WWDC 2014でiOS 8が発表され、一般ユーザー以上に喜んだのは開発者だった。これまで制限されていた機能やサードパーティー製IMEの開放などは待望のものだ。ヘルスケアデバイスや家電をコントロールする各種APIもリリースされた。アプリ開発の自由度が上がって開発者が喜んでいるということは、もちろん最終的にそれらを使う一般ユーザーだってうれしい。iOS 8新機能の中でも、特に開発者にとってうれしいという機能を紹介しよう。
なお、WWDCの基調講演会場がどよめくほどのインパクトを与えたのは新たな開発言語のSwiftについてはこちらの記事で詳しく紹介している。
サードパーティー製アプリでもカメラや「写真」の操作が可能になる PhotoKit
サードパーティー製のカメラアプリでも、撮影時に露出やフォーカス、ホワイトバランスなどをコントロールできる「Camera API」が公開される。また、ほかのアプリが「写真」ライブラリにアクセスするための「PhotoKit」も用意。「写真」アプリにサードパーティー製のフィルターや編集ツールを追加したり、編集機能を備えるアプリの開発が容易になる。
iCloudを使ったウェブサービス開発が容易に CloudKit
モバイル向けのクラウドサービス開発には、サーバー側の処理や管理も必要になる。この分野では米アマゾン社や米グーグル社が安価なソリューションを提供しているが、Appleもこれらのサービスに対抗する「CloudKit」を提供開始。
App Storeは使い勝手が向上し、バンドル販売も可能に
App Storeは検索機能が強化されるほか、スクリーンショットの代わりに動画を掲載できるようになり、実際の動きを見せられるようになった。さらに複数のアプリをまとめて割引するバンドル販売や、開発途中版をユーザーに公開できる「TestFlight」も搭載。開発者にとっては、ダウンロード数を稼ぎやすい仕組みが増えることになる。
複数のアプリをまとめて販売できるようになる。単独ではランキングに埋もれがちでも、人気アプリと組み合わせることでマネタイズ効率を高められる。 |
App Store内のプレビューにムービーを掲載できるようになり、アプリの動きを見せられる。現在はYouTubeなどでPVを公開している開発者が多い。 |
さらに、新機能として大々的に謳われたわけではないものの開発者が地味にうれしいというWebKit開放について、アプリ開発者である株式会社シュハリ代表取締役・松浦晃洋氏にコメントをいただいた。松浦氏は、HTML5でのゲーム開発、 PhoneGapを使用したアプリ開発を行っている。
iOS 8ではさまざまなAPIが追加されたが、その中で注目しているのがWebKitフレームワークだ。iOSとOS Xで同じWebKit APIの使用が可能になったのだ。これまでアプリ内でHTMLを表示するにはUI WebViewというクラスを使用していたが、UIWebViewにはさまざまな制約がある。中でもいちばん影響が大きいのがJavaScriptの実行速度。iPhoneのSafariは以前から「Nitro」と呼ばれる高速なJavaScriptエンジンで実行しているが、UIWebViewにはこのNitroが使われていないため、Safariと比べて実行速度が遅いのだ。
例えば、アプリ内にUIWebViewを表示して、実際のアプリのビジネスロジックはすべてHTML5で記述する「PhoneGap」というフレームワークがある。このようなアプリの場合、JavaScriptを使用した処理がSafariよりも遅く、ユーザーをイラつかせる原因となっていた。また、開発者はさまざまなテクニックを駆使して処理速度の向上を図っていた。
WebKitではこの制限がなくなり、Safariと同等の性能をアプリ内のブラウザーでも実現可能になった。ブラウザーアプリを提供するアプリ開発者はもちろん、CordovaやPhoneGap、HTML5を使用しているアプリ開発者にとっても朗報だろう。HTML5を使用しているアプリ開発者にとっては、Metalと同じくらいのインパクトがあるフレームワークだ。いまはまだ敬遠されがちなHTML5でのアプリ開発も今後、より活発になっていくだろう。
NitroはSafari 4から組み込まれているApple独自の高速なJavaScriptエンジン。サードパーティー製アプリはNitroを使うことができないため、iOS向けChromeではページの先読みなどで対抗している。 |
ここでは開発者がうれしいiOS 8新機能を紹介しましたが、iOS 8をまるっと理解するならMacPeople8月号(6月28日発売号)の第1特集をどうぞ! WWDCでベールを脱いだOS X YosemiteとiOS 8の新機能を総ざらいしています。
そのほかの特集ラインアップは、Appleの新プログラミング言語Swiftパーフェクトガイド、WordPressで作るレスポンシブウェブデザイン、Googleアナリティクス基礎講座など。電子版なら気になるキーワードで検索ができるほか、定期購読は紙よりも安くてお得ですよ!
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