2014年03月28日08時00分

Y!mobile設立「電波のないハードウェアはただの箱と呼ばれる時代がくる」

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 ヤフーがイー・アクセスの株式を取得し、インターネットのキャリア事業をスタートさせると2014年3月27日都内で発表(関連記事)した。ヤフーの子会社となる新会社は、Y!mobile(ワイモバイル/予定)。
 代表取締役会長には、現イー・アクセスの代表取締役社長エリック・ガン氏、代表取締役社長には、ヤフーの宮坂学氏が就任する。料金プランなどは現時点では未定。新会社が正式に誕生する6月前後に発表される予定だ。

ワイモバイル

 会見で宮坂学氏は、“第4のキャリア”ではなく、第1の“インターネットキャリア”として名乗りをあげると宣言した。以下、宮坂氏のコメントの会見での言葉を要約してお届けする。

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 会社にとって、もっとも大事なことは企業理念である。イー・アクセスとウィルコムは日本が誇るベンチャー企業であり、これまでも巨大な企業に果敢に挑戦してきた素晴らしいベンチャースピリッツを持った会社だ。イー・アクセスは“全ての人にブロードバンドを”という思いのもと1999年に生まれ、ウィルコムは日本の独自の技術を駆使し、通信の世界で戦ってきた。両社ともに挑戦者のスピリッツをもった会社であると言えるだろう。

 我々のヤフーという社名は創業者がガリバー旅行記に出てくる“ならず者”のキャラクターからとったものだ。会社がどれだけ大きくなっても、“ならず者”で“ワイルドに”チャレンジして欲しいという思いを込めて付けたと(創業者から)聞いており、我々はその名前を背負っている以上、“ならず者”として挑戦する会社でありたいと思っている。

Y!mobile

 今回、その“挑戦者”と“ならず者”のスピリッツをもった会社がひとつの会社になって誕生する。そんな会社がどういうサービスをつくり、世の中に提供すべきかと考えると、“思いきったビジネス”であろう、と私は思う。
 ヤフーには“迷ったらワイルドなほうを選べ”というポリシーがあり、この新しい会社でもワイルドなことをやろうというつもりでやっていきたい。

 新しく誕生するサービスの名称は、“Y!mobile”(予定)。

Y!mobile

 Y!mobile(予定)は、ヤフーグループの一員となる。ヤフージャパンにはたくさんのグループ会社があるが、1点だけ、必ず共有しようというものがある。それは“インターネットがあれば人々の問題は全て解決できる”ということを、楽観的に信じて事業をしようということだ。
 我々がとらえる“インターネット”を一言でいうと「Power to the People」。かつでジョン・レノンが歌った言葉でもあるが、決して現状維持を好むのではなく、人々の力で世界を変えていこうといったことが、インターネットがもつべき考え方であると私は思っている。

Y!mobile

 これまでさまざまな企業が努力を重ね、今では日本の86%の家庭にインターネットが届くようになった。そしてこの土壌の上で、ブログやSNSで情報を発信し、多くの小さな広告クライアントがネットを通じて広告をうって事業を大きくし、eコマースが海外相手にビジネスをし、いろいろなベンチャー企業が生まれてきた。
 誰もがインターネットの力で個人が世界中に自分の意見を発信できる。誰もがモノを売りたいとなれば売ることができる。そんな素晴らしい時代に、インターネットの持つ力を“すべての人に届けたい”というのがヤフージャパンの考えていることだ。

 重要なことは、スマートフォンを使っていない人がまだ世の中に半分以上いるということ。タブレットにいたっては9割の方が手もとで使えていないというのが、今の日本の状態だ。インターネットが“すべての人の手もとに”きているかどうかが、次の時代では非常に重要になり、大きな論点になってくると考えている。

Y!mobile

 Y!mobile(予定)はインターネットが生み出す楽しさ、便利さ、をみんなの手もとに届けたいという志で事業をしたい。すべて人がスマートフォン、タブレットを手にしたら、どれだけ素晴らしい世の中になるのだろう。まさに電気や水道のように、誰もが分けてだてなく、過疎地域に至るまで、日本中の人々が、さらには外国から来た人々も誰もがインターネットが使えるということが、我々が実現したい世界観である。

 そのため、我々は音声中心のサービスではなく、インターネットを繋ぎ、届けることに主軸を置き、日本で最初の“インターネットにフォーカスしたキャリア”になりたい、というふうに思う。それがY!mobile(予定)なのである。

