2014年07月24日11時30分

喜・怒・哀・楽だよ人生は!コナミのMSXゲーム伝説10:MSX31周年

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MSX30周年スロット&スプライトロゴ

 コナミの名作MSXゲームを振り返るこのシリーズも早10回目。今回は『ウシャス』、『コナミの麻雀道場』、『スカイジャガー』の3本をお届けします。

■ウシャス(1987年発売)

MSX30周年:コナミ第10回

 MSX2オリジナルのアクションゲーム。横視点のジャンプアクションはファミコンなどではよく見かけたが、MSX2は縦スクロール機能があっても横スクロール機能がなかったため、その数は少ない。コナミでも『悪魔城ドラキュラ』、『ガリウスの迷宮』など、いずれも画面切り替え方式となっている。しかし横スクロールしないからといってゲームがつまらなくなるわけではない。制約を逆利用し画面切り替え方式を最大限生かしたゲームにする。その精神こそがコナミなのである。そしてこの『ウシャス』もまたそんな魂ある1本だ。

 題材もちょっと風変わりで、東洋考古学研究室で発見された古地図に記された“ウシャスの秘宝”を求めて、研究生のクレスとウイットがシルクロードへと旅立った……というものである。

MSX30周年:コナミ第10回
↑2つのキャラの特徴を使い分けて進めるところなど、『ガリウスの迷宮』の系譜なのだろうか。『ガリウス』×喜怒哀楽=『ウシャス』?


 ゲームは先程も言ったように横視点のアクションゲームである。2人とも最初から攻撃の手段は持っているが、遺跡の中に置かれた“喜”、“怒”、“哀”、“楽”と4種ある“感情アイテム”を取るとその攻撃手段が変化する。また2人のキャラクターはそれぞれ移動速度や攻撃方法に違いがあるだけでなく、片方がやられたらもう片方が救助に向かわなくてはいけない。2人ともやられた時、はじめてゲームオーバーになってしまう。

 面白いのは、BGMの曲調が感情によって変化するのである。“哀”を取るとちょっと暗めに、“楽”を取ると明るめに……と、曲そのものは変化しないが、感情に連動して音の高低が変化する。これはゲーム史上でも非常に珍しいギミックで、音楽の完成度と相まって『ウシャス』というゲームの象徴にもなっている。残念ながら、この時期既に『グラディウス2』で採用されていた独自音源の“SCC(音源チップ)”は本作には搭載されていない。が、PSG曲としては続く『シャロム』と共に最後の時期でもあり傑作&良曲揃いである。最後の『モヘンジョ・ダロ』などは本当に素晴らしい曲であると思うので機会があったらぜひ聞いてほしい。

 かように色々な点で意欲的な作品である『ウシャス』なのだが、ちょっと力みすぎた点もある。遺跡内のコインを集めてスピードやジャンプ力などを強化できるシステムがそれで、このシステムそのものよりも「パスワードを入れて途中から始めた時に全部リセットされてしまう」ところに不満が集まってしまった。遺跡は5つあり、クリアまでにはそれなりに時間がかかる。途中から始められるのはありがたいのだが、遺跡ごとに定型文のパスワードしかなく、パワーアップについてはパスワードに含まれない。結果として、途中から始めるとパワーアップが全てなくなってしまうのだ。後半戦はこの状態で進めるのは厳しく、結局一気にクリアするしかない。

MSX30周年:コナミ第10回
↑グラフィックはMSX2なので当然『ガリウスの迷宮』(MSX1)よりも美麗なのだが、MSX2程度のグラフィック性能で豪華絢爛な“黄金”の遺跡を表現するのはなかなか凄い。


 画面切り替えである点はマップデザインの工夫で問題なくなっているし、敵キャラクターが増えてもあまり遅くならないなど、技術面やゲームバランスも良いのに、このパスワードにまつわる部分、たったそれだけのことで印象を随分と下げてしまった感がある。コナミのMSXソフトとしてはやや手に入れづらい方に入るが、時間を取って最初から通して遊ぶと分かる、このソフトならではの“輝き”を今だからこそぜひ体験して欲しい。
 

■コナミの麻雀道場(1984年発売)

MSX30周年:コナミ第10回

 コナミのMSXソフトとしては異色の大人向けソフト。子供にゲームを買ってあげようと店頭に現われたお父上に「ご自分向けにもおひとついかがでっか?」とか狙っていたのかどうかはともかく、パッケージのイラストも加齢臭と煙草の入り混じるオッサン2人の対戦の様子が描かれており、これまでにない雰囲気を醸し出している。価格も6000円と同時期の作品としては頭一つ高く設定されている。

 箱を見ると「マージャンを覚えるための最適なテキストです。さあ、じっくり腕をみがいて実戦に役立てよう!」とあるから、いずれは対人戦に乗り出す人を育成する教科書的な立ち位置を目標としていることが伺えなくもない。お! もしかしてこれも教育シリーズの一種なのか!?
 実際、お父さんをさしおいて「コンピューターで麻雀を覚えた」というお子様もこの時期少なくなかったのではないかと思う。

MSX30周年:コナミ第10回
↑ここは“三萬”をチーして早上がり&ホンイツ狙いだ。いわゆる“鳴(なき)マージャン”だがドラも有るし安くはないぞ。


 ゲームはコンピューターとの1対1の対戦形式のみでいわゆる4人打ちではない。難易度は三段階あるが、全体を貫く思想はやはり“麻雀を覚える”ことにあるようで、説明書も麻雀のルールを詳しく説明している。全20ページなので大した厚みはないが、同時期のゲームは説明書がそもそも付属していないものも少なくなく、箱の裏だけで解説が済んでいたものも多かったのだから、随分と力を入れていることがわかる。役の説明は手牌の例がないためやや簡素だが、得点計算は細かく解説されている。面白いのが「勝ち麻雀のヒント」で、「大きな手をやっている人の捨牌に注意」とか、やはり対人戦への基本的な心構えのようなものを書いている。基礎を大切にしつつも最後は「ツキを信じ、勝つという信念で勝負する」で締めくくっているところを見ると、「気持ちで流れを引き込むことも大事だ」ということを知る、それなりの“手練れ”が監修としてスタッフにいたのでは? などと想像をめぐらしてみる。

MSX30周年:コナミ第10回
↑「おりゃ!」と叫んで気合いでツモる。「よしゃーっ!」ってな具合に画面に向かって“独り言”を言うゲームの筆頭である。これがポーカーとかソリティアだとなぜかあまり言わない。


 パソコンゲームの世界では割と黎明の頃から麻雀ゲームというものはあったため、1984年発売の本作はあまり目新しいところはない。がしかし操作性などにも細かに配慮がなされたコナミのMSXゲームに共通する実にそつのない作りとなっている。この経験とノウハウは5年後に発売される『牌の魔術師』で見事に花開く。対戦キャラクターにコナミMSXソフトのキャラクター達を据えるなど、コナミらしいエンターテインメント性溢れる作品になっている。そちらも追って紹介するのでどうぞお楽しみに。


■スカイジャガー(1985年発売)

MSX30周年:コナミ第10回

 宇宙歴元年、銀河系外セイファート星雲より謎の艦隊が飛来、植民衛星ミランダを全滅させ、さらに地球へと迫っていた。地球連邦防衛軍は、敵の攻撃を阻止し浮遊要塞を撃破するべく、最新鋭戦闘機“スカイジャガー”のスクランブル発進を指令した(説明書より)。……という、今見ると『宇宙戦艦ヤ〇ト』になんとなく似たストーリーを持つ縦スクロールシューティングゲームである。子供心をくすぐる要素満載の設定はMSXユーザーの心にも響いたのか、コナミMSX初期の作品としては今でも中古ソフトとして容易に見かけることができるほどに売れていたようである。

