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iPhone6、iPhone6 Plus発売1週間――果たして勝者は?(石川温氏寄稿)

2014年09月27日 19時00分更新

 iPhone 6/6 Plus発売から1週間が経過した。

 今回は比較的、在庫もあるようで、iPhone 6なら店舗によっては問題なく買えそうだし、品薄といわれたiPhone 6 Plusも、キャリアによっては在庫を発見することができる。私も個人的に、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクで1台ずつ、さらにSIMフリー版を合わせて、合計4台のiPhone 6/6Plusを入手することができた。

 週明けには、発売3日間の販売数が世界(10ヵ国)で約1000万台を突破したとの公式リリースが流れたが、例年に比べ在庫を潤沢に用意したことも初動の記録につながったのだろう。販売スピードとしては新記録となる。

 日本においても同じだ。2013年はNTTドコモの販売ショップが限定されていたおかげで初動が遅れた部分があったが、今年はすべての店舗で販売されたことも、記録を後押ししていると考えていい。

iPhone6発表リアルタイム

 販売当日、日本のアップルストア直営店で、SIMフリー端末目当ての中国人が騒ぎを起こしたことでも話題となった。昨年は中国より遅れての発売(2013年11月)だったため混乱とは無縁だったが、今年は中国での販売自体が未定になり、日本は発売初日からアップルストア直営店に並んだため、転売目的の中国人が一気に日本に押し寄るかたちとなってしまった。

 思い起こせば私もその昔、NTTドコモのSIMカードでiPhoneが使いたいからと、SIMフリーiPhoneを香港で購入したり、知り合いに買ってきてもらったりしたものだったが、今では日本でSIMフリー版が売られ、それを中国人が買い求め、中国本土に出荷している。ひとむかし前では考えられない状態であり、時代の流れを感じてしまう。

iPhone6

 さて、発売から1週間過ぎ、キャリアにおける販売状況は実際のところどうなっているのだろう。25日(木)に取材してみたところ、おおむね各社とも順調に売れているが、圧倒的に機種変更するユーザーが多く、新規契約はあまり獲得できていないようだ。

 というのも、各社が旧iPhoneやAndroidの下取りキャンペーンを強化し、iPhone6へと機種変更するユーザーが増えた一方で、「お得なキャッシュバックが用意されているわけではなく、キャリアによる違いがわからない」という理由から、わざわざMNPを希望するユーザーが増えなかったというのだ。今後はキャッシュバックキャンペーンを実施するといった動きも出ているため、店頭で現金が飛び交う恐れも出てきている。

 iPhone6/6 Plusのネットワーク環境についても、LTEのネットワーク品質競争が過熱していた2013年に比べて静かなものだ。iPhone6/6 Plusならではの“TD-LTE”や“キャリアアグリゲーション”といった新技術も、“どこのキャリアが速い”といった去年ほどの盛り上がりが見られない。こちらに関しては、すでに消費者や読者に飽きが来ているようで、LTEのネットワーク品質に一喜一憂する時代は終わってしまったのかも知れない、と予想される。

 発売後のトラブルとして、25日(木)には、早朝からソフトウェアアップデートの不具合が騒ぎとなった。8.0.1にソフトウェアアップデートをかけたところ、電波を掴まなくなってしまい、電話として使えなくなるという問題だ。9月26日朝に公開された8.0.2も一部でまだ不具合は出ている模様。比較的ユーザーにとってiPhoneは、生活に欠かせないものになっているだけに、1日でもネットにつながらない状況になっては困り果ててしまう。

幻のiOS8.0.1

 iPhoneの場合、バージョンをダウングレードするにも手間がかかるだけに、一度こういった事故があると気軽なiOSのバージョンに及び腰になってしまうユーザーも出てくるだろう。それこそ、メディアが人柱になり「このアップデートは問題ない」という安全のお墨付きが出てからではないと、一般ユーザーはアップデートしないという状況にもなりかねない。これはアップルにとっても痛手だ。

 キャリア関係者に話を聞けば、アップルからの情報開示もギリギリのタイミングであり、毎回綱渡りで販売を迎えているようだ。新製品発売後になにか不具合があれば、ネットワーク側で調整(フォロー)するほか、iOSのアップデートを施すことで不具合を解消していくのが当たり前となっており、発売までしっかりと準備期間を置くGoogleのAndoridスマホとは対照的でもある。

 それにしても、毎年iPhoneが出るたびにこうした問題が噴出しているような気がする。原因として考えられるのが、アップルの秘密主義だ。世界各国のキャリアのネットワークに接続するのであれば、事前に検証作業をしっかりやっておかないと、結局はユーザーに迷惑がかかってしまうことになる。すぐにアップデートを配るというのは、“スマホだから実現できる対処法”ではあるものの、今回の騒動を見ると、アップルのイメージダウンにつながってしまっている感もある。ネットワーク関連のトラブルは致命傷となるだけに、もう少しキャリアと密に検証を実施し、万全を尽くしてほしい。

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