Y!mobile

 これまでの通信キャリアとのもっとも大きな違いは“思想”だ。従来の通信キャリアはもともと音声のサービスがあったうえでインターネットを進め、日本のインフラをバージョンアップしてきた。我々は音声よりも、やはりインターネットを繋ぐことをメインに、ゼロベースでサービスを組み立てていきたいと思っている。

 もうひとつは“シンプル”さ。インターネットはどれもシンプルな料金体系で、サービス体系でやってきたため、料金体系も極力シンプルにしたい。具体的なプランはまだ発表できないが、みんなが使える、わかりやすいサービスとして見直していきたいと考えている。

 続いてY!mobile(予定)を傘下にすることによって、ヤフージャパンの今の事業にどのような影響を及ぼすのかについてお話しておきたいと思う。
 シナジーは3つ。まずは通信事業によるシナジー。2つ目はヤフージャパンサービス利用拡大によるシナジー、3つ目はインターネット拡大における市場拡大のシナジー。この3つがヤフージャパンのインパクトとなる。

Y!mobile

 ヤフーでは、事業戦略を始める前に“登るべき山を間違えてはいけない”という話をする。どの事業をやるか、どの山に登るのか、ということになるが、せっかく苦労して頂上に登ったのに景色が悪いといった山を選んではいけないなと考えている。ではこの“通信”という事業が、魅力的な山なのかどうか?――私はこれは非常に魅力的で、登るに値する山だと思っている。

 なぜならこれから、IoT(モノのインターネット)の時代がやってくるからだ。ひとり1台、すべての人の手もとにインターネットが届くだけでなく、ウェアラブルやネット接続の自動車、インターネットテレビといったさまざまな可能性をもつアイテムが続々と登場し、ひとり1台ではなく、ひとり6台以上のインターネット端末をもつ時代がやってくる。このビジネスはますます魅力的になっていくだろう。

Y!mobile

 かつてコンピューターは「ソフトウェアがなければただの箱」と言われていたが、これからは、ハードウェアを「電波がなければただの箱」という時代が来るだろう。接続することに対するニーズはますます高まっていくと思っている。

 家計の状況においてもこの10年近く、総支出は下がってきているというのに、携帯電話、接続のニーズはどんどん上がってきており、今後もますます人々の“つながりたい”というニーズは高まってくると考えられることからも、この通信事業という山は、ヤフーが登るに値する山だ。

Y!mobile

 では、どのくらいの高さまで登りたいのかというスケール感だが、現在、すでに(イー・アクセスおよびウィルコム)に1000万ほどの加入者がいるため、倍の合計2000万くらいに目標をもちたい(時期未定)。もちろん今のままでは頼りないところもあるため、我々に足りないことを見極めて、しっかり準備をして、山頂まで行きたいと思っている。

 また、取扱いの中心は、当面はAndroid端末を中心に考えている(Androidしかやらないというわけではない)。Androidは世界で見れば非常に人気のある端末であり、その魅力をまだスマートフォンを手もとに持っていない人を中心に、紹介していきたい。

Y!mobile

 ソフトバンクとのシナジーも使えるものは生かしていきたい。今回はMVNOではなく、(ヤフーが)フルコントロールできる状態であるため、サービスプラン、端末、販売チャネル、これらについては全てY!mobile(予定)のほうで意思決定していくが、ネットワークについては共用できる部分が多々あると思っている。サービスイン初日からソフトバンクが長年苦労して作り上げてきた“つながりやすさNO.1”の品質のネットワークをワイモバイルはお客様に提供できることも魅力になるだろう。

 2つ目のシナジーは、獲得した利用者に、よりヤフーのサービスを使っていただき、それによってヤフージャパンの収益を上げていくことだ。Y!mobile(予定)が伸びることによって、ヤフージャパンが伸びるという関係にしていきたい。
 オフラインのチャネルを3000ヵ所、一気にもてることも重要だ。すべてのショップはY!mobile(予定)というブランドに変わり、デザインも一新し、あらゆる街中に“Y!”というロゴがあふれることになる。このチャネルを使っていろんなビジネスを可能とする。まずは“インターネットでとっておきの体験ができる”をコンセプトにつくられた、ヤフーのプレミアム会員に入っていただくこと。

