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iPhone6は家庭用ゲーム機を超える? iOS8で注目のMetal対応状況|Mac

2014年10月04日 18時00分更新

 iOS8から対応する、アップルの新しい3Dグラフィック描写API「Metal」。その新技術の解説と、アプリ開発者が気になるUnreal Engine、Unity、Cocos2d-xの3つの主要ゲームエンジンでの対応状況についてまとめた。

iOS 8の新グラフィックAPI「Metal」の特徴と、各ゲームエンジンの対応状況
iPhone6/6 Plusの発表となったアップルのスペシャルイベントでも「Metal」はフィーチャーされた

Unreal Engine、Unity、Cocos2d-Xとは?
 iOSでのゲームアプリなどを開発できる、ゲームエンジン(またはゲームフレームワーク)。マルチプラットフォーム対応で、iOS/Android/Windowsなど複数のデバイス向けに同時に開発できるのが特徴だ

A8の性能を最大限に引き出す、3DグラフィックAPI

 Metalは、さまざまなハードウェアに対応するOpenGLと違って、アップルのCPUに最適化されており、家庭用ゲーム機並みの描画を表示できるというAPI。iPhone5sなどが搭載するApple A7 はもちろん、iPhone6/6 Plusが搭載するA8の性能も最大限に引き出してくれるのが特徴だ。9月9日に行われたアップルのスペシャルイベントでは、スーパーエヴィルメガスコープス社の「VINE GLORY」がその技術を披露。米ゲームロフト社の「アスファルト8:Airborne」なども、アップデートでその技術に対応している。

iOS 8の新グラフィックAPI「Metal」の特徴と、各ゲームエンジンの対応状況
iOS 8の新グラフィックAPI「Metal」の特徴と、各ゲームエンジンの対応状況
3Dのグラフィックスを表示するには、OpenGLを使用するのが一般的。Metalはそのような汎用性のあるAPIと違って、アップルのCPUに最適化され超美麗なグラフィックを再現する
iOS 8の新API「Metal」の特徴と、各ゲームエンジンの対応状況
iPhone 6/6 Plusで採用されている最新のApple A8は、CPUやGPUの性能がさらにアップ。電力の消費も効率よくなった。当然、Metalにおいても、その恩恵は期待できる
iOS 8の新API「Metal」の特徴と、各ゲームエンジンの対応状況
iPhone6/6 Plus発表イベントで公開された「VINE GLORY」のデモより。これは独自に開発したゲームエンジン「E.V.I.L engine」を採用したMOBA(マルチプレイヤー オンラインバトル アリーナ)で、光の表現など3Dの美しい描写はMetalならでは
iOS 8の新API「Metal」の特徴と、各ゲームエンジンの対応状況
ゲームロフト社の「アスファルト8:Airborne」など2作品がアップデートでMetalに対応。グラフィックとリアルタイムエフェクトが飛躍的に向上し、よりエキサイティングなプレーが楽しめるようになった

Unreal Engineの「Metal」対応状況

「Infinity Blade」など、美しいグラフィックのアプリ開発でおなじみの、エピック・ゲームズ社のUnreal Engine。エピック・ゲームズ・ジャパン代表の河崎高之氏にMetalへの対応について伺ってみたところ「Unreal Engine 4のサブスクリプション版では、バージョン4.5から使用できるようになっております」とのこと。

 すでにMetal技術を駆使した自社アプリ「Epic Zen Garden」をAppStoreでリリースしており、「Metalの機能により、非常に低いCPU負荷で、とても細かく描かれたシーンを作り出すことができます。これによって、数千個ものオブジェクトをワールド内に放り込んでも、高いフレームレートをキープすることが可能」(河崎氏)とのことだ。

 またOpenGL ESと比較すると、より少ないバッテリー消費となるようで、「Unreal Engine 4の高品質なグラフィックと非常に使いやすいツールセットにより、息をのむようなモバイル エクスペリエンスを生み出すことができる」とアピールした。

iOS 8の新API「Metal」の特徴と、各ゲームエンジンの対応状況
iOS 8の新API「Metal」の特徴と、各ゲームエンジンの対応状況
平穏と静けさに満ちた庭園を散策し、さまざまなインタラクティブ要素を体験することができる 「Epic Zen Garden」。桜の木の枝をタッチすると、花を咲かせることも可能だ

Unityの「Metal」対応状況

 iPhoneやAndroidなど、さまざまなスマホアプリの統合開発環境ツールとしておなじみの「Unity」。

 ユニティ・テクノロジーズ・ジャパン日本担当ディレクターの大前弘樹氏によると、「近くリリースされる新バージョンのUnity 5.0で、Metalでのレンダリングをサポートする」とのこと。Metalの効果でドローコールのオーバーヘッドが劇的に減るようで、たくさんの描画を行うことができるようになる。

 そのほか、「私たちのテストでは、これまではAPIとドライバーによるオーバーヘッドはCPUタイムの15~40%かかっていたのが、Metalの効果でほんの数%にまで減りました。これはつまり、同じ負荷でより高精細に描けるということです」(大前氏)と、Metal技術のメリットは大きいようだ。

iOS 8の新API「Metal」の特徴と、各ゲームエンジンの対応状況
MetalはUnity 5.0でサポートするとのこと。リリース時期は現状未定だが、すでに予約スタート

Cocos2d-xの「Metal」対応状況

 最後に、2Dのスマホアプリ開発でおなじみのフレームワーク「Cocos2d-x」。開発元のチュコンテクノロジーズのZhe Wang氏によると「2015年に、Metalに対応する予定」とのこと。詳しい時期や導入方法については未定だが、こちらも期待できそうだ。

iOS 8の新API「Metal」の特徴と、各ゲームエンジンの対応状況
Cocos2d-xでは2015年にMetal対応予定。ウェブサイトなどで続報を待とう

 さて、9月29日発売予定の『MacPeople 11月号』の第1特集「iPhone 6/6 Plusの全貌」では、新型iPhoneのハードウェアや新機能、iOS 8の利用ガイド、さらにはApple Watch、Apple Payといったアップルの新ビジネスまで、100ページ近い大ボリュームで紹介。iPhone 6/6 Plusを既に買った人にも、これから購入を考えている人にも、きっと役に立つこと間違いなしだ。

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 また、第2特集の「サーバーアプリを作ろう」では、手軽にサーバーを導入できる「MBaaS」サービスについて解説。サーバー選びの基本からサービス徹底比較、いますぐ始められるサーバー実装入門まで盛りだくさんの内容でお届け。そのほか「3時間でUnity」「Cocos2d-xプログラミング講座」などのアプリ開発者のための連載もあるので、お楽しみに。

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