2014年03月13日11時45分

「1日70GBで5年」書き込んでもへたれないインテルSSD 730レビュー

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Intel SSD 730ファーストインプレッション

 インテルはコンシューマー向けSSDのフラッグシップモデル『SSD 730』シリーズを発表しました。今回特別に『SSD 730』の開発サンプル品をお借りしてベンチマークをとることができました。時間の制約上ざっくりとしたテストではありますが、期待の最新SSDはどんなモノなのかを見てみたいと思います。

●エンタープライズ向けSSDのDNAを導入

 まずSSD 730のスペックやポイントをざっくりと押さえておきましょう。

Intel SSD 730ファーストインプレッション

・容量は240GBと480GB版のみ
・自社製コントローラーを採用
・順次読み出し550MB/秒、順次書き込み470MB/秒のパフォーマンス
・読み出し時レイテンシーは50マイクロ秒に短縮
・SSD 530の約3.5倍という高耐久設計
・MTBF(平均故障時間)は200万時間の大台へ

 まず容量は240GBまたは480GBとなっていますが、予想実売価格はそれぞれ2万9800円と5万9800円前後。240GB~256GBクラスのSSDの市場平均価格が2万円前後なことを考えると、ちょっと割高な印象です。

 最もビッグなお知らせはコントローラーがSF-2281から、同社のエンタープライズ向けSSD『SSD DC S3500』で採用された自社製コントローラーに変更され、その他のスペックもS3500に近いものに変更されているという点です。

 これまでのインテル製SSD(SSD 530など)はブランド力という点では抜きん出ていましたが、圧縮率の高いデータでないと転送速度が上がらないSandForce製コントローラーを頑なに使い続けており、圧縮率に関係なく速い今どきのSSDに比べるとちょっと古くささを感じてしまいましたが、今回は“エンタープライズ向け製品のDNAを移植”することで、古くささは払拭されました。

 肝心の順次読み出し・書き込み速度は既存の製品に比べ特別速いわけではありませんが、読み書き時のレイテンシーを従来の80マイクロ秒台から50~60マイクロ秒台に短縮することで、アプリのレスポンスのボトルネックになりにくい工夫がなされています。これをRAID0にするとさぞ速いのでしょうが、残念ながら今回は1台しか試せませんでした。

 エンタープライズ向け製品のDNAと言えば、耐久性についても語るべきでしょう。MTBFはSSD 530や335の120万時間から200万時間に伸びていますが、もっと重要なのはTBW(Tera Bytes Written)、つまり合計何テラのデータを書き込むことを前提に設計されているか、です。NANDフラッシュメモリーは総書き込み量の大きさに応じ劣化していきますが、SSD 730は毎日70GB(480GB版の場合)ものデータを書き込んでも、5年もつように設計されています(70GB×365×5=約127TB)。

 一方、SSD 530では1日20GBで5年、SSD 335になると1日20GBで3年もつとされています。大ざっぱに言えばSSD 730の耐久性はSSD 530の約3.5倍、という計算ですね。

 最後にちょっと気になるところをひとつ。コントローラーが600MHz動作(定格400MHz)、NANDバスを100MHz(定格83MHz)にオーバークロックした仕様のためか、消費電力もS3500以上に高くなってしまいました。ノートPCに入れる場合は、バッテリー駆動時間への影響は避けられないでしょう。

●中身はS3500とほぼ同じ!

 座学が終わったところで入手したサンプル品を眺めてみたいと思います。

Intel SSD 730ファーストインプレッション

 パッケージは普通の2.5インチ、7mm厚でした。サンプル品なのか装飾も最小限です。

Intel SSD 730ファーストインプレッション

 中身を早速むいてみました。コントローラーは裏側にあります。メモリーチップは一見どれも同じようですが、ところどころに容量の違うものが混ざっています。

Intel SSD 730ファーストインプレッション

 電解コンデンサーが2つ、基板の端に付いていますが、これは停電時に書き込み命令を受けたデータを書き込むだけの電力を確保するためのもの。S3500と同じ設計です。

Intel SSD 730ファーストインプレッション

 インテル純正コントローラー『PC29AS21CA0』は、S3500と同一です。

Intel SSD 730ファーストインプレッション

コントローラーの傍らにはDDR3-1600のキャッシュ(512MB)が。

Intel SSD 730ファーストインプレッション

 NANDフラッシュメモリーは32GiBのものが14個、64GiBと16GiBが1個ずつ、合計16個ありました。フラッシュメモリーの合計容量は566GBになります。

