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GoogleがChromebookを企業優先で投入する狙い by石野純也

2014年07月15日 16時30分更新

 Googleは、Chrome OSを搭載したChromebookを7月から、日本に投入する。2014年7月にはAcer、8月にはASUS、9月にはHPからそれぞれ対応機種が発売される。このほか、デルと東芝もChromebookをラインアップしている。

Chromebook
↑ウェブアプリの動作を前提したChrome OSは、軽量で端末の価格もリーズナブル。米国などで販売されており、日本では満を持して登場。

 Chromebookに搭載されるChrome OSは「多くの人が使っているノートPCのOSは汎用的なもので、必ずしもウェブの利用に最適化を図ったものではない」(Google シニアエンジニアリングマネージャー 及川卓也氏)という問題意識から生まれたもの。GメールやGoogleカレンダーといったウェブアプリの利用に主眼を置き、機能の軽量化を図っている。

 その結果、「電源を入れてからユーザーがログインし、Gメールが使えるようになるまで10秒以内で完結する」(同)という。及川氏の言うとおり、公開されたデモ機を操作した印象では、ログインからブラウザー、ウェブアプリの起動は非常にスムーズだった。セキュリティーにも配慮されており、「Googleのアカウントやクラウドに紐づいた状態なので、リセットしても(データや設定、PCの状態が)すぐ元に戻る」のも、Chromebookならではだ。

Chromebook

 先行して投入した北米市場では、特に教育市場で一定の成果を出している。Googleのマネージングディレクター 阿部伸一氏によると、「ビジネス向けのノートPCの形をした端末では、昨年の統計で5台に1台がChromebookという成果が上がっている」という。実際、北米でベストバイなどの家電量販店をのぞいてみると、Chromebook専用のコーナーが設けられており、ユーザーからは一定の評価を得ていることがわかる。特に価格のインパクトは大きい。北米では300~500ドル程度で販売されており、スマホ並みの感覚で購入できる。ソフトウェアなどまで含めて企業に導入した際も、「一般的なコンピューターだと3年間で60万円かかるコストが、Chromebookだと6分の1まで低減できることがわかっている」(同)。

 ただし、日本では当初は企業および教育機関へのみの販売になる。低価格でレスポンスのいいChromebookだけに、パソコンとスマホの間を埋めるデバイスとして期待できそうだが、Google広報によると現時点では個人販売は「検討している」段階という。Googleとしては、いきなり新しいOSを個人向けに投入するより、まず企業や教育機関へ販売が確実に見込めそうなところから実績をつくることを優先しており、比較的小規模な立ち上げになる。海外でも、企業や教育機関への一括導入で結果を残しており、これはGoogleの既定路線でもある。

 販売を行なうディストリビューターも現在は2社のみだが、これは「ここで致命的な漏れや抜けがないかを、まず確認させていただきたい」(阿部氏)ためだという。Chrome OSはアンドロイド向けアプリが動くアップデートも予定されており、個人の持つスマホとの親和性も高くなる見込みだ。一般ユーザーが購入できないのは少々残念だ。

 また、米国では販売中のLTEモデルも日本では未発売となる。ラインアップされた5メーカーの端末は、「すべてWiFiのみの対応」(阿部氏)で、移動しながら使うにはWiFiルーターなどと組み合わせる必要がある。オフラインでもある程度は使えるとはいえ、ウェブサービスの利用を前提にした新しいデバイスだけに、セルラー版の登場も期待したい。

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