今年8月にヤマハが始めた『ボカロネット』(VOCALOID NET)というサービスをご存じですか?
『ボカロネット』 |
これは『ボーカロイド』に関連するクラウドサービスで、無料で会員登録できます。ボーカロイドユーザーであれば、さまざまなサービスを受けられるのはもちろんなのですが、ボーカロイドを持っていないユーザーでも存分に遊べてしまうのがポイント。そしてボカロネットの目玉サービスとも言えるのが“ボカロデューサー”という自動作曲システムなのです。そう、歌詞を入力すると、その場で作曲してくれると同時に伴奏まで作り出してくれるのです。
今回は、このボカロネットのボカロデューサー機能をROLLYさんに使ってもらうことにしました。
ボカロデューサー自体はクラウドサービスなので、ボーカロイドソフトのインストールが不要なのはもちろんのこと、DTM系の機材もまったく必要ありません。単にネットが使える環境とブラウザーがあればオーケー。そう、PCすら不要で、iPadでもスマホでもなんでもオーケーなのです。今回はiPadを使ってボカロネットにアクセスし、私のアカウントでログインしてボカロデューサーのサービスを利用してみます。
このボカロデューサーには、本当にすべてお任せの“カンタンモード”と、ある程度の設定が可能な“ノーマルモード”がありますが、まずはカンタンモードで使ってみます。iPadをROLLYさんに手渡して「適当に歌詞を入力してください」とお願いしたところ、ROLLYさんはすぐさま歌詞の入力を開始しました。iPadのキーボードで入力するのは面倒だと、音声認識ボタンを押して声で入力しています。歌詞を入力し終わって「作曲開始」ボタンを押してみると……30秒ほどで作曲が完成!
できあがった曲を聴いてみたROLLYさんですが、「ん~、なかなかイイ感じだけど、文字を詰め込みすぎて、ちょっと早口すぎるから、もう1回やり直してみよう」とのこと。そこで、作曲した楽曲はいったん削除。改めて、今度はノーマルモードで作曲してみます。カンタンモードは本当に歌詞を入力しただけでしたが、ノーマルモードでは、まずはシンガーを選択できます。具体的には、VY1V3(女声)、VY2V3(男声)、KYO/ZOLA PROJECT(男声)、YUU/ZOLA PROJECT(男声)、WIL/ZOLA PROJECT(男声)の5つのボーカロイドと、そのバリエーションです。
ちなみに現在は、期間限定でガチャピンの歌声である“ガチャッポイド”も選択できるようになっています。ここでは、いちばん無難そうなVY1V3の標準声を選択しました。また、メロディテイストや伴奏ジャンル、伴奏音源も設定します。ROLLYさんに選んでもらったところ、“明るい”メロディテイスト、伴奏ジャンルは“ダンス”、伴奏音源が“クラシックヒップホップ”になりました。
「さっきは歌詞が長すぎてうまくいかなかったので、短めにしましょう」といって入力したのが以下の歌詞。
何て素晴らしいんでしょう
人に熱あれ
じんかんに光あれ
こにちわありがとまたね
1行で2小節分ということだったので、このように入力して作曲した結果が、こちらです。
そうです。作曲した結果はクラウド上にあるので、URLさえ伝えれば、誰でも聴くことができるんですね。「言葉の区切りはよくなったけど、さっき作ったメロディーのほうがいいなぁ」とROLLYさん。いや、でもROLLYさん、さっき「失敗だ」と言って消しちゃったじゃないですか……。同じ設定にしても、毎回新たに作り出すから、同じにはならないんですよ……。一方、ノーマルモードの場合は、実際の作曲に入る前にどんな曲になるのかをプレビューできるので、何度でもプレビューを繰り返して作れるのがポイントです。まあ、多少の選択項目はありましたが、基本的には歌詞を入力しただけでこんな曲が完成してしまうって、スゴいと思いませんか?
「さらに別の伴奏ジャンルに変更して試してみよう」とROLLYさん。今度は“ワールド”と“USマーチ”なるものを選択。その結果できたのが、こちらです。同じ歌詞であっても、ずいぶん違うフレーズになってますよね。
このURLですが、最後の数字部分を変えると、ほかのユーザーが作成した曲も聴けてしまうのは良いのやら、悪いのやら……といったところ。適当に覗いてみてもおもしろいですよ。
ところで、こうして作りながらも「やっぱり、曲としては、最初にできたのが一番よかった」と悔しがるROLLYさん。消しちゃったからこそ、よかったように思えるだけで、そんなにたいした曲ではなかったような気もするのですが、どうなんでしょうか……。
ちなみに、今回ログインしたのは私のIDだったのですが、私自身は月額540円を支払うプレミアム会員になっています。無料会員の場合は、作曲が1日3回までという制限があり、選択できるシンガーも限られています。プレミアム会員はできあがった楽曲のMIDIデータをダウンロードできるなど、いろいろなメリットがあるのですが、とりあえず無料版を試してみてはいかがでしょうか? なお、PC版のボーカロイドソフトやiOS版の『iVOCALOID』を持っている場合は、無料会員であっても、ボカロネットで作成した楽曲をここに読み込ませて、エディットすることも可能になっていますよ。
記事の感想はROLLYさんのツイッター(@RollyBocchan)まで。週刊アスキー本誌にも掲載しています。
『ボカロネット』
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●ヤマハ
●関連リンク
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藤本健の“DTMステーション”
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