2014年05月21日19時00分

Surface Pro 3は“MacBook包囲網”に対抗できるか?

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 日本時間では5月21日0時よりライブ中継されたSurface Pro 3発表会。直前まで噂になっていた“Surface Mini”の不在が逆にちょっとしたサプライズになりましたが、代わりに発表された大型モデル『Surface Pro 3』は好評を得ているようにみえます。

Surface Pro 3は“MacBook包囲網”に対抗できるか?
↑予想とは違ったが意外と好評な『Surface Pro 3』。

 正直言って、Surface Pro 3は筆者のSurfaceに対する期待を上まわる発表になりました。なにがどう凄かったのか――まずはライブ中継を見た感想をまとめておきたいと思います。

■Surface Pro 3発表会の“MacBook包囲網”が話題に

 Surface Pro 3発表イベントのライブ中継映像で話題となったのが、会場に集まった報道関係者のMacBookユーザーの多さです。最前列にアップルのロゴマークが並ぶ場面が、何度も映像に映りました。

Surface Pro 3は“MacBook包囲網”に対抗できるか?
Surface Pro 3は“MacBook包囲網”に対抗できるか?
↑発表会のライブ中継ではMacBookを使う最前列の記者が目立った。

 この映像を見て、『Surface Pro 3』と『MacBook』を比較するための演出ではないか、と感じた人がいるかもしれません。現に映像によく映っていた最前列の座席はReservedの席で、空席が残っています。いつも最前列に座っている著名ジャーナリストが2列目に座っていることにも、少し不自然さを感じます。

Surface Pro 3は“MacBook包囲網”に対抗できるか?
↑最前列にMacBookが集まりすぎており、やや不自然にも見える。

 ただ、筆者の経験上、欧米のプレスイベントでMacBookが並ぶ光景は、ごく一般的です。海外メディアのMac率は高く、仮に演出の要素があったとしても、それほど事実とかけ離れているとは言えません。

 この“MacBook包囲網”に対抗するためか、ライブ中継の終了間際には、参加者にSurface Pro 3の実機が1台ずつ配られるとの発表がありました(ただし、一般に報道関係者は倫理規定により製品自体をもらうことはできないため、評価用の貸出機と思われます)。

■新ジャンル“12インチタブレット”市場とは?

 Surface Pro 3の仕様で興味深いのは、10インチのタブレットよりもひと回り大きい、12インチという画面サイズです。特にビジネスユーザーからは、ノートPCの置き換えとして10インチ以上のタブレットを求める声が大きいといわれています。

 サムスンがGALAXY NotePRO/TabPROにおいて12インチモデルをラインアップしたのは、まさにこの需要を先取りするものです。それに続いてiPadが12インチモデルを投入することで、本格的に12インチタブレットの市場が拡大するものと考えられていました。

Surface Pro 3は“MacBook包囲網”に対抗できるか?
↑サムスンはすでに『GALAXY NotePRO/TabPRO』で12インチタブレット市場に進出している。

 そこに待ったをかけたのが、今回のSurface Pro 3となります。これでiPadに対して“先手”を打つ形となり、仮にアップルが近日中に大型版のiPadを発表したとしても、GALAXY、Surfaceの後に続くことで新鮮味が失われることになるでしょう。

■Surface Pro 3は“真にノートPCを置き換えるタブレット”

 モバイルのタブレットとして考えると、12インチは大きすぎると感じるはずです。しかし重要なのは、Surface Pro 3がノートPCを置き換えるタブレットであるという位置付けです。プレスリリースでは、Panay氏の発言として「Surface Pro 3 is *the* tablet that can replace your laptop」と、theが強調されています。これが意味するところは、Surface Pro 3がノートPCを置き換えることのできる“唯一の”、あるいは“初めての”タブレットである、というニュアンスです。

Surface Pro 3は“MacBook包囲網”に対抗できるか?

 プレゼンテーションでPanay氏が語ったように、iPadユーザーの96%は同時にノートPCも持っており、しばしばその両方を持ち歩いています。これを何とかして1台のデバイスに統合できないかということは、誰もが1度は考えるはずです。

 とはいえ、タブレットとしてもノートPCとしても使えるデバイスという概念は、新しいものではありません。インテルはもともと“2in1”を提唱しており、それ以前からデタッチャブル型やコンバーチブル型と呼ばれるPCが多数、店頭に並んでいます。

