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Xperia Z3の4K動画撮影時間の限界は? 分解モデルでわかった放熱設計

2014年10月31日 13時30分更新

 今年夏に発売された『Xperia Z2』は4K動画撮影に対応するも、熱負けしてしまい短時間で録画が終わってしまう問題を抱えていた。内部が密閉構造であるため、SoCなどの発熱体から生じた熱を外部に伝える手段が限られている。これはZ2だけでなく、防水・防じん機能を持つ端末が抱える問題だ。

 先日行なわれたauの“2014年冬モデル発表会”には、『Xperia Z3』の分解モデルが展示されており、その内部構造を知ることができた。説明員いわく、ヒートパイプを搭載することで放熱性能を高めたという。

 というわけで、まずはテスト。Z2とZ3で4K動画撮影を行ない、強制終了がかかるまでの時間と各部の温度を調べた。温度計測は正面と背面、両側面、カメラ周辺。いずれも最も温度の高い部分を掲載している。

Xperia Z3 放熱設計
↑Xperia Z2とZ3で4K録画を行ない、録画が強制終了するまでの時間を調べたもの。温度は開始前と終了後のふたつ。環境温度は表のように24℃。
Xperia Z3 放熱設計
↑チェック中の様子。手持ちに近い状況ということで、写真のようにブロックを利用して浮かせた。
Xperia Z3 放熱設計
↑温度計測には赤外線温度計を使用した。

 結果を見ると、録画可能時間は6分9秒から11分01秒に伸びており、温度についてもZ3は開始前は温度が低く、録画終了後は全体的に温度の高い結果になった。

 密閉構造として考えると放熱性能がよくなったというわけだ。また、温度だけ見ると「全体的に熱い?」と思ってしまうが、下記に掲載する分解モデルの写真を見てもわかるように、主な熱源は本体上部に位置しているため、縦画面の場合はそれほど熱く感じるシーンは少ない。(充電中はバッテリーが発熱するのでどうしても全体的に温度は上がってしまうが)顕著だったのは、右側面。ボタン類があるためか、温度がもっとも高かったのは、右上部だった。

Xperia Z3 放熱設計
↑Z3では、録画開始前に発熱する旨のメッセージが表示される。
Xperia Z3 放熱設計
↑さらに温度が一定値を超えると、カメラが自動停止するアナウンスもされる。計測前のテストでは6分23秒の時点でこのメッセージが表示された。

 Z3の内部構成は、大きく分けて4つ。ディスプレーと本体シャーシ、基板とバッテリー、そして背面パネルだ。説明員によると、Z2ではディスプレーと背面からの放熱中心だったが、Z3ではさらにヒートパイプを加えて、左側面も利用。背面側にもヒートパイプを用意して効率よく熱を逃がせるようになっている。また、そのまま分解したモデルかどうかは回答を得られなかったが、各部に伝熱性の高いシールを使用している模様。こうした設計の見直しでZ2よりも優れた放熱設計を得たわけだ。

Xperia Z3 放熱設計
↑展示されていた分解モデル。背面パネル裏にあるシールも放熱のためのものと思われる。
Xperia Z3 放熱設計
↑内部で確認できたヒートパイプ。ちょうどSoCの位置に用意されている。
Xperia Z3 放熱設計
↑基板部。この基板が右のヒートパイプが走る上に載っている。またカメラユニット周辺には、意外にも何もナシ。
Xperia Z3 放熱設計
↑ちょっとわかりにくいが、本体左側面にまで伸びたヒートパイプで熱を逃がしている。
Xperia Z3 放熱設計
↑基板部の裏側にもヒートパイプが。こちらはだいぶ短い(もしかすると、ただのヒートシンクかもしれない)。
Xperia Z3 放熱設計
↑バッテリーにも伝熱目的と思われるシールが貼られていた。

 スペックからすると、マイナーバージョンアップ感のあるXperia Z3だが、内部はだいぶ手が加えられていることがわかった。スペックやディスプレーなどに目がいってしまうが、ときには放熱設計にも目を向けてみると、スマホをより興味深くチェックできるだろう。

 さて、最後になるが、紹介してきた構造からすると本体背面と本体左側面を積極的に冷やすと、4K録画の時間を伸ばせる可能性があるほか、SoCをゴリゴリ使用するアプリにも効果的だろう。放熱設計を意識しながら、4K動画で遊んでみてほしい。

●関連サイト
ソニーモバイル

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