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殻割りチームも登場 Devil's Canyonが空冷で5.4GHz突破:COMPUTEX2014

2014年06月04日 07時30分更新

Devil's Canyon OC

 イベントではインテルの副社長でデスクトップ担当のリサ・グラフ氏がテンション激高でDevil's Canyonとオーバークロック対応のPentium 20th Anniversary Editionを紹介。ライトのあて方なんでしょうけど、心なしかリサ氏にデビルがのりうつっているような……。でも、やはりオーバークロック(OC)イベントともなれば、このぐらいの気迫じゃないと盛り上がりにかけますよね。

Devil's Canyon OC

 基調講演ではさらっとした紹介で終わったDevil's Canyonですが、既報のCore i7-4790K以外にも、Core i5-4690K(3.5GHz~3.9GHz)が紹介されました。また、価格も明らかとなり、Core i7-4790Kは339ドル、Core i5-4690Kは242ドルとのこと。前世代のCore i7-4770Kでは国内初出時の価格が3万9000円前後だったので、もしかしたらCore i7-4790Kもそのぐらいの価格で出るかもしれません。

Devil's Canyon OC
Devil's Canyon OC

 会場にはPentium 20th Anniversary Edition搭載デスクトップもありました。CPU-ZにはPentium G3420の文字。定格は3.2GHzですが、早速4.5GHzほどにOCされていました。簡易水冷構成でこれだったので、結構回る石っぽいですね。ASRockからは80ドルぐらいの低価格なZ97マザーも登場するようですし、これは激安OCの波が来る予感大です。

Devil's Canyon OC
Devil's Canyon OC

 インテルが999ドル以下で提供すると言っている4K液晶一体型PCも会場で発見。左がMiTAC製で右がwibtek製。どちらも日本ではなじみがないメーカーですが、MSIやECSからもこういった製品が出てくると思います。デモではHEVCコーデックの高圧縮4k映像が流れていました。

Devil's Canyon OC

 さて、前置きが長くなりましたがいよいよOCイベント本編に参りましょう。まずはルール説明。持ち時間は3.5時間で、4コアすべてをOCする部門、1コアだけOCする部門に分かれます。さらに、それぞれ空冷/水冷部門、液体窒素(LN2)部門に分かれます。

Devil's Canyon OC

 各部門賞それぞれに賞金がかかっており、4コアの空冷/水冷部門の5000ドルが最高金額です。また、OC後にCINEBENCH R15などのベンチマークソフトでハイスコア―をたたき出しところにも賞金が別途つきます。

Devil's Canyon OC

 では、OCに挑戦する各メーカー(ASRock、ASUS、EVGA、GIGABYTE、MSI)の環境をご紹介しましょう。

●ASRock

Devil's Canyon OC
Devil's Canyon OC

 ASRockチームは空冷がメインでクーラーマスター製のごっついクーラーふたつでチャレンジ。

●ASUS

Devil's Canyon OC
Devil's Canyon OC

 ASUSチームで目を引いたのはこの段ボールシステム。CPUには簡易水冷クーラーを装着し、ラジエーター部のみを段ボールで囲って、そのなかに液体窒素のポットを入れて冷やす仕組みです。同様の冷却システムはほかのチームでも程度の差はあれ、ちらほらと見かけました、いまはこの方式がトレンドなんですかね。

●EVGA

Devil's Canyon OC
Devil's Canyon OC

 段ボールで囲わずに液体窒素を豪快に使っていたのがEVGAチーム。ラジエーター部のファンは超高速回転仕様なのか、とんでもない爆音でした。よりすばやく冷気をラジエーターにあてるための作戦ですね。

●GIGABYTE

Devil's Canyon OC
Devil's Canyon OC

 GIGABYTEチームはは先日発表したばかりの『Z97X-SOC FORCE LN2』でトライ。しっかりメモリークロックにもLN2用ポットを装着して、メモリークロックの部門賞を獲りにきています。

Devil's Canyon OC
Devil's Canyon OC

 もうひとつの環境は発想はASUSの段ボール囲み作戦と似ているのですが、こちらはマザーも込みで発泡スチロールの箱で囲ってしまおうというもの。これは大胆。よほど結露対策に自信があるのでしょう。

●MSI

Devil's Canyon OC
Devil's Canyon OC

 最後はMSIチーム。最初はかわいらしい空冷クーラーでトライしたかに見えたのですが、実はこの作業は各チームに配られた石の選定作業だったようです。

Devil's Canyon OC
Devil's Canyon OC

 石が決まれば、なんとあっさり殻割りを実行。Devil's CanyonではTIMが改良され、従来のグリスよりも熱伝導性の高いグリスに変わっているはずなんですが……、それでも彼らは割りたかったのでしょう。 しっかりMSI純正の殻割りダイ・ガードで固定。むしろMSIのOCマザーの特徴を生かした戦法とも言えます。

Devil's Canyon OC

 冷却システム自体はほかのチームと同様、簡易水冷のラジエーターを液体窒素で冷やす仕組みです。

Devil's Canyon OC

 会場の隅には何度でもおかわりできるように巨大な液体窒素容器がありました。すさまじい大きさです。

Devil's Canyon OC

 残り1時間50分の時点で抜け出したのは4コアの空冷/水冷部門ではASRockチームの5.496GHz。1コアの空冷/水冷部門ではASUSチームの5.515GHz。一方で、液体窒素部門でも1コアですが記録を登録するチームが現われました。

Devil's Canyon OC
Devil's Canyon OC

 で、途中ASUSが首位になったりいろいろドラマがあったのですが、長いので割愛しますと、最終的に4コア空冷/水冷部門で優勝したのは殻割りを実行したMSIです。OC後の動作クロックは5.49872GHz。まあ、水冷ラジエーター部を液体窒素で冷やしているので厳密には“水冷”と言うにはちょっと……と思うのですが、会場は熱気むんむんだったので、仕方なしですね。むしろ途中まで空冷のみで首位をキープしていたASRock(5.496GHz)がスゴすぎです。多くの自作erがOCをする上で目標にしたい数値ですね。

 液体窒素部門ではGIGABYTEチームが独占。4コアでは6.331GHzと尋常ではないクロックに。メモリークロックも首位です。型番に“LN2”がつくのでは伊達ではないことが証明されましたね。

 Devil's Canyonはやはり相当にOCに特化したCPUのようです。今年の夏は再びOCで自作市場が盛り上がりそうです。

(2014年6月4日10:52追記:記事初出時、賞金額に誤りがございました。お詫びして訂正します。)
(2014年6月21日3:40追記:記事初出時、本文中に誤字がありました。お詫びして訂正します。)

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