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齋藤学のプレーを数値化して分析 横浜F・マリノスがmiCoach eliteを導入

2014年05月07日 22時00分更新

 トレーニングで数値を可視化し分析できるアディダスのスポーツウェアラブルシステム“miCoach elite(マイコーチ エリート)”を日本で初めて横浜F・マリノスが導入した。世界ではドイツブンデスリーガのFCバイエルンミュンヘン、ACミラン、各国代表でもスペイン代表、ドイツ代表、アルゼンチン代表などが採用する。

 2014年5月7日、横浜みなとみらいのマリノスタウンにて導入発表記者会見が行なわれ、左から横浜 F・マリノスの篠田洋介フィジカルコーチ、アディダス ジャパンのトーマス・セイラー副社長、横浜 F・マリノスの齋藤学選手、横浜マリノスの嘉悦朗代表取締役社長が登場した。それぞれが手に持っているのが、フィジカルデータを指標として数値化するため、トレーニングウェアに装着する“プレーヤーセル”と呼ばれる小型の測定器だ。

miCoach elite

 プレーヤーセルは55.8(W)×17.2(D)×73.9(W)ミリ、54グラムのスポーツウェアに装着するには少し大きめに感じる端末。インナーシャツの肩甲骨の部分に装着するものだが、実際にはほとんど違和感は感じないという。齋藤選手も「はじめて使った時には背中にあたる感じはあった。何度も使って慣れました。気にならなくなっている」と話す。

 嘉悦社長によると導入の理由は「チームのコンセプトに必要と考えた。2年前からスタイルを構築しようとしてきたチームスタイル。攻守にわたってイニシアチブを握って勝ち切ること。ボールを支配し、攻守の切り替えを把握すること。チームが連動してゴールを目指すこと。そのためにはハードワークがキーになる。ベストなフィジカルコンディションを1年間で保つためには、合理的なトレーニングを講じていく必要がある」と説明する。

miCoach elite
miCoach elite

 プレーヤーセルにはGPS、磁力センサー、加速度センサー、ジャイロセンサー、インナーウェアには心拍センサーを搭載。その得られたデータをトラッキングし、WiFiを介して選手のトレーニングデータを携帯型送受信機からクラウドへアップロードする。

miCoach elite

 送られたデータは練習場ではその場でリアルタイムにデータをiPadで確認可能。また、ウェブアプリケーションでトレーニングの分析が行なえる。心拍数、加速減速、スピード、走行距離、位置情報、強度など平面的なデータをチェック、蓄積可能だ。

miCoach elite

 たとえば心拍数と運動負荷の関係は、心拍数が上がらずにパワーが出せている選手。心拍数が上がっているが、パワーが出せていない状況などを分析して、トレーニングにフィードバックできるといった使い方ができる。

miCoach elite

 このようなデータはこのシステムを使えば何百種類と取れるという。横浜F・マリノスでは2013年末から試験導入しており、篠田コーチはまず練習中にどれだけ選手が走っているか、選手の心拍との関係、どれだけスプリントを行なっているかの3つに絞ってデータをチェックしているという。まだ戦術や起用法への適用までには至っていないが、これによりこの選手はこんなにスプリントを繰り返していたんだなど、新たな個性発見など見えているという。

 大量のデータをどう利用し、それを競技に応用できるかは数学的な専門的知識が必要になってくる領域だ。このようなデータサイエンスの領域はいまとても人材が不足しているという。ただデータを取るだけではなく、どう利用できるか課題も大きい。

miCoach elite
miCoach elite

 トレーニング中は運動量や心拍数などがiPadに送信されリアルタイムにチェックできる。紅白戦で走行距離や心拍の上がりすぎた選手は交代させるといった使い方が可能だ。走った量やスプリントの数など、試合に向けてのコンディションづくり、トレーニングをコーチの立てた目的の強度に合わせてコントロールし、選手にフィードバックしながら使っている。

 ここからは個人的な思いだが、今季の横浜 F・マリノスはAFCアジアチャンピオンズリーグでの移動や試合増といった要因だけでは測れないものの、思ったような成績が残せていない。選手の疲労のコントロールや効率的な練習など、このシステムが後半戦の盛り返しの手助けとなってほしい。そして、もちろん齋藤学選手が日本代表に選ばれ、ブラジルW杯のピッチに立ってくれることを信じております。

■関連サイト
横浜F・マリノス 公式サイト

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