2015年02月03日07時00分

Windows情報局ななふぉ出張所

なぜ、技適なしスマホの解禁を外国人のみに限定するのか

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 先日、海外のSIMフリー端末など、技適を通っていない端末についての話題が再燃しました。

 1月30日、『IIJmio meeting 6』に参加した総務省の担当者から「海外端末を日本国内のSIMで使えるよう検討中」との回答があり、これが日本人にも適用されるのではないか、と期待が高まったのです。

 しかし実際には、訪日外国人の利用に限定した文脈での発言だったとして、後日、訂正が入りました。

 なぜ技適の“緩和”を、外国人のみに限定するのでしょうか。

■最先端ガジェットを国内利用できないという損失

 日本人が海外で買った技適なしのスマートフォンを国内で利用する場合、海外ローミングという抜け道はあるものの、割高です。できることなら、徐々に増えてきた外国人向けプリペイドSIMや、富士山などの観光地で整備される外国人向けWiFiを一緒に利用させて欲しいと思うのは自然なことです。

 ちなみに、これらの外国人向けサービスでも、技適を通った端末の利用を求めていますが、それは外国人にとって非現実的で、困難な要件となるでしょう。

技適なし端末解禁の謎
↑米国版SIMフリーiPhone 6のように技適を通った海外端末はあるが、ごく一部にとどまっている。

 日本人にとっても、この技適の制限は無関係ではありません。国内で新端末が登場しないWindows Phoneを始め、海外にあふれる魅力的なスマートフォンやタブレットを自由に利用できないという、なんともおもしろくない事態が続いています。

技適なし端末解禁の謎
↑海外では大量に売られているLumiaシリーズも国内利用は困難。

 さらに今後はInternet of Things(IoT)の普及とともに、WiFiやBluetoothの通信機能を備えた家電製品の急増が見込まれます。こうした最先端のガジェットを国内で利用できないのはもちろん、一般ユーザーが簡単に試すことすらできないというのは、産業界に損失をもたらす可能性があります。

技適なし端末解禁の謎
↑Bluetoothキーボードなど、アクセサリーであっても技適の有無を確認する必要がある。
技適なし端末解禁の謎
↑スマートウォッチの中でもデザインの優れた『Moto360』は技適を通っていない。

■技適なし端末の全面的な解禁はない

 2020年を待つまでもなく、現在も外国人観光客などが海外端末を持ち込んで、“自由に”国内利用しています。

 これに対する総務省の公式見解は、「違法になる恐れがある」との回答。筆者の理解では、スマホやタブレットのような出力の小さいデバイスは電波環境に与える影響が小さく、わざわざ摘発するコストをかけるに及ばない、という空気を感じました。

 もちろん、トラック無線のように強力な電波を発するような電波法違反製品に関して規制が必要なことは明らかです。少なくとも、技適を通っていない端末の利用を全面的に解禁してほしい、という要求は、まず通らないでしょう。

 しかしFCCやCEなど海外の認証を得ている端末を対象に、LTEや3G、WiFiやBluetoothといった特定の無線通信について利用を許可するという方向性ならば、検討の余地があるのではないかと考えるのが普通でしょう。

■技適なし端末の通信品質には疑問

 では、こういった特例を外国人に限定せず、日本全体にも広く拡大すべきでしょうか? 

 筆者が懸念しているのは、通信の品質に関する問題と、国内市場への海外端末の流入という2点です。

 まず、通信品質については、たとえばLTEのバンド1(2100MHz)に対応した端末は、ドコモ、au、ソフトバンクのLTEに接続できるものと、一般には理解されていますが、実はあくまでも“接続できる可能性がある”という話に過ぎません。

 実際に各キャリアは、端末メーカーに対して相互接続性試験(IOT:Inter-Operability Testing)の仕組みを提供しています。IOTによる認証を得た端末は、そのキャリアに最適化できていることを意味し、メーカー側も“NTTドコモに対応”とか、“Xi対応”といった表記でアピールしています。

 その一方で、技適を通っていながらIOT認証を取っていない端末も多数流通しています。スペック表に対応キャリア名を明記せず、“バンド1対応”といった表現にとどめている端末は、その可能性があります。

 IOT認証を取っていない端末は、それなりに使える場合が多いものの、「電波のつかみが悪い」とか「地域によって圏外になりやすい」など、微妙に使い勝手が悪いものもあります。ギーク層ならともかく、広く一般ユーザーの手にこれらの端末が渡るようになれば、キャリアにクレームが押し寄せることでしょう。

■"観光政策”と“スマホ自由化”の問題は異なるもの

 もうひとつの問題は、海外端末が日本市場に一気に流入する恐れがあるということです。これにより、同じメーカーの同じモデルでも、技適を通った日本版と通っていない並行輸入版が混在する、といった状況が生まれる可能性があります。これは国内市場における競争環境が大きく変化することを意味します。

 これについて、むしろ海外端末の導入を積極的に進めることで競争を促進し、価格や品質などの問題は市場に委ねるべきという考え方もあるでしょう。ただ、それは訪日外国人の利便性向上という観光政策の文脈とは大きく異なる議論です。

“観光政策”と、日本のスマホ“輸入自由化”を進めるべきかどうかは、別の問題であると筆者は考えています。

【02月03日11時40分修正】相互接続性試験についての略称に誤りがありました。著者様、読者の皆様にお詫びして修正致します。

■関連サイト
総務省:技適マーク、無線機の購入・使用に関すること(技適マークのQ&A)

山口健太さんのオフィシャルサイト
ななふぉ

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