『ケロミン』という楽器をご存じですか? カエルのパペット型の電子楽器で、カラダに手を突っ込んで口の大きさを変えると、それに合わせて音程が変わるというユニークなもの。鍵盤楽器やギターのように音程がハッキリしている楽器ではなく、『テルミン』のように曖昧に、また微妙な手の動きで奏でるということからケロミンと名付けられているみたいですね。
今回は、このケロミンをROLLYさんに演奏してもらおうという企画です。じつは先日、とある会場で、iPadアプリ版のケロミンである『iKeromin』を開発する横堀雅之さんにお会いしたことをキッカケにケロミンを使ってみることになり、とっても面白いので、これはROLLYさんにも使ってもらわねばということを考えたのです。
まずケロミンのラインアップを紹介しておくと、“親玉”とも言えるのが2007年に登場したケロミン。サイズ的にもけっこう大きく、MIDI機能も搭載するなど、機能面でも最上位機種にあたるものです。直販価格も4万9875円とけっこうなお値段なのですが、サイズをもう少しコンパクトにするとともに、MIDI機能などを削除して低価格にした『コケロミン』という機種も登場し、現在はこちらが主流。緑色の『コケロミン・ライム』とピンク色の『コケロミン・ロゼ』の2種類があり、いずれも直販価格は8900円となっていますが、それぞれちょっぴり機能も異なっています。
↑写真左から『ケロミン』(直販4万9875円)、『コケロミン・ロゼ』(直販8900円)、『コケロミン・ライム』(直販8900円)。
さらにケロミンをiPad上で実現する『iKeromin』とiPhone上で実現する『iKero』というアプリもあります。こちらはもともと有料だったのですが、現在は無料で配布されています。単独で使えるほか、コケロミンを接続して活用することもできるようになっています。
さて、今回はその“ケロミン・ファミリー”をみんな引き連れて、ROLLYさんといっしょに大合奏をすることにします。ROLLYさんには事前にあまり説明をしておらず、ぶっつけ本番な感じ。「ケロミンって、カエルの楽器なんですよね。以前、どこかで見たことはありますよ」とROLLYさん。ただ実物を触るのは初めてのようで、コケロミンを手に四苦八苦。「ん~、これはどういうタイミングで歌わせるんだ??」と、発音させるためのボタン操作と、口の開け方のタイミングに慣れない様子です。
↑コケロミンは背中にボタンを搭載。片方の手で口を開け閉めして音程を調整し、もう片方で発音のためのボタン操作を行なう。
今回はiKeromin開発者の横堀さんだけでなく、ケロミンを開発・販売するトゥロッシュの奥山雄司社長にも来ていただき、ROLLYさんに使い方をレクチャーしてもらいました。なんといっても、開発者である奥山さんがケロミン奏者として一番ですからね。ただ、しばらく使ってみてもどうもしっくりこないらしく「やっぱり私がギターを弾くので、これを使ってみんなで演奏しましょう!」ということになりました。
ここで問題になったのは、「何の曲を演奏するか?」ということ。演奏に参加することになったのはROLLYさん、奥山さん、横堀さん、私の4人。事前に曲の準備をしていたわけではないので、みんなでできる曲がすぐに浮かびません。そこで、ROLLYさんが「カエルの楽器なんだから、カエルの歌をやってみよう!」と言って、いきなりスタート。それが、この演奏です。
どうですか? けっこう楽しそうでしょ。ちなみに、奥山さんがケロミン、横堀さんと私がコケロミンを担当しました。この音を聴いてもらうとわかるとおり、ケロミンやコケロミンが発声できる歌声は、“ケロケロ”とか“クヮクヮ”といった歌声のほか、“ア・イ・ウ・エ・オ”といったもの。VOCALOIDのように、自在に歌詞を歌うようなことはできません。
そこで登場してくるのが、iKerominなんです。こちらは、画面に表示された50音をタップすることで、自在に歌わせることが可能になります。
このアプリだけで使う場合には画面左側のスライダーを動かして音程を決めるのですが、コケロミンと組み合わせた場合、音程はコケロミン側の口の大きさで調整できるようになるのです。ちなみに、その接続法というのが完全なアナログ。コケロミンの発音をサイン波に設定することができ、その出力をiPadのマイク入力に入れると、それを感知してiKerominが発音するのです。そのため、やや特殊なアナログケーブルが必要となるのですが、今回はそれを使って、横堀さんに演奏をしてもらいました。歌詞モードというのを使うと、あらかじめ歌詞を設定してその順番に歌わせることができるので、少し簡単になるんですね。
ここで、みんながケロミンを楽しく演奏しているのを見て、やっぱりROLLYさんも再度挑戦することに。「私がケロミンを歌わせてみるから、藤本さん、ギター弾いておいて!」と無茶振り……。それは無理だと断ったところ、「Cメジャーだけ弾いておいてくれればいいから」ということで、改めて演奏したカエルの歌がこちらです。
その後、ROLLYさんにギターを返すと、今度はROLLYさんから「カエルの鳴き声っぽく、ケロケロとかクヮクヮって鳴らしてもらえますか?」という指示が。3名が思い思いにカエルの鳴き声を発声させると、田んぼにいるような雰囲気になります。それに合わせてROLLYさんがギターを弾き出すと、また不思議な世界ができあがってしまうんですね。その場でROLLYさんが『ベトナムの朝』と名付けた作品がこれです。
これはケロミンというよりも、完全にカエルの鳴き声ですね。いい感じに仕上がったと思うのですが、いかがでしょうか? その後、奥山さんからROLLYさんにコケロミンが贈呈されましたが、いつかROLLYさんのライブにコケロミンが登場するのでは……とちょっぴり期待しているところです。
記事の感想はROLLYさんのツイッター(@RollyBocchan)まで。週刊アスキー本誌にも掲載中です。次回もどうぞお楽しみに。
『ケロミン』
●直販価格 4万9875円(記事作成時の価格です)
●トゥロッシュ
●関連リンク
welcome to ROLLY net .com(ROLLY公式サイト)
藤本健の“DTMステーション”
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