 スペック表からS3500寄りだと思っていましたが、中身を精査してみると、まんまS3500と同じ設計です。S3500から耐久性(TBW)を短くする一方で、ファームウェアを性能重視にチューニングしたモデルのようです。

 では検証に移りましょう。今回の検証環境は以下です。

CPU:インテル『Core i5-4670K』(3.4GHz)
マザーボード:ASUSTeK『GRYPHON Z87』(Intel Z87)
メモリー:Crucial『BLT2K8G3D1608ET3LX0』(PC3L-12800 DDR3L 8GB×2)
グラフィック:CPU内蔵
OS:Windows 8.1 Professional(64bit)

 また、検証に用いたSSDは以下の通りです。各SSDにOSをインストールし、起動ドライブとした上で各種テストを実施しました。パーツ調達の関係で、容量が統一できなかった点はご容赦ください。

・インテル『SSD 730(SSDSC2BP480G4)』(480GB)
・インテル『SSD 520(SSDSC2CW240A3)』(240GB)
・シーゲイト『600 SSD(ST480HM000)』(480GB)
・Crucial『M500(CT480M500SSD1)』(480GB)
・CFD販売『S6TNHG5Q(CSSD-S6T256NHG5Q)』(256GB)


 ちなみに今回の主役、SSD 730の情報を『CrystalDiskInfo』でチェックした限り、“DevSleep”には非対応のようです。

●CrystalDiskMark

 最初に定番中の定番『CrystalDiskMark』でドライブのざっくりとした傾向を見てみます。テストデータは100MB/1000MB/4000MBの3種類、ランダムデータとゼロフィルデータの都合6通りのテストを実行します。

 また、データを見やすくするためにウインドーの色をSSDごとに変えています。

・水色……SSD 730(480GB)
・緑色……SSD 520(240GB)
・黄色……600 SSD(480GB)
・灰色……M500(480GB)
・紫色……S6TNHG5Q(256GB)

 それではテストデータの小さい順に比較していきます。

●100MB×5、ランダムデータ

Intel SSD 730ファーストインプレッション
Intel SSD 730ファーストインプレッション Intel SSD 730ファーストインプレッション
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●1000MB×5、ランダムデータ

Intel SSD 730ファーストインプレッション
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●4000MB×5、ランダムデータ

Intel SSD 730ファーストインプレッション
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Intel SSD 730ファーストインプレッション Intel SSD 730ファーストインプレッション

●100MB×5、ゼロフィルデータ

Intel SSD 730ファーストインプレッション
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Intel SSD 730ファーストインプレッション Intel SSD 730ファーストインプレッション

●1000MB×5、ゼロフィルデータ

Intel SSD 730ファーストインプレッション
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Intel SSD 730ファーストインプレッション Intel SSD 730ファーストインプレッション

●4000MB×5、ゼロフィルデータ

Intel SSD 730ファーストインプレッション
Intel SSD 730ファーストインプレッション Intel SSD 730ファーストインプレッション
Intel SSD 730ファーストインプレッション Intel SSD 730ファーストインプレッション

 まず順次読み書き速度に注目すると、SSD 730は特別速くない、という結果が出ました。今回使用したSSDの中での序列は、CFD(東芝)>Crucial&シーゲイト>インテルになっています。まあ、テストサンプルなのでまだファームの熟成が進んでない可能性も大ですが、SATA3接続のSSDとしては特別凄いわけではありません。データの圧縮率に関係なく速いという点ではSSD 520よりも使いやすそうですが。

 しかし、ランダムアクセスに目を向けてみると、SSD 730のおもしろい特性が見えてきます。SSD 730のランダム512KB書き込みの速度に注目すると、SSD 730はどのSSDよりも速い450MB/秒の域で安定しています。小さいデータならシ-ゲイトやCrucialも頑張ってますが、SSD 730はテストデータの大きさに関係なくトップを走っているということです。また、ランダム4KBの読み書きは特別凄いわけではありませんが、ほとんどの場合において比較対照よりも良好な数値を示しています。順次よりランダム重視なのがSSD 740の持ち味と言えます。

