2015年02月25日10時30分

車をネットにつなげてどうする? ポータブルSIMや音声エージェントを見てきた

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 ドコモは“ドコモ自動車ビジネスソリューションサミット”を開催した。なぜドコモが自動車のソリューションを語るのか。冒頭、同社の代表取締役社長・加藤薫氏は、車載電話が2015年で36年目の歴史を迎えたことを伝えた。1979年に発売された『TZ-801』は、7キロの重量でかつ巨大なもので、トランクに本体の収納していた。モバイルできる電話の進化を見ると、2000年前後はフィーチャーフォン、今ではスマホとなり、車載として考えた場合、際立ってコンパクトになっている。

 加えて、インターネットの時代も変わりつつあり、IoTの時代へとシフトしようとしている。週アスPLUS読者諸氏においては、IoTがなにかを語る必要はないので割愛するが、ラスベガスで開催された“CES2015”を見ても、ウェアラブルデバイスやスマホを起点としたIoT製品の発表が多く見られた。

ドコモ自動車ビジネスソリューションサミット
↑ドコモ代表取締役社長・加藤薫氏。
ドコモ自動車ビジネスソリューションサミット
↑クルマとケータイとしてみると、1979年に発売されたTZ-801から始まったと言える。

 そうなると同社としては、インフラを整備するというルートができる。この点については、同社の代表取締役副社長・吉澤和弘氏が“インフォテインメント基盤”を構築すると明言。インフォテインメントとは、意外にも2010年付近からあるワードだが、“インフォメーション”と“エンターテインメント”を組み合わせた造語だ。ナビゲーションや位置情報、インターネット接続、マルチメディア、ニュースなどへのアクセスに加えて、クルマと家庭・オフィス間のやり取りをシームレスするといったもので、同社はすでにある通信基盤をフル活用していきたいわけだ。

 また、会場で流れた動画からすると、インフォテインメントにプラス要素があり、渋滞情報がスマートウォッチに通知されたり、スマートウォッチが取得している睡眠情報からナビが注意を促す、車両のビッグデータから交通情報の提供、目的地の混雑情報/代替案の提案など。IoTとビッグデータ、ウェアラブルデバイス、スマホを活用するシーンの提案があった。似た運用ではスマートハウスがある。つまり、ユーザーが家に近づくと空調が入り、玄関の前にくるとロックが外れるといったものに近く、イメージしやすいものであるハズだ。後述するパネルディスカッションでの発言内容もそうだが、それほど目新しいものではなく、数年前に描いていたものが実現可能になったアナウンスに近い。またそこに、自動運転技術を加えるとしっくりくるのではないだろうか。

ドコモ自動車ビジネスソリューションサミット
↑同社の代表取締役副社長・吉澤和弘氏。
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↑IoT回線数に占める自動車関連は約4割。成長率30%であり、今後のマーケットとして期待されている。 ↑M2MからIoTへのシフトのイメージ図。ここ最近ではもっとイメージしやすいものだ。
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↑ドコモとしては、点から面へのシフトをはかる。 ↑インフォテインメント基盤の中で特に重視されているものが、音声認識と意図解釈、先読み。 ↑音声エージェントの運用は、ビッグデータベース。音声エージェントのベースとなっているのは、同社の“しゃべってコンシェル”だという。
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↑音声エージェントを搭載したデモ機も展示。処理の大半はクラウドであるため、スペック依存率を低くしたいそうだ。セキュリティに関しては明言を得られなかったが、反応からするとまだこれからの課題のようだった。
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↑グローバル回線の一元管理とeSIMにより、国内だけでなく国外もターゲットとしている。 ↑eSIM対応のチップ。
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↑チップ型UIMも展示されていた。 ↑デモ映像でユニークだったのは、交通情報に加えて施設の混雑状況などから、ナビ側から代替案を提示していたところ。写真は、目的地の混雑率が140%であるため、別のスキー場の情報が表示されているところ。ユーザーが能動的に検索するのではなく、目的地にある程度近づいた段階でナビ側が行なう仕様だ。
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↑テスラモーターズジャパン代表執行役員社長・樺山資正氏。MODEL Sセダンをアピール。1回の充電で394キロメートル走行できるだけでなく、17インチのタッチスクリーンを搭載し、UIをカスタマイズできることや、今後のアップデートで自動走行にも対応するという。
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↑日産自動車 車両IT&自動運転事業本部長・山本浩二氏。2010年に発売されたリーフで得られているデータや、今後の展望をかなり熱く語っていた。