 ちなみに説明書とパッケージ箱で微妙にストーリーが違っていて、箱の方では「太陽系の平和統一成った宇宙暦元年」と、多少内容が盛られていてさらに少年の心を躍らせる。そんな余談はさて置いて、後の『グラディウス』などを見た後では画面がいささか寂しく見えるかもしれないが、当時としてはけっこう頑張っている。

MSX30周年:コナミ第10回
↑静かな立ち上がり。最初は簡単だがだんだん忙しくなってくるので難易度は見た目ほど低くはない。が、鍛錬すればけっしてノーミスクリアも不可能なわけではないぞ。


 全体にかなりゆっくりとした速度で進行するゲームで、敵キャラクターの攻撃も見た目はそれほど激しくはない。ただ、一発ずつを確実に当てていかないと徐々に追い詰められてしまい、ついには避けきれなくなる……という、一種独特の感覚を持っている。現代の弾幕シューティングなどとは全く異なるデザインで、やられる前に先手を打って敵の配置を適宜に減らしておく、というちょっと戦略的な思考が必要になる点が面白い。

 また効果音も独特で、ノイズを主体とした爆発音ではなく「ポエーン」といった妙に明るい音が多いのも特徴である。自機の弾の当たり判定は狭めになっているため、漠然と撃つのではなく狙って撃っていかないといけない。この辺も後々のシューティング系とは異なる。敵ごとに異なる効果音のおかげで、当てたときの快感がより強く感じるようにできているところもゲーム制作上の小技として興味深い。

MSX30周年:コナミ第10回
↑当時はデザイン的にも有名な縦スクロールシューティングのアレに似ているとか言われたが、むしろ『魔城伝説』や『ツインビー』へと連なる一作だ。地上攻撃とか無いし、一見シンプルだが実はこの時期としては“仕掛け”は満載な方だ。


 さてこのゲーム、残念ながらゲーム中に通して鳴るBGMがない。初期の『わんぱくアスレチック』、『けっきょく南極大冒険』などでは既にBGMが存在していたから、技術的に鳴らせなかったわけではないのは明らかだ。確かに初期のMSX作品にはコナミに限らずBGMがないものも多いのだが、このゲームは特に進行がゆっくりな演出のせいで音と音の隙間が妙に長く感じる。

 音楽としては開始時のジングルと、敵要塞を破壊した時のちょっと暗い雰囲気の曲だけである。このせいで“妙に静かな感じがするシューティングゲーム”という特異な印象が強く記憶に残っているのだった。それはそれで今のゲームにはまったく存在しない独特な感覚として、とても貴重であり面白いのだが、当時はうら寂しさが我が少年の心にそこはかとなく沸き起こるゲームだったのだ。

 ちなみにこの『スカイジャガー』、開発段階では機密保持のために“肉ジャガ”と呼んでいたというエピソードがかつて配布されていた『コナミマガジン』で紹介されていた。なんと家族にまで「今、肉ジャガ作ってる」とか言っていたそうである。そんなことを言われてもご家族としても困ったのではなかろうか。以来、“肉ジャガ”を見るたびに『スカイジャガー』を思い出してしまうのがMSXユーザーなのであった。まあ、一部ユーザーだけだが。

(C)Konami Digital Entertainment

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 ここからは、ツイッターおたよりコーナー。ていうかみなさんのツイートから勝手にもってきてるだけですが。

ハムの人P@新米赤真マス@hamtchさん
棒高跳びが泣くほど辛かった思い出。

――ハイパースポーツの棒高跳び、ここまでたどり着くのが大変なうえに、タイミングが難しいゲームでした。ポン、ぐいーーん、ポンって感じ。

(宇)もりやま@axehedronさん
 煽りが甘い。「指が折れるまで」は超えないと…!(マテ

――す、すみません。まぁ、でもそのうち、指じゃなくて定規とかボールペンとかを使いだしちゃうんですよね。ボールペンが折れるまで!

それではまた。ツイッターでもご意見・ご感想等どんどんつぶやいてくださいね。


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