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Windows情報局ななふぉ出張所

IFA2014直前予想 融合するスマホ、タブレット、PC市場の行方は?

2014年09月03日 17時00分更新

 いよいよ『IFA 2014』が9月5日よりベルリンで開幕します。それに先駆け、9月3日、4日にはメーカー各社がプレスカンファレンスを開催し、最新製品が一挙にお披露目される予定です。

 筆者も8月31日よりベルリン入りしており、今回はIFA 2014におけるモバイルやPC関連の展示についての動向を予測してみたいと思います。

IFA 2014直前予想
↑中心街のひとつ、Zoologischer Garten駅にはサムスンが巨大広告を展示。ちなみに現地は秋の気配がただよい、夕方からはかなり肌寒い。

■今やスマホ、タブレット、PCを分けて考えることは難しい

 最近はスマートフォンの大型化により、小型タブレットが売れなくなっている、という話を耳にする機会が増えました。タブレット市場の"減速"が避けられないものであったとしても、その代わりに大型スマホやファブレットが売れているのであれば、もはや“スマホ市場”、“タブレット市場”と分けて台数をカウントすることに意味がなくなってきたことに気付くと思います。

 一方でタブレットも、これまで主流だった7〜11インチのサイズを超え、12インチクラスへと拡大する動きが見られます。これは必然的に一部のPCを置き換えることになるでしょう。同様にPCも、タブレットとキーボードが脱着できるモデルが増加しており、インテルの『Core M』プロセッサーが登場する年末商戦以降は、その動きが加速するとみられています。ここでもまた、“タブレット市場”、“PC市場”を明確に分けるのは難しくなってきています。

 もちろんそれぞれのデバイスは、使い勝手という面でだいぶ異なります。大型スマホと小型タブレットでは、画面サイズが1インチ違うだけで、完全に別物です。ポケットに入るか入らないか、片手で持てるか持てないかといった点で、個人差も大きいでしょう。しかしながらその用途は似通ってきており、大型スマホと小型タブレットを一緒に持ち歩くのは煩雑に感じるものです。

■揺れ動くプラットフォーム勢力図

 このように見ていくと、スマホからタブレット、モバイルPCまでは、もはや地続きになっているように思えてきます。次に気になるのは、各デバイスで競合するプラットフォームの問題です。

 タブレットではAndroid OSが過半数を占めるのに対し、PCの大部分では依然としてWindows OSが動作しています。アプリのラインアップについても、実用ツール、ゲームやエンタメまで広く充実しているAndroidと、従来型のデスクトップアプリが中心のWindows、という違いがあります。

 また、これまでタブレット市場を支配してきたiPadは出荷台数が伸び悩んでおり、ゆくゆくはAndroidやWindowsに取って代わられるとの見方もあります。しかし電車やカフェで実際に目にするタブレットはiPadばかり、という経験も少なくありません。実際に使っているユーザーが多く、使用時間も長いという点が、iPadの優位性ともなっています。

 タブレット市場にWindowsが進出したように、今後はAndroid搭載のPCが増えると予想したいところですが、Chromebookがあるために構図は少し複雑になっています。近年は世界的なトレンドが低価格デバイスに向かっており、低価格のAndroidデバイスに対し、マイクロソフトがWindows 8.1 with Bingでいかに対抗できるか、という点も見どころです。

 そしてこの秋には、スマートフォンの勢力図にも異変が起きそうです。これまで大画面スマホといえばAndroidの独壇場でしたが、この秋にはiPhoneの大型化が期待されます。これにより、大型スマホという分野でもiPhoneとAndroidが競合することになるでしょう。

■IFA 2014では再びスマートウォッチに注目か

 このように“大型スマホと小型タブレット”、“大型タブレットとモバイルPC”の競合が激化する中、IFA 2014では新しいカテゴリーの登場により、これらがもう一度シャッフルされる可能性があります。それがスマートウォッチの存在です。

すでにサムスンとLGは、グーグルによる『Android Wear』の発表と同時にスマートウォッチ製品を投入しています。その後LGは、モトローラに続いて円形のディスプレイを搭載した新製品を発表。IFAでの展示を予告しています。

IFA 2014直前予想
↑LGの円形ディスプレイ搭載スマートウォッチ『LG G Watch R』。従来の腕時計に近い外観で、手に取りやすい。

 ASUSもIFAに向けて未発表のスマートウォッチ『ZenWatch』の予告動画を公開しており、これまで様子見を決めていた各メーカーがAndroid Wearの登場により、一斉に参入しています。

 Android Wearにより、従来のスマートウォッチで曖昧だったプラットフォームの整備が進み、対応アプリの増加が期待できます。これはアップルやマイクロソフトにとって大きなプレッシャーとなるでしょう。サムスンもまた独自路線を捨てず、グーグルを牽制する形となっています。

IFA 2014直前予想
↑サムスンはAndroid Wear製品を発売する一方で、Tizen採用の新モデル『Gear S』を発表。フラグシップを意味する“S”ラインのモデルが、Android Wearではない点に注目。

 これまで問題となっていた“ファッション性”についても、いかにもガジェット然としたものだけでなく、時計として身に付けたくなるような製品が登場してきている点にも注目したいところです。

■9月4日、新Windows Phone発表か?

 モバイル分野で気になる存在が、マイクロソフトです。ベルリンでは大型のSurface Pro 3の看板も目立っており、IFAの来場者に向けたアピールは万全の体制となっています。

IFA 2014直前予想
↑ベルリンに設置された大型サイネージ広告。Surface Pro 3の広告だけを、繰り返し再生していた。
IFA 2014直前予想
↑ベルリン市内の至るところでSurface Pro 3の広告を見かける。

 さらに9月4日には、Windows Phoneに関する発表会が予定されています。残念ながら小規模な会場での開催となるため、Windows Phoneを発売していない日本のメディア向けの参加枠は用意されませんでしたが、年末商戦に向けての新たな展開に期待したいところです。

■関連サイト
IFA2014

山口健太さんのオフィシャルサイト
ななふぉ

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