2014年04月30日21時15分

KDDI決算発表 好業績で今後は継続成長と価値競争にシフト

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 KDDIは4月30日、2014年3月期の決算を発表した。営業収益は4兆円、営業利益は6000億円を初めて突破し、いずれも前年同期比2ケタ成長を達成。期初の目標どおりの業績を達成しており、田中孝司社長も「悪いところがない」と好業績をアピールする。2015年3月期では、営業利益で2年連続2ケタ成長を目指す。

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↑決算発表に臨んだKDDI代表取締役社長の田中孝司氏。

 営業収益は対前年同期比18%増の4兆3336億円、営業利益は同29%増の6632億円、EBITDAは同24%増の1兆1861億円。田中社長は2010年12月に社長に就任し、初年度は“auモメンタムの完全回復”として基盤事業の立て直しを図り、2012年度は“3M戦略”の本格展開として、「成長の起点となった」年だった。

業績ハイライト
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↑営業収益、営業利益、EBITDAで2ケタ成長を達成。

 そして3年目である2013年度は、3つの指標で2ケタ成長を遂げ、着実に成果を出してきた。田中社長は期初に15年度までの3年で「本格的な利益拡大」を目指すとしており、その初年度として順調な業績を達成した。

 売上の源泉であるau事業では、純増数が281万、MNP純増数も83万5000件となり、累計契約数は同7.5%増で4000万件を突破した。ARPU(1ユーザー当たりの月間平均収入)は、同30円減の4150円だったが、四半期ごとでは、第4四半期に前年比プラスとなる4120円となった。下がり続けてきたARPUだが、「記憶にある限り初めて」(田中社長)の反転で、このままARPUの上昇を目指す。

契約純増数
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↑281万の純増を達成。累計ベースでは年度ごとで7.5パーセントの拡大。
通信ARPUがプラス成長
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↑通信ARPUは、四半期ベースでは初めて対前年同期比でプラス成長。

 音声ARPUは同110円減の1870円、データARPUが同360円増の3210円で、毎月割やauスマートバリューによる減少要因は930円。さらに、1000万契約を突破したauスマートパスによる「付加価値ARPU」は同40円増の290円となり、利益に繋がった。

 付加価値ARPUでは第4四半期に330円に拡大したが、スマホだけに限ると560円、スマートパスユーザーでは720円にまで拡大している。MNP競争の激化で、第4四半期の解約率が1.21%と拡大したが、通期では0.79%にとどめた。

ARPUの定義を改訂
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↑通信ARPUは、今までタブレットとモジュールを除く累計契約数をベースにしていたが、新たにデータ専用端末も累計から除いた定義にしている。
付加価値ARPUも順調に拡大
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営業利益の増減要因
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 データ通信料収入の増加はスマートフォンの拡大が大きな要因で、全体の販売のうち、スマートフォン浸透率は第4四半期には49%に達し、ほぼ半数がスマートフォンとなった。そのうち、LTE対応スマートフォンは35%となり、データ通信量が増えたことで収入が増加。付加価値ARPUでは、第4四半期に“auスマートバリュー”の契約数が全体の22%に達するなど、順調に拡大したことが奏功した。

スマートフォンの浸透率は49%
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auスマートバリューは29%に到達
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 ネットワークでは、ベースとなる800MHz帯のLTEが実人口カバー率99%を達成し、全国の広いエリアでLTEの高速通信が可能になることを追求してきたとアピールする。

「新たな市場開拓への取り組み」として“auスマートバリューmine”を提供。“auスマートバリュー”は、固定回線と携帯の両方を利用するユーザーに対して割引を提供するが、固定通信が不要な単身者などに向けて、無線LANルーターとのセットで割引を提供。さらにスマートフォンとタブレットの併用で、基本料金を割り引くデータシェアキャンペーンの販売も強化した。

 固定回線ではJ:COMとJCNを合併し、サービスを統合することでさらなる事業強化を目指す。“auスマートバリュー”の適用条件を拡大し、これまでは対象外だった「ブロードバンドとテレビ」の利用者に対しても適用できるようにして、auとJ:COMの両面から事業拡大を目指す。