●AS SSD Benchmark

 『AS SSD Benchmark』でも読み書き性能を計測してみました。このベンチはCrystalDiskMarkに似た読み書きテストのほかに、ファイルコピーを模したテストとデータの圧縮率を変えて読み書き性能を見るテストがありますが、前のテストでゼロフィルデータでも普通に速いことがわかったので、読み書き速度とファイルコピーテストだけを実行します。

Intel SSD 730ファーストインプレッション
Intel SSD 730ファーストインプレッション Intel SSD 730ファーストインプレッション
Intel SSD 730ファーストインプレッション Intel SSD 730ファーストインプレッション

 CrystalDiskMarkでは順次読み書きが奮わなかったのに対し、こちらではSSD 730も500MB/秒に近い数値を出しています。また、ランダム書き込みが速いのはこちらのテストでも確認できました。全体に突出した性能はないが、ランダム読み書きを中心に全体が高いレベルにある、と判断できます。

 そしてAcc.Time(アクセスタイム)の値はほかのSSDよりも短い(速い)点が印象的です。サーバー用途ではレスポンスタイム短縮が非常に重要ですが、この考えがSSD 730にも入っていると考えられます。

●PCMark8

 最後に実アプリの読み書きパターンをシミュレートして評価を行なう『PCMark8』のストレージテストを実行してみました。まずはストレージの総合スコアーだけ比較します。

Intel SSD 730ファーストインプレッション

 順位がつかみやすいようにグラフを作りましたが、トップと最下位のスコアーは1%ちょっとしかありません。普通の用途に使うぶんには使用感はほぼ同じだ、と言い切ってよいでしょう。

 でも一応どこで差がついているのか、スコアー算出の根拠となっているアプリ別のテスト結果に目を向けてみます。例えば「World of Warcraft」のテストなら、ゲームを起動してログイン~ゲームスタート時に発生するデータを読み書きする操作をシミュレーションする、といったテストをアプリごとに繰り返します。公式の技術情報(関連サイト)には、読み書きするデータ量から順次とランダムアクセスがどの程度発生するかまで記されています。

Intel SSD 730ファーストインプレッション

 最も小さい(=高速)値を赤く強調してみましたが、すべてのテストにおいてSSD 730が最短時間で終了しています。ただし、その差は決して大きくなく、最も差が大きかった『Photoshop Heavy』テストでさえ最下位とは6秒未満。Excelのような軽いテストではコンマ1秒の世界です。AS SSD Benchmarkでわかった通り、アクセスタイムの短さがこの差につながっていると推測できますが、普通のアプリなどを使う範囲では、この性能差を体感することは難しいでしょう。

●まとめ:長く使える(そうな)ことに意義がある……が、価格がネックかも

 以上のテストでわかった通り、SSD 730は特別速いSSDというわけではありません。SATAインターフェースがボトルネックになっているので仕方がないのですが、ランダムアクセス系は既存のSSDより速いといっていいでしょう。OSやアプリを入れて速いと感じられるかどうかは、PCMark8の結果が示した通り、ほとんど体感できないレベルです。

 となるとSSD 730の魅力は、高耐久設計であるという点にあると言えます。最近のSSDの耐久性はHDDに劣らぬ耐久性を獲得しましたが、私の経験ではSSDは不意に飛ぶことがあり、本当に数年後も使えてるか怪しいと考えてます。

 しかし、SSD 730ならその心配も最小限でいい(ゼロではないですよ!)気がします。5年後も確実に使えるようなSSDが欲しい!と考えているなら、SSD 730は良いチョイスと言えるのではないでしょうか。

 ただし、原稿執筆時点でのS3500の実売価格は240GB版が2万8000円前後、480GB版が5万6000円前後と、微妙にSSD 730より安くなっています。今後値下がりはするでしょうが、特にピーク性能にこだわらないならS3500のほうでもイイ気がします。今後の値動きに注目したいところです。

 

■関連サイト
インテル

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