Y!mobile

 プレミアム会員は、ヤフーオークションで750万人獲得できたものの、この数字がネットだけのチャネルの限界だと思う。これが先日、ソフトバンクモバイルのオフラインのチャネルを使って獲得活動をしたところ、200万近く伸びたからだ。会員型サービスをやるにあたり、オフラインのチャネルを持つのは非常に相性がいいとわかったため、ソフトバンクモバイルに加え、新たにY!mobile(予定)のチャネルを使って月額のプレミアム会員を是非とも紹介していきたいと思っている。

 もうひとつはオフラインのチャネルでヤフーのサービスのプロモーションをすること。例えば端末にヤフージャパンのアプリをインストールしていくとか、新規で契約にきた人に新しいヤフーのサービスを紹介していくといった方法だ。

 3つ目のシナジーは、スマートフォンの利用者、タブレットの利用者が増えれば増えるほど、ヤフーの業績に間違いなく影響がでてくるということだ。ヤフー以外のスマートフォン専用サイトや、企業のスマートフォンサイト、スマホゲームのサービスだったり、あらゆるスマートフォンのサイトがたくさん見られるようになる。このことこそが、ヤフージャパンに広告を生み出す原動力になると思う。

 実はこのエコシステムは、実は2001年のYahoo!BBのときにも起きたモデルである。

Y!mobile

 この時何がおきたのか。歴史を振り返ると、まず通信事業によるシナジーがヤフージャパンにもたらされ、加入者が増えたことによって、ヤフー!BBのモデムがヤフーの売り上げにカウントされ、飛躍的な成長を遂げることができた。次に、このヤフージャパンのサービスをお客様が使ってくださった。それによりヤフーの検索、ヤフーオークション、ヤフーニュースといったサービスが、ナローバンドからブロードバンドになることによって、たくさんの人が、さらに長い時間見るようになった。これこそが検索連動広告、ヤフーオークションのeコマース、ヤフーニュースによるディスプレー広告を立ち上げた起爆剤になったと思っている。

 最も大きかったことは、ライバル企業も参入して新しい料金、サービス、いろんな競争がおき、日本のブロードバンド環境が一気に加速したことだろう。それであらゆるインターネットサイトのアクセスが爆発的に増え、それこそが日本全体のインターネット広告市場を立ち上げ、日本全体のeコマースを大きくしたというふうに私は思っている。

 そして今回、同じようなことを、固定のインターネットではなくて、モバイル、スマートフォン、タブレットのインターネットで起こしたいのだ。

Y!mobile

 我々が参入することによって既存の通信事業のみなさんは、大きなところからベンチャーも含めて、間違いなくいろんなことを考えていると思う。これはY!mobile(予定)にとっては競争の激化にもなり、非常に大変なことになるが、消費者にとってはスマートフォンやタブレットをますます便利に、使いやすく、買いやすくなるという時代が来るということ。それは、我々が描いている、“すべての人の手もとにインターネットを”という日が、より早く来るということになる。間違いなく、日本全国のスマートフォン広告市場を立ち上げることになるだろう。

 我々が始める全く新しいタイプのキャリアは、未知数となる部分もあるため、社内でも喧々諤々議論しているところではあるが、現在、ヤフージャパンのトップページでユーザーのみなさんの声を聴いている(関連リンク)ため、是非ともたくさん意見を寄せていただだければと思っている。

Y!mobile

 最後に。我々はテレコムの会社になりたいわけではない。あくまでも“インターネット”の会社として、すべての人のてもとにスマート・インターネットを届けたい、というふうに思っている。インターネットカンパニーとしての、スマートフォン事業をやりたいと思う。2014年の6月から、正式にサービス開始する。ご期待下さい。

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 以上、宮坂氏のメッセージをなるべくそのままのカタチでお伝えした。

 ちなみに今回の買収については、ヤフーからソフトバンクに話を持ちかけたという。会見後の質疑応答では、孫正義氏から特に条件などは提示されず「やる以上は思い切ってやりなさい」といった言葉を貰って合意したと明らかにした。また、LCCは現時点ではやるともやらないとも言えないとのことだ。

 宮坂氏は、Y!mobile(予定)を、「ベンチャー企業がネット付きハードウェアを開発したいとなった際に、いちばん最初に相談に来てくれるような会社にしたい」と語った。

Y!mobile

■関連サイト
ヤフーリリースページ
イー・アクセスリリースページ
ソフトバンクリリースページ

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