 続けて行なわれた“クルマ×IoTが生み出す新ビジネス”と題されたパネルディスカッションには、情報通信総合研究所グローバル研究グループ上席主任研究員の岸田重行氏、ジャーナリストの西田宗千佳氏、パイオニア テレマティクス事業部事業企画部部長の種澤成治氏、ドコモM2Mビジネス部長の谷直樹氏が登壇。

 重要となりそうだったのは、西田氏のいう“In Car Experience”。内装パネルがデジタル化されることでUIの自由度が上がり、クルマ好きな人であればセンサー類の情報を多く表示することもできるし挙動すらソフトウェアレベルで調整可能、運転が苦痛な人には最小限の情報に留めることもできる。その人に合ったインターフェイスに変更可能なのはメリットだという。また、ソフトウェアアップデートで、未来の信頼感を得られる可能性もあると語った。

ドコモ自動車ビジネスソリューションサミット
↑情報通信総合研究所グローバル研究グループ上席主任研究員・岸田重行氏、ジャーナリスト・西田宗千佳氏、パイオニア テレマティクス事業部事業企画部部長・種澤成治氏、ドコモM2Mビジネス部長・谷直樹氏によるパネルディスカッション。モデレータは神尾寿氏。

 岸田氏は認証の重要性を見ており、たとえばクルマが“Aさん”の存在を認識できれば、やれることが広くなり、In Car Experienceの一助になると語った。上記のように、インターフェイスや車両の挙動を変更できるのであれば、同じクルマでもドライバーに合わせた設定に変化させられるため、カーシェアリング時にも有効だといえる。

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↑認証用として参考展示されていたポータブルSIM。車両だけでなく、スマホもこれで認証するとアンロックといった具合だ。個人的にはeSIMでいいような気もするのだが……荷物が増えるだけだ。
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ポータブルSIMのパネル。企業の入館タグの代替としての提案からスタートしそうだ。セキュリティ仕様については、明言を得られなかったので今後に期待したい。

 種澤氏は、バージョンアップに対して、既存のナビにはそんなものはほとんどなく、そういった世界観もなかったと語ったうえで、車載器の汎用化の時代と言い、スマホを介して持ち込むか、ネットワークから持ち込むか、そして圧倒的に増えたデータをどうクルマにフィードバックするのかといった部分でまだ考えているようだった。

 そういった発言を支える存在であるドコモ。つまり、ネットワークについて谷氏は、パネラー陣からの通信に関する質問について、メンテナンスについては課題とし、通信量は課金先を分けるべきとの考えを示した。映像や音楽といった場合は高速回線が必要となるが、渋滞情報などであれば軽いデータで済むため、現時点でもあるが上り下り128kbpsの回線を使うといったものだ。ただ、クルマの進化によって必要なデータ量は変化するため、柔軟に通信制御を行なえる仕様が必要だとも語った。

 2013年からIoTの単語が見え始めた。スマホが登場して5年でだいぶ世界は変化した。インターネットが普及して5年でも世界は変化した。IoTの普及でまた変化すると思われるが、5年後にはどうなっているのか。ちょうど東京オリンピックの開催年であるため、日本としてはそこにターゲットを合わせてくると思われる。まだコンシューマに降りてくるものではないため、遠い話に思えるかもしれないが、5年後の世界を考える一助にはなるハズだ。

●関連サイト
ドコモ

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