2015年01月23日06時00分

Androidケータイとハート型PHSが意味するもの(石川温氏寄稿)

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 1年で最もスマホやケータイが売れる春商戦を迎えて、今年はちょっとした異変が起きている。最新スマホが注目されるかと思いきや、ガラケー(フィーチャーフォン)のほうが盛り上がりを見せているのだ。

 その最たる例がauの“ガラホ”こと『AQUOS K』だ。シャープがAndroidを採用して、折りたたみのガラケーを開発。ガラケーの操作性を維持しながらLINEが使え、さらにPCやスマホ向けのウェブも閲覧できるようになっている。LTEに対応し、高速通信ができるだけでなく、テザリングも可能だ。
 

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 実際、主婦層などは単に「LINEがやりたいから」という理由だけでスマホを購入する人が多い。「まわりがLINEで連絡を取り合っており、仲間はずれになるのが嫌だから」という後ろ向きな理由で、仕方なくガラケーからスマホに乗り換えている、というわけだ。

 別にアプリを大量にダウンロードして遊ぶわけではない。電話やメール、さらにLINEさえできればガラケーのほうが安くて良いと思っている人は多い。今回のauの“ガラホ”は、ガラケーの料金体系ではなくスマホと同等であるが、キャンペーンも適用されるためスマホに比べれば安く維持できそうだ。

 メーカーとしても、ガラケーは実は「美味しい市場」と言えるようだ。いまでも6000万以上の契約者がおり、年間1000万台近く売れている市場だ。しかも、IDC Japanが発表した2014年第3四半期(7~9月)の国内携帯電話の出荷台数はスマホとガラケーを合算して766万台となっているが、そのうち、パナソニックが7%のシェアをもっている。

 パナソニックと言えば、2013年にキャリア向けスマホから撤退しており、ガラケーのみを売るメーカーだ。そのパナソニックがきっちりと7%のシェアがあるということは、それだけガラケー市場は手堅いという裏付けと言えるだろう。

 シャープの長谷川祥典(通信システム事業統轄兼通信システム事業本部長)は「いまフィーチャーフォンではシャープは20%のシェアだが、『AQUOS K』で40%まで高めていきたい」と語っている。

 シャープは、新世代のケータイはすべてAndroidベースにしていくと明らかにしており、au向けだけでなく、いずれドコモ、ソフトバンク向けもAndroidベースになると見られる。

 すでにスマホから撤退したパナソニックやNECモバイルは、ガラケーにあまり新開発の機能を盛り込むことなく、デザイン変更などで新製品を継続的に投入し、がっちりとシェアを抑えている。

 ガラケーユーザーとしては、新製品に何の面白みも感じることなく、ただ打算的に店頭に並んでいる製品を購入している状況にある。

 シャープとしては「ガラケーユーザーが次に何を買うべきか路頭に迷い、ガラケー難民になっている。そこにAQUOS Kを投入したい」(長谷川氏)という。Androidをベースとすることで、ガラケーに新しい進化をもたらすことが可能となり、ガラケーユーザーを振り向かせることができる、と考えているようだ。ガラホで「まだまだ進化するガラケー」を訴求することで、パナソニックやNECモバイルのユーザーを奪おうというわけだ。

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 一方、さらに個性的な端末としてワイモバイルが発表したのがエイビットの『Heart 401AB』だ。

 文字どおりハート型のPHS端末で、通話専用となっている。文字入力ができないため、SMSも送受信できない。ハートの表面がタッチセンサーとなっており、上下左右になぞることでメニューの操作や数字の打ち込みを行なう。

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 ハート型端末は、実はウィルコム時代から10年近く企画として温められていたという。イー・モバイルとの統合など紆余曲折を経て、ワイモバイルになってようやく日の目を見た格好だ。それこそ、数年前に発売されていたら、かなり売れていたように思える。

 市場を見れば、昨年夏からはドコモ、au、ソフトバンクモバイルで音声定額サービスが始まっており、かつてのウィルコムのように「誰とでも定額のウィルコムとケータイの2台持ち」という使い方は減りつつある。さらに、LINEが当たり前のようになり「無料通話はLINEで充分」という人も増えてきた。


 「いまからPHSをメインに使う」というユーザーがどれだけ出てくるのかは未知数と言える。もし、このハート型でWiFiルーターがあれば、もっと気軽に購入するユーザーも増えたろうが「ターゲットとする大人女子にはWiFiルーターは響かない」と、ワイモバイル関係者は否定する。

 また3Gで通話ができれば、アジア市場などでも販売できそうであるが「やはりPHSの省電力だからこそ、この大きさを実現できた。このサイズ感でないと可愛くないため、PHSの音声通話端末に仕上げた」(ワイモバイル関係者)とのことだ。

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 ケータイとPHSのMNPが昨年秋からできるようになり、これまでPHSを使っていた多くのユーザーがケータイやスマホに乗り換えているという。果たして、ハート型PHS端末はその流れを逆行させることができるのか。変態端末を得意とするエイビットが「大人女子」のハートをつかめるかどうか、興味深いところだ。

●関連サイト
AQUOS K(製品サイト)
Heart(プレスリリース)

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