出したのが2014年6月。開発開始が9月くらいからだ。基本的にはデータをいかに取るかが勝負。超音波でしっかり見られるのか検証した。若い男子が実験に協力してくれた。

――苦労したのはどこか。
彼のうんこが1日1回しか出ないこと。不幸なことに便秘気味だった。

――便秘は問題か。
致命的だった。「はよデータ欲しいねんけど」「出ません!」というやりとりをくりかえした。われわれはモヤモヤしていて、うんこが出るたび彼は拍手をされた。彼のうんこの記録をみんなで見ながら開発してきた。

――大変なのはわかった。
彼がロッカーから荷物を出してくるというときにふと見ると、コーラックと炭酸下剤を持っていた。かなり肛門を痛めつけたなと思っている。検証のため、肛門に風船を入れて水でふくらませたり、ウインナーを入れたり、金属を入れたり……

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肛門に風船を入れたり、金属を入れたり……


――もういい。
実験を何度もくりかえした結果、原理的にできるということが分かった。

※危険なので絶対にマネしないでください。

――超音波技術はどうしているのか。
超音波センサーの会社にアドバイスをもらいながら開発している。東北大学の教授にも超音波機器のアドバイザーとして適宜相談している。

――大学との産学連携になっているのか。
名前は明かせないが、産学連携ではない。ただ、教授の研究テーマも似通っている。「超音波センサー単板だけでどこまでいけんねん」という研究をしている。

――中西代表自身、ものづくりの経験はあったのか。
ちょっと前に青年海外協力隊でフィリピンに行ってジーンズを作ったりしていた。思っていたものができあがると面白いなと思って。

――たしかにものづくりだが、それは服だ。
服も大変だ。勝手を知らないまま、マニラ麻からジーンズを作ったりしていた。マニラ麻の繊維は硬い上、ジーンズなのに透け透けになってしまう。ものづくりの難しさがよく分かった。

――なるほど。服だが。


●うんこがAIに飛び込もうとしている

――デバイスが小型化できたのはなぜか。
もともと超音波端子は小さい。小指の先くらいのサイズだ。あとは電池とマイコン、Bluetoothがあれば作れる。通常の超音波診断装置はセンサーが12個×5列の合計60個ほどついている上、持ちやすくするためサイズをあえて大型化している。

――超音波は長時間当てつづけても安全か。
基本的に無侵襲で安全だ。胎児に当てても大丈夫だ。長時間あてすぎてはいけないと言われているが、少なくとも大人ならまったく問題ない。

――赤ちゃんでも老人でも使えるか。
将来的にはそうしたい。おなかの幅が変わるだけだ。赤ちゃんの方がかえって精度は上がる。最初は成人向けにデザインしている。

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DFree。さらに小型・軽量化を目指すという


――10分というのは変えられるか。
アプリで変えられる。1時間前でも恐らく分かるが、精度は下がるかもしれない。実際に分かるのは直腸に便が入っている量だ。どこがベストなタイミングなのかは今年いっぱいでデータを集めて精度を高めたい。ズレがあっても3分前後が目標だ。

――アプリでトイレ情報を見られるか。
やりたい。がんばる。地図情報を持っている人たちと連携していきたい。

――データ取得頻度はどれくらいか。
最大で1秒10回だが、30分に1回でも予測は可能だ。バッテリーにも関わってくる。いよいよというときにだけ頻繁にアラートを出すことで、バッテリーの持ちをよくしていけるのではないか。

――バッテリーはどれくらいもつのか。
1週間が目標だ。リチウム電池かボタン電池かで悩んでいる。充電可能かどうかだが、最低24時間持てばいい。外出時もしくは就寝時に気になるはずなので。

――健康機器としての基準内でやるのか。
体温計をイメージしている。調子がおかしいなと思ったとき、なんらか結果を返せる。

――うんこの状態は分かるのか。
うんこの形は分からないが、水分が多いのかどうかは超音波で分かる。データは時系列になるため、出たモノだけではなく、たまっていく様子も分かる。排便サイクルが見えることで生活リズムが分かる。機械学習も適用できる。

――うんこの機械学習か。
そうだ。うんこが人工知能の世界に飛び込んでいこうとしている。


●うんこが漏れない世界をつくりたい

――初期ロットはいくつか。
1000台だ。

――目標販売台数はいくつか。
1年目で1万台、2年目で10万台だ。価格もかなり安くする。ヘルスケアビジネスをしている通信キャリアや、一般ユーザー向けに売っていきたい。

――製造拠点は国内か、国外か。
最初は日本の工場でやるつもりだ。センサーは日本製なので国内でやりたい。

――超音波センサーを使うだけなら、医療メーカー大手でも作れそうだ。
難しい。大手は医療機器を開発しており、設計目線が高性能化になる。画像をカラーにするとか、3Dにするとか。ビジネスとしても難しい。ポータブル超音波機器は通常50~100万円。いくらヘルスケア用途とはいっても、価格を100分の1以下にしてしまっては既存領域を壊してしまう。

――ヘルスケア系ウェアラブルデバイスの競合も多いが。
(既成品は)すごく雑だ。「消費カロリーが分かってなんやねん」という話だ。超音波なら1日のアウトプットがすべて波形データで取れる。

――シリコンバレーに競合はないのか。
赤ちゃんの鼓動を聞くというのはあるが。

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心拍数が分かるベビーシューズ『Owlet』


――かっこつけているのか。
ウェアラブルデバイスは、美しいもの、かっこいいもの、それをつけているだけで健康志向というのが始まりだ。ところが、いまはつけていることが逆にダサくなりつつあると感じている。DFreeを「これ付けてるぜ」と堂々と言えるかっこいい存在にしたい。アメリカはうんこに対するアレルギーのようなものがあるが。

――うんこに対するアレルギーとは何か。
日本で「うんこ漏らした」というと笑うが、あちらでは「アイムソーリー……」と深刻な顔をされる。おならでもしようものなら「オー、シット!」と罵倒される。文化の差はすごい。仲良くなるためおならをしたんだが。

――器用だ。何をめざしているのか。
データ屋になりたいんだ。

――うんこの情報屋か。
そうだ。うんこの情報は、食事・運動・メンタルが影響してくる。便秘が続いてるといった情報をほかのデバイスのデータとマッチングさせ、健康情報をレコメンドしたい。うんこをフックにデータを取り、データのプラットホームを作る。

──プラットホームは開放するか。
医療機器メーカーにSDK(ソフトウェア開発キット)を提供したい。(取得データの)周波数を変えて、たとえば肝臓の部分にあてれば脂肪肝などが分かるようになる。

――めざすは世界か。
2020年には60歳以上の人口が数億人になるという。子供が世話をするのは不可能だ。食べるところと出すところが自分でできなくなると施設や補助が必要になる。最期まで自立できる人を増やさなければならない。日本・米国・中国を皮切りに、うんこが漏れない世界をつくりたい。

 

●ニコニコ超会議でDFreeに会おう

DFreeは今月25~26日のニコニコ超会議2015「うんこ学会」にも登壇する。美少女大腸菌ゲーム「うんコレ」などを開発する「日本うんこ学会」の展示とあわせて体験できる。さながらニコニコ腸会議だ。うんこのバイブスを感じよう。

 

写真:編集部、トリプル・ダブリュー・ジャパン

■関連サイト
DFree(READYFOR)
トリプル・ダブリュー・ジャパン

※変更と訂正:出荷予定を2月から4月に変更したと開発元からの連絡を受け、該当の記載を変更しました。また、そのほかの表現についても一部を変更しています。(4月24日)

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