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拡大が期待されるデジタルヘルス領域の現状と課題がDigital Health Meetupで見えた

2015年01月26日 20時00分更新

 今後、拡大が期待される医療、ヘルスケア領域でのデジタル活用。新しいテクノロジー、最新のビジネス状況を紹介するイベント“Digital Health Meetup Vol.1”が2015年1月22日にグリーベンチャーズの主催で行なわれた。

Digital Health Meetup
左から“クックパッド ダイエットラボ”の高木鈴子代表取締役、“エムティーアイ”の日根麻綾氏、FiNCの溝口勇児代表取締役社長CEO、exiiiの近藤玄大CEO。

 トークセッションにはデジタルヘルス業界で活躍する企業が登壇。どこまでがデジタルヘルスの事業範囲なのか、それぞれ自社を例に回答。もうすぐ800ダウンロードを突破の女性向けアプリ『ルナルナ』など、スマホアプリで月額有料会員500万人を有する“エムティーアイ”の日根麻綾氏は「コアは女性の幸せを実現すること。医療には踏み込まない今後は医療機関、医療者との連携はありえる」と回答。

Digital Health Meetup

 大量のレシピデータをもとに食で健康、新しいダイエットの形を実現する“クックパッド ダイエットラボ”の高木鈴子代表取締役は「ヘルスケア、健康よりは食べることで正しくしていこう。クリニックで病気になりそうな方々の栄養指導を、食べるという軸でやっている。健康指導は1対1で最適なものを提供するのが早いが、自動化できるかもしれない」と将来像を示した。

Digital Health Meetup

 スマホアプリと遺伝子検査で個人に合ったダイエット指導などのサービスを展開するFiNCの溝口勇児代表取締役社長CEOは、「将来、スマホやタブレットにすべての個人バイラルデータが集約され、戸籍などのパーソナルデータも溜まる。それをもとにした個人情報から(健康など)悩みの解決に専門家が間に入って進める時代がくる」と語った。FiNCの目指す世界観は、「人が健康でいられる期間をいかにして増やすか」。サービスについては“継続”させるフレームワークが大事とした。

Digital Health Meetup

 スタイリッシュなデザインと3Dプリンターや機構で安価な義手を実現させるハードウェアベンチャーexiiiの近藤玄大CEOは、義手を事業化した後の将来像に「デザインとロボティクス、メンタルヘルスの効用を与えたい。ロボットと言う切り口で精神的に豊かなものをつくっていきたい」と語る。筋電義手“handiii(ハンディ)”の開発に協力するユーザーが、イベントで握手を求められ笑顔で応えているところを見たことがあるが、そんなシーンからも近藤氏の将来像に重なっていることがわかる。

Digital Health Meetup

 そのほかイベント内で行われたベンチャーピッチでは、定年後も働くことをメンタルヘルスとして培った専門性を生かすサーキュレーションの“KOMON WORK DESIGN”。電話コミュニケーションと会話型見守りサービス“こころみ”。コミュニケーションロボット『オリヒメ』で寝たきりの方などが親しい人と一緒にいられたり、遠隔地に行くこともできるサービスを提供するオリィ研究所などが登壇した。

Digital Health Meetup
オリィ研究所のコミュニケーションロボ『オリヒメ』。

 この日、登壇したスタートアップ企業は病気の予防、メンタルヘルスなどが主。この日登壇した野村リサーチ・アンド・アドバイザリーの根岸奈津美氏によれば、米国はオバマ政権でデジタルヘルス領域に予算が付くようになり、電子カルテなどのインフラから業務改善、患者向けアプリまでデータ医療サービスが大きな拡大をみせたと米国のデジタルヘルス領域の現状を紹介した。処方箋の発行までが可能なアプリもあるという。直接の医療行為となってしまうと、まだまだ法的にスタートアップが切り込める領域は少ない。日本でも規制緩和やガイドラインの制定、公的機関の協力、医療機関との連携などが、デジタルヘルス領域の拡大のため、今後の課題になってきそうだ。

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