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↑J:COM/JCN統合とauとの連携で固定の拡大も目指す。
2014年度の業績予想
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 これを実現するために、通期での通信ARPU反転を目指し、同1.2%増の4250円を想定。純増数は、14年3月期の281万より少ない265万契約を目標とする。

設備投資の計画
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↑通期で通信ARPUを前年比プラスにする。
純増数の計画
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 顧客基盤としてau契約数4000万、“auスマートパス”1000万、インフラ基盤としてLTEの実人口カバー率99%という2つの基盤をベースとして、新事業やサービスによる成長を目指す。そのために、ARPUの拡大に加えて、「ユーザー数(ID)」という考え方を盛り込む。

 契約者は一人でも、複数の端末を使うことでユーザー数が拡大するという考え方で、IDとARPUの両面を強化していく。au携帯電話のユーザーと、グループ会社を含めて1400万世帯をカバーする固定通信の提携パートナーとともに、相互にユーザーの流入を図って契約数を拡大。さらに、スマートフォン、タブレット、テレビ(STB)といったマルチデバイスでの利用を促進。そのために、映像、音楽、ゲームなど、さまざまなサービスを提供していく。

ARPUとIDの両方を拡大
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↑そのために、マルチデバイス化を促進する。

 こうしたデジタルデータの配信だけでなく、リアル店舗との連携も強化。今夏には“au WALLET”サービスを開始。おサイフケータイではなくプラスチックカードを発行して電子マネーサービスを提供。これを使った買い物にポイントを付与することで利用者の拡大を図る。

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↑リアルカードによる電子マネー『au WALLET』。
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↑デジタル配信とリアル店舗でのサービスの両面をカバーする。

 グループのWebMoneyと、世界3810万ヵ所で利用できるMasterCardと連携し、リアル店舗もカバーする「新経済圏を創出」することが目標だ。

 ネットワークの面では、2つの周波数帯(800MHz帯と2.1GHz帯)をまとめて高速化をするキャリアアグリゲーション(CA)を提供し、下り最大150Mbpsの通信速度を実現する。今年度中には、VoLTEサービスの提供も行なう予定だ。

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↑他社に先んじてCAを導入するが、VoLTEに関しては、「今年度中の提供」という表現にとどまっている。

 田中社長は「3ヵ年の初年度は、約束通り2ケタの成長を実現した。持続的な利益成長とともに、新たな成長ステージを目指していきたい」と語る。

 MNP競争の激化によるキャッシュバックの乱発が収まり、ドコモとソフトバンクが新料金プランを発表するなど、携帯業界は新たな競争の段階に入りつつある。キャッシュバックが落ち着いた4月以降、「スマートフォン販売が1割強落ちている」(同)状況で、年間を通して、浸透率が5割に近づいたスマートフォンの販売数は「少し落ちる」と田中社長は指摘。この減少分を、タブレット端末の拡販でまかなう考えで、マルチデバイス戦略の可否がひとつのポイントとなりそうだ。

 料金プランに関しては、田中社長は当面追随しない考えを示す。ソフトバンクが先んじて発表した新料金プランは、ドコモの発表を受けて練り直しを余儀なくされている。そのドコモの料金プランに関しては、「そんなにびっくりしたわけではないのが本音」と田中社長。特に“カケホーダイ”のような音声定額について、「お客さんの声が聞こえてこない」といい、ユーザーが実際に喜ぶプランなのかどうか、当面は様子見していく意向だ。

「対抗策を即打つかというと、そこまでは思っていない。我々の考え方があるので、いいと思うタイミングで、価値訴求をしていきたい」。田中社長はそう語り、料金プランを含め、「価格競争」ではなく、ユーザーにとって価値あるモノを提供するという「価値競争」での差別化と業績拡大を狙っていく考えを示している。

●関連サイト
KDDI(プレスリリース)

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