2014年04月12日15時00分

【私のハマった3冊】ヤングコミック誌の表紙はなぜアイドルなのか?

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975BOOK

グラビア美少女の時代
著 細野晋司、山下敦弘、仲俣暁生、濱野智史、山内宏泰、福川芳郎、鹿島茂
集英社新書
1296円

エロの「デザインの現場」
著 有野陽一
アスペクト
2376円

史上最強の助っ人エディター
著 寺﨑央
マガジンハウス
2700円

 ヤングコミック誌の表紙やグラビアにはアイドルがつきものだ。でも考えたら、コミック誌ならマンガのキャラが表紙でもいいのに、なぜアイドルなのか? 『グラビア美少女の時代』所収の『週刊ヤングジャンプ』編集部の藤江健司の文章を読んで、その謎が少し解けた。

 同誌では一人の女の子につき、最初に撮ったカメラマンが、その後もずっと撮影し続けているという。撮影を重ねるうちに縮まっていくカメラマンと女の子の距離感は、そのまま読者と彼女との関係が近づいていく過程となる。そんな一対一の関係性から物語が生まれるのなら、たしかにコミック誌にアイドルが起用される必然はあるのだろう。

 じつはヤングコミック誌にアイドルの表紙やグラビアが定着したのは意外と最近で、’90年代に入ってからだという。ちょうど同時期には、成人男性向けの雑誌の世界にも革命が起きていた。エロ本はダサくて隠したいものという、それまでのイメージを覆すような洗練されたデザインの雑誌が出てきたのだ。有野陽一『エロの「デザインの現場」』は、その火付け役となった雑誌として『URECCO』を大きくとりあげている。

 本書で紹介されているなかでは、『デラべっぴん』の例もすごい。同誌では企画ページのため予算の大半が注ぎこまれ、編集部総出で、細部にまで凝った撮影セットをつくっていたという。

 雑誌を舞台に真剣に遊ぶ精神は、フリー編集者・ライターの寺﨑央の仕事をまとめた『史上最強の助っ人エディター』にも見出せる。たとえば'85年の『ブルータス』での「焼直・滑稽新聞」(明治のジャーナリスト・宮武外骨の『滑稽新聞』のパロディ企画)には、伏字だらけだが、よく読むと全然伏字になっていないエロ小説が載っていたりする。

 こうした遊びの精神はどこに行ってしまったのか。いや、現役ライターとしては、その精神は雑誌でなくてもどこかにまだ残っていると信じたいのだが。
 

近藤正高
ライター。ウェブサイト『cakes』でタモリを通じ戦後史をたどる連載『タモリの地図』を始めました。

※本記事は週刊アスキー4/22号(4月8日発売)の記事を転載したものです。

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