 問題は、それらの中にタブレットとしてもノートPCとしても申し分なく使えるものがどれだけあったのか、という点です。

■新キックスタンドと新タイプカバーがクラムシェルを置き換える

 デタッチャブル型のPCとして人気がある、レノボの『ThinkPad Helix』や、富士通の『ARROWS Tab QH55/M』は、たしかによくできた製品です。しかしどちらの機種も、タブレットとキーボードの重量バランスの配分に苦労していました。

Surface Pro 3は“MacBook包囲網”に対抗できるか?
↑『ARROWS Tab QH55/M』用のキーボード。後方に倒れるのを防ぐため、キーボード底部から“足”を引っ張り出すことができる。

 コンバーチブル型として評価の高いソニーの『VAIO Duo 13』も、単純なクラムシェル型のPCに比べると、ノートPCとしての使い勝手には制限が目立っていました。

Surface Pro 3は“MacBook包囲網”に対抗できるか?
↑コンバーチブル型の最高峰といえる『VAIO Duo 13』だが、ディスプレーの角度が調節できない、タッチパッドが狭いなど、基本的な使い勝手に疑問が残る。

 このように従来の2-in-1型PCはどれも一長一短であり、タブレットとノートPCを両方持ち歩くことに比べて、十分な優位性がある状態とはいえませんでした。しかしながらSurface Pro 3には、クラムシェル型ノートPCの使い勝手を真に実現したいという意気込みを感じます。

 たとえばクラムシェル型ノートでは、卓上で使う場合や膝の上で使う場合に合わせて、ディスプレーの角度を自由に調節できるのが当たり前です。Surface Pro 3ではこの機能を、最大150度まで調節できるキックスタンドによって実現しています。

Surface Pro 3は“MacBook包囲網”に対抗できるか?
↑新キックスタンドは任意の角度で固定可能。クラムシェル型ノートPCにおける、ディスプレイヒンジの役割を果たしている。

 クラムシェル型PCでもうひとつ重要な要素が、キーボードがディスプレーと物理的につながっていることです。これは、安定した卓上以外の場所でPCを使うためにどうしても必要な点です。

Surface Pro 3は“MacBook包囲網”に対抗できるか?
↑タブレットとキーボードを物理的に接続するには、溝にはめ込むというアイデアもあった。

 Surface Pro 3は、マグネットによりタブレットとキーボードを接続することでこれを解決しています。しかも従来モデルのそれとは異なり、付け根部分が折れ曲がることでマグネットによる設置面積が増え、より安定するように見えます。

Surface Pro 3は“MacBook包囲網”に対抗できるか?
↑タイプカバーの付け根が折れ曲がっている点に注目。

 もちろん、筆者は実機に触っていないため、あくまで映像から見た感想に過ぎないものの、従来の2in1型PCに比べて、明らかに世代の違うアイデアが投入されてきたという印象を受けました。

 なぜ従来のPCメーカーは、このような製品を作ることができなかったのでしょうか。各社ともに、デザイナーのスケッチやプロトタイプのレベルでは、非常に尖ったアイデアをもっているのです。しかし実際に発売される製品は、個性が取り除かれ“丸くなった”ものがほとんどです。東芝が発表した7モードPCのように尖った製品を発売することは、容易ではないといえます。

Surface Pro 3は“MacBook包囲網”に対抗できるか?
↑7つのスタイルで使えるという東芝の『dynabook KIRA L93』。

このような状況を踏まえてSurface Pro 3の発表を見直すと、マイクロソフトがSurfaceを作る本当の意味が、改めて浮き彫りになってきます。Surfaceなら、Windowsの使い勝手を引き出すことを純粋に追求したデバイスを、尖ったままの状態で世に問うことができます。今後、12インチタブレットという市場がどれくらい成長するのか不透明な段階でも、Surfaceなら率先して切り込んでいくことができます。

それが成功し、もっとたくさんの12インチタブレットが欲しいという需要が拡大すれば、PCメーカー各社はバリエーション豊かな製品を投入するチャンスを得られます。これまでのSurfaceの挑戦は決して成功ばかりではありませんが、それを支えているのがWindowsやOfficeの売上からなる莫大なキャッシュというわけです。


■日本の発売時期や価格は改めて発表

 Surface Pro 3は、日本でも8月末までに発売されると発表されています。果たしてそれが7月なのか、8月なのかはわからないものの、発売に関してはひとまず安心して良いでしょう。日本マイクロソフトは「日本でも改めて発表を行なう予定。発表に向けて、準備を進めている段階」とコメントしています。まずは日本での正式発表を待ちたいところです。

■関連サイト
Microsoft Surface
Microsoft introduces Surface Pro 3: the tablet that can replace your laptop(英文)

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