週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

初音ミクが日本舞踊を華麗に舞った!「第01回世界ボーカロイド大会」

2015年03月04日 09時00分更新

 『第01回世界ボーカロイド大会』が2月21日~22日、静岡県掛川にある『ヤマハリゾートつま恋』で開催となりました。

 世界ボーカロイド大会はボーカロイド(以後:ボカロ)ファン有志によるイベントで、持ち込みの大小様々な企画のイベントを2日間通してみっちり開催するというもの。2013年に実質第1回目となる『第00回世界ボーカロイド大会』が開催され、今回2回目の開催となります。

・今回も盛り上がった『第01回世界ボーカロイド大会』

世界ボーカロイド大会
静岡県掛川にボカロファンが集結した!

 ライブパフォーマンスから、OculusRift体験会、天文観望会まで、ボカロに関する分科会形式のイベントが盛りだくさん。

 大会の2日目には、我ら週刊アスキーの元編集チョである福岡俊弘氏がプロデュースするステージイベント『間と舞 −邦楽MEETS VOCALOID』がメインステージである“ガーデンスタジオ”で行なわれました。

・三味線音楽、日本舞踊×ボカロ

第01回世界ボーカロイド大会

 『間と舞 −邦楽MEETS VOCALOID』では、日本の伝統芸能である三味線音楽とボーカロイドキャラクターの3Dモデルの紐づけがテーマ。
 初音ミクマガジン『MIKU-Pack』の総編集長も経た福岡氏は、ボカロ文化と日本の伝統芸能との関連性を深く感じていると言います。前回のボーカロイド大会では文楽人形とボカロのカップリングを行ないましたが、今回のステージはどうなるのでしょう。

・三味線の西松流家元、西松布咏師が登場

世界ボーカロイド大会

 三味線の西松流家元である西松布咏(にしまつふえい)師が登場。
 西松布咏師は情緒的で艶っぽい唄い口で世界でも評価を得ている本格的な邦楽家です。今日の着物の帯は初音ミクの青に近いものを準備したとチャーミングな一面を見せて観衆の笑顔を誘いました。

・振り袖姿の初音ミクが日本舞踊を踊る

世界ボーカロイド大会

 注目の一曲目、西松布咏師が演奏するのは上方唄の『いざや』。なんとスクリーンには、振り袖姿の初音ミクが投影。この振袖ミクさんが、三味線、唄に合わせて日本舞踊を踊るではないですか‼
 首や手の絶妙な角度、優雅な動作の中にもふいに機敏さがみえる無駄のない所作、日本舞踊ならではの幽玄な美しさです。
 モデルは“ままま式あぴミク”。MMDによる映像制作はナヲタさん、あひるPさん、アランスミシーさんによるもの。

世界ボーカロイド大会

 「日本舞踊のモーションをトレースしてMMDで再現したのはたぶん世界初」と語った福岡氏。

 筆者は昨年11月のモーション撮影現場に立ち会いましたが、実際の衣装は留袖であったけれどミクさんは振袖。今回の映像は揺れる袖の動きも美しく、MMDならではの世界観が演出できていると感じました。

世界ボーカロイド大会
茶どころである静岡・掛川にちなんで「宇治茶」「富士の裾野」などを演奏した西松布咏師。

 初音ミクの踊りの映像は一曲のみ。続いては、小唄『春風がそよそよ』、『山谷の小舟』や、端唄の『宇治茶』、『富士の裾野』、『櫓お七』といった伝統的な三味線音楽を奏で、会場を邦楽の世界にグッと惹きこみました。

・「千本桜」を三味線で弾き唄い

 最後の曲が今回のステージのイチバンの目玉。なんとあの『千本桜』です。
 大正時代の世界観を背景とした『千本桜』を邦楽の名手が唄うとどういうことになるのでしょう!? 

第01回世界ボーカロイド大会
オリジナルアレンジの「千本桜」を演奏。

 ボカロ曲と日本の邦楽がコラボレーションした瞬間。

 「千本桜……」と、まずサビパートを三味線無しのソロで唄いあげました。もちろん、情感溢れる邦楽の唄い口です。ボカロ曲である『千本桜』が、古くから日本にあった伝統的な曲のように聴こえてきました!

・客席からは三味線では珍しい手拍子が

第01回世界ボーカロイド大会
会場のボカロファンから手拍子が沸き起こった。

 演奏中、客席からはごく自然な雰囲気で手拍子が湧き起こりました。これは三味線の演奏では珍しいこと。西松布咏師はこの手拍子が「とても気持ちよく、唄いやすかった」と後に語りました。

 リズミカルでかつ邦楽風のアレンジで『千本桜』が唄い上げられ、ラストにもう一度、サビパートのソロでフェニッシュ。闇夜に舞う千本桜が目に浮かぶような美しい演奏でした。

 今回の演目の題は『間と舞 −邦楽MEETS VOCALOID』。邦楽でもっとも重要とされるのは、“間”。それは音の“間”合いのことでもあるし、相手との関係性の“間”、空気の“間”でもあります。西松布咏師の唄に会場から手拍子が起こった瞬間、ボカロと邦楽の“間”が共鳴し、それぞれの文化が“出会った”ように思います。

世界ボーカロイド大会
世界ボーカロイド大会

 以上、ボカロファンにインパクトを与えた『間と舞 −邦楽MEETS VOCALOID』ステージでした。

 三味線の西松布咏師はこれまでボカロ文化に触れたことがなかったのですが、これを機に『小説 千本桜』なども読んだそう。ボカロと邦楽の異色なコラボは今後も実現していくかも!?

3月21日 15:00 『間と舞 −邦楽MEETS VOCALOID』プロデューサーからの申し出により、一部表現を改めました)

■関連サイト
第01回世界ボーカロイド大会 | VOCACON2015

(C) Crypton Future Media, INC. www.piapro.net

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう