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インテルは『XMM-7260』とロックチップとの提携でライバルを猛追:COMPUTEX2014

2014年06月08日 19時30分更新

 インテルはCOMPUTEX TAIPEI 2014にて、同社のモバイルおよび通信に関する取り組みについての記者説明会を行なった。

インテルXMM-7260

↑記者への説明を行なう、インテルの副社長兼モバイルコミュニケーション事業本部 モバイル&インテルセキュリティープラットフォーム事業部長のJulie Coppernoll氏。


 インテルはスマホやタブレットなどで通信を扱うプロセッサーとして『XMM-7260』のサンプル出荷をスタート。現在は各キャリアにて検証を行なっている状態で、製品レベルでの出荷も近いという。

 XMM-7260の特徴は、LTE-Advancedに対応しており、CA(キャリアアグリエーション)により、最大300Mbpsでの通信が可能。これはクアルコムなどライバル社よりも先に実現した業界最速のスペックだ。また、マルチバンドで利用でき、FDD-LTEとTD-LTEの両規格もひとつのプロセッサーで利用できる。
 

インテルXMM-7260

↑基調講演でもLTE-Advanced対応のXMM-7260がテーマのひとつとなっていた。


 さらにVoLTEにも対応しているが、これは前モデルの『XMM-7160』でもソフトウェアアップグレードで対応済み。ただし、Coppernoll氏はVoLTEのサービス展開が世界的にもまだまだ広がっていないため、VoLTEよりも、CAへの対応を重要視しているとのこと。

 これまでインテルは、通信用のプロセッサーがウイークポイントとされてきた。実際このCOMPUTEX TAIPEI 2014で発表されたデルのLTE対応タブレット『Venue8/7』も、メインプロセッサーはインテルのAtomシリーズだが、通信用プロセッサーは、クアルコムの『Gobiシリーズ』を採用している。
 

インテルXMM-7260

↑日本でも発売予定となっているデルの『Venue8』。メインプロセッサーはインテル製だが通信はクアルコム製。


 XMM-7260は前述のように他社に先駆けて300Mbpsでの通信を実現するなど、ライバル社の通信用プロセッサーとも十分対抗できるレベルに仕上がっている。また、日本市場はauとソフトバンクがFDD-LTEとTD-LTE(auはWiMAX2+、ソフトバンクはAXGP)のどちらも提供している。ここにXMM-7260を搭載したスマホやタブレットが登場すれば、通信機能的にはかなり魅力のある製品となりそうだ。

 説明会では、さらにエントリーモデルへの取り組みに言及。同社ではメインプロセッサーと通信用プロセッサーをひとつのパッケージとした『SoFIA』を展開中。このSoFIAの展開に大きく関わっているのが、中国の半導体メーカーのロックチップ(Rockchip)だ。

インテルXMM-7260

↑基調講演でもロックチップ社との提携をアピールしていた。


 実はインテルとロックチップは、COMPUTEX開催直前の5月末に事業提携を発表している。ロックチップはもともと、インテルが苦手とするローエンド向けの市場に強いメーカー。そこでロックチップにインテル製のSoFIAを提供することで、ハイエンド市場だけでなく、ローエンド市場もターゲットとしていることがうかがえる。
 

インテルXMM-7260

↑SoFIAは2014年の第4四半期に3Gモデルが投入される予定。


 

インテルXMM-7260

↑基調講演で、SoFIAを搭載したスマホを使い通話のデモが行なわれた。


 現在のスマホやタブレット市場では、メインプロセッサーだけでなく通信用プロセッサーの性能がシェア拡大のキーポイントとなっている。シェアとしてはクアルコムが数歩リードしている状況だが、XMM-7260のリリースと、ロックチップとの提携でこのシェアがどう変わるかが注目だ。

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