2月27日、国営東京臨海広域防災公園にてソフトバンクほかウィルコム、イー・アクセスを含むソフトバンクグループの『2013年度下期合同災害対策訓練』が実施されました。
3.11の東北地方太平洋沖地震以降、各通信事業者とも災害時の通信ネットワーク設備の復旧について対策を強化しています。なかでも、ソフトバンクは傘下に通信方式の異なるウィルコムとイー・アクセスの2社もあり、効率的な復旧のためにはグループを横断した効率化が重要です。ソフトバンクグループの取り組みについて、訓練前に災害対策室長 鈴木利昭氏より説明がありました。
↑ソフトバンクの移動基地局など全種類の車両。左から移動電源車、トラック型移動基地局、商用車型移動基地局、乗用車型移動基地局、可搬型基地局、車載した可搬型基地局、イー・アクセスの移動基地局、燃料補給車。後方に気球型基地局。
震災後、ソフトバンクグループでは移動基地局を全国15台から100台に増強したほか、市販の乗用車に取り付けたり運べるタイプの可搬型基地局も全国200台を配備しています。これらの基地局は、ソフトバンク3GとウィルコムのPHS両方に対応し、2社の通話回線をまとめて復旧できる体制とのことです。
↑トラック型の移動基地局は、停電した基地局などを復旧させる電源車としての機能も搭載。2GHz帯のLTEとプラチナバンドの3Gの基地局機能を持っているのも特徴。
↑可搬型はレンタカーや市販の車に取り付けたり、運んださきで組み立てて衛星回線を使った移動基地局として素早く設置できるのが利点。中央が設営中の可搬型基地局、右が車載した可搬型基地局。
避難所向けの設備としては、20台の携帯電話・スマートフォンを接続できる充電器のほか、固定電話ふうのPHS『イエデンワ』を含む連絡用の携帯電話を4200台用意。公共団体向けには、iPhoneに取り付けるタイプや固定電話ふうのものを含めた衛星携帯電話が1000台用意されています。
↑20台同時に接続できる充電器。microUSBやLightning、ドコモやauも含む携帯電話などに対応。
↑公共団体や避難所向けに、ソフトバンクが昨年より提供しているスラーヤの衛星携帯電話『202TH』、『201TH』や、ウィルコムの乾電池で動くPHS『イエデンワ』なども用意されている。
震災後にソフトバンクが実証実験を重ねて開発した、気球型基地局も実際にあげられました。周辺で被害にあっていない基地局の回線や地上の移動基地局の回線を受け、より広いエリアで利用可能にする設備です。
↑気球型基地局。一度地上まで降下させ、メディア向けに内部などが公開された。
強風でなければ4~5人で設置し、高度100mまで上げて半径最大5kmのエリアをカバーできるとのこと。鉄塔型の基地局が倒壊するほどの大規模災害時での活躍が期待できます。
↑気球の下側。左の黒いユニットが風速計。中央のパネルの上部から垂れているのが、基地局としてのアンテナ。パネル下部に、ほかの基地局と通信するためのアンテナを搭載する。
↑気球の内部。電源などは搭載しておらず、地上からの給電で動作する。
↑地上からの操作はワイヤーの伸縮のみ。操作不能になった場合に備えて、無線で気球のヘリウムと空気を抜いて着陸させる仕組みを備えている。
訓練では、首都直下地震が発生したという想定で、全国の各グループの隊員が復旧本部と連絡を取りながら基地局を設置。移動基地局は約30分ほど、組み立てなど設営に手間のかかる可搬型基地局も約1時間ほどで設置を完了していました。
災害時は正確な情報の伝達が救命や避難の助けとなります。通信事業者の努力だけでなく、私たち自身の防災の備えも見直しておきたいですね。
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