2014年02月24日07時00分

MWC2014開催直前に通信業界へ牽制 FacebookによるWhatsApp買収の理由

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 米Facebookは2月19日、モバイルメッセージングサービスWhatsAppを、約120億ドルのFacebook株と40億の現金、あわせて約160億ドル(約1兆6000億円)で買収することで両社が最終的な合意に達したことを発表した。

 WhatsAppは2012年に買収したInstagram同様、買収後もFacebookメッセンジャーとは独立したブランド、サービスとして存続し、WhatsAppの共同創業者のひとりであるジャン・コウムCEOは、Facebook取締役に就任する。

 これはInstagramの買収額約10億ドルを大きく上回り、Facebook過去最高の買収額であり、実現すれば2001年にHPがCompaqを250億ドルで買収して以来、最大級のIT系買収となる。

FacebookがWhatsApp買収

 WhatsAppは、2009年にカリフォルニア州サンタクララの新興企業が開発した、iPhone/Android/BlackBerry/Windows Phone/Nokia/Symbianに対応するメッセージングアプリだ。テキスト以外に音声、動画、画像も送信でき、グループチャットも可能だ。LINEやKAKAO TALKなどのサービスと同様、端末のアドレス帳と連係し、電話番号をアカウントとして利用する。アプリは無料でダウンロードでき、最初の1年は試用期間として無料で利用可能。1年後から年額1ドルの課金が始まる。

 Facebookのプレスリリースによると、WhatsAppは月間アクティブユーザー数(MAU)が全世界で4億5000万人、その70%以上(これはFacebookが2013年10月に発表した61%よりも上回っている)が毎日のように同アプリを利用しているデイリーアクティブユーザーだ。さらに、同サービスは1日当たり100万人の新規登録ユーザーを獲得しており、世界中のユーザーが一日に利用するメッセージの量は、世界のモバイルキャリアが扱っているSMSのボリュームの総和に匹敵する規模になっているという。

 FacebookにはすでにFacebookメッセンジャーという単体のメッセージングアプリが存在するが、両アプリの住み分けについてザッカーバーグ氏はFacebookへの投稿で「FacebookメッセンジャーはFacebookの友達とのコミュニケーションに使われており、WhatsAppはユーザーの全連絡先と、グループとのコミュニケーションに使われている。2つのサービスは目的が違うので、今後も双方に投資していく」と説明している。

 氏の言うコミュニケーションの対象以外にも、Facebookメッセンジャーはどちらかと言えばメールのような非同期、WhatsAppはリアルタイムなコミュニケーションが主流であり、さほどバッティングはしないだろう。

 ただ、収益的にはWhatsAppは一切広告を出しておらず、ジャン・コウムCEOも「広告とゲームはやらない」と明言しているため、仮に4億5000万人のユーザーがそのまま有料ユーザーになったとしても年間4億5000万ドルの収入にしかならない。では、なぜ160億もの大金を出して買収したのだろうか。

FacebookがWhatsApp買収

 ひとつはメッセージングアプリ領域での世界的なシェアの問題だろう。

Facebookは2011年にBelugaを買収してFacebookメッセンジャーをスタートしたが、そのころすでにWhatsAppは莫大なユーザーを獲得しており、現在も先進国を含む多くの地域でトップシェアとなっている。特にヨーロッパ、南米、アフリカ圏では無双だ。対してFacebookメッセンジャーは北米圏ではトップシェアを誇るものの他の地域では苦戦している。また、若年層のFacebook離れも喧伝されており、幅広いユーザー層にアプローチするWhatsAppは魅力だろう。

 WhatsAppとしてもFacebookの豊富な資金を受け入れることで積極的なプロモーションを打つことが可能になり、中国を中心に世界にもユーザー数を広げているWeChat、日本を中心にアジア圏で広まっているLINE、韓国のKAKAO TALKなどのライバルとの競争力も高まることになる。

FacebookがWhatsApp買収

出典 http://www.onavo.com/

 そしてもうひとつの大きな理由は携帯キャリアに対する影響力の強化だろう。

 WhatsAppをインストールしたユーザーは、SMSや通話など携帯キャリアの収入源となるサービスを利用することなく、メッセージや音声、写真、動画をやりとりすることができるようになる。これらのサービスは1000億ドル市場と言われ、これをまるごと携帯キャリアから奪うことができるのだ。WhatsApp単体では収益化できなくても、このカードを持っていれば今後の交渉事を有利に運べるのは明白だ。

 2月24日から27日までバルセロナで開催される2014年モバイル・ワールド・コングレス(Mobile World Congress、MWC 2014)直前に買収を発表したのも偶然とは思えない。さらにFacebookのマーク・ザッカーバーグCEOは、MWC2014で基調講演に登壇する。そこで何を語るかも注目したい。

 「世界中のすべての人にインターネットを」というFacebookの構想にモバイルは欠かせない。Facebookの掲げる世界中の全人口に基本的なインターネットサービスを提供する“Internet.org”プロジェクトの鍵となるプロダクトとなることも期待されている。アップルやGoogleのようにモバイルプラットフォームをもたず大きく遅れを取っていたFacebookにとって、この買収劇は必然かつ起死回生の施策だとも考えられる。

■関連サイト
米Facebookによるプレスリリース(英文)
米WhatsApp公式ブログの該当記事(英文)
米Facebook CEO Mark Zuckerberg氏による投稿(英文)

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