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孫社長「圧倒的1位」を強調 ~ソフトバンク決算発表

2014年02月12日 23時30分更新

 ソフトバンクは12日、2013年3月期第3四半期の決算を発表した。売上高は4兆5617億300万円で対前年同期比94.4%増、営業利益は9242億2800万円で同46.3%増、純利益は4882億3100万円の同58.1%増と大幅な増収増益。売上高の増加率は過去最高で、その他の指標も過去最高益を達成しており、好調な決算となった。孫正義社長は、「20年前の上場以来、売上高は100倍、営業利益は300倍、時価総額は50倍になった」とアピールしつつ、「まだこの程度では全く満足していない。やっと助走が終わって、本格的な拡大期に入っていく」と強調している。

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↑孫正義社長。

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↑2013年3月期第3四半期の決算ハイライト。

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↑株式上場以来20年で売上高で100倍、営業利益は300倍になった。

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↑時価総額は50倍となり、世界では81位に。ここからさらに上を目指していく目標を立てる。

 売上高は、今回初めてNTTドコモ、KDDIを抜いて携帯キャリアとしてトップに躍り出た。米Sprint買収による売上が約1.7兆円加算されているためで、それをのぞいた売上高は2.9兆円となり、両社には及ばないものの肉薄した。Sprint事業を除いても、いずれの指標でも過去最高を達成しており、順調な決算だった。

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↑売上高やEBITDAなど、過去最高益を継続しており、Sprint買収の影響を除いても成長を続けている。

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↑連結業績のサマリー。

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↑初めて2社を抜いて売上高で1位となった。営業利益や純利益でも両社を上回る結果だった。

 主力の携帯電話事業では、売上高が同28.3%増の2兆2038億2800万円と好調で、これはイー・モバイル、ガンホー、ウィルコム、スーパーセルの子会社化による売上の増加に加え、本体の契約増加も売上を押し上げた。同時に、営業費用や販売促進費も増加したが、利益は同22.7%増の4192億6700万円を確保した。

 契約数は同期間中に228万件の純増となったが、ARPUは前年同期比140円減少の4490円と低下。データARPUは同160円増の2960円となったが、音声通話の減少、データARPUの低い端末の増加などで、全体のARPUを押し下げた。端末の販売数は同46万増加の988万6000台となり、iPhoneを対象とした販売促進策が功を奏したという。解約率は1.28%で同0.16ポイント増。音声機能のない端末が2年間の満期を迎えて解約が増加したことが影響した。これらの減少分を、買収や端末の拡販施策でカバーした形だ。

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↑ARPUは減少したが、2社に比べると横ばいを維持しており、順調という認識。

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↑契約数はSprint買収によって1億を突破し、今後のスケールメリットも強調する。

 Sprintは、売上高が1兆6844億3900万円となり、581億7800万円の損失。子会社化にともなう償却費や人員削減費用を計上するなどコストがかさんだが、売上高は前年比6%増と順調。EBITDAマージンは前年の14.9%を底に反転して16.9%へと拡大。EBITDAも同13%増の54億ドルに回復した。来年度は65~67億ドルと予測しており、さらに拡大させる計画だ。孫社長は、今までボーダフォン、ウィルコム、イー・モバイルなどを買収して収益を「反転させてきた」(同)経験を生かし、Sprint事業も今後収益の改善を図っていく考えだ。

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↑Sprintの売上は増加しており、契約数やEBITDAマージンなども増加している。

 固定通信事業は、イー・アクセスの子会社化により売上高が同4.1%増の4074億2500万円となったが、ADSLの契約数減少で収益が悪化し、利益は同2%減の876億7800万円だった。

 インターネット事業では、売上高が同16.8%増の2979億7600万円と好調。ヤフーの広告事業である『Yahoo!ディスプレイアドネットワーク(YDN)』への出稿が増加したほか、スマートフォン経由の検索連動型広告が増加したことで売り上げを伸ばした。利益も同9.6%増の1430億8800万円と順調に伸ばした。

 孫社長は、今期の決算に関して、以前から明言していたとおり、売上高6兆円、EBITDA1.5兆円、営業利益1兆円は達成できると強調。営業利益1兆円のうち、2500億円は買収にともなう一時益が含まれており、来期はこの一時益を除いて営業利益1兆円を達成する目標を掲げる。売上高は7兆円、EBITDAは2兆円が目標で、直近でも「2年間で売上やEBITDAが倍増している」(孫社長)として、達成に自信を見せる。

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↑今期の目標は達成できる見込みで、来年度はさらなる成長を予想する。

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↑売上高やEBITDAはここ2年で倍増となり、計画の達成は可能と見込む。営業利益は一時益を除いても1兆円突破が目標。

 Sprint買収にともなう借入の増加も、EBITDAとの比率では、順調に返済をしていたボーダフォン日本法人買収時の6.2倍から3.5倍にとどまっており、「絶対額が大事ではなく、併催するキャッシュフロー、EBITDAの何倍の借入が適切か」(同)という観点で見て問題ないとの認識を示す。

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↑純有利子負債は、ボーダフォン買収以降順調に返済しており、今回も早期に返済を進めていく考え。

 既存事業では、iPhoneやiPadの法人向けビジネスが好調で、いずれも国内では「圧倒的1位」(同)。Google AppsのID数は世界で1位の導入数を誇り、“Googleに対する世界最大の企業向けアプリケーションの販売”であり、Sprintらの買収によってiPhoneのユーザー数も世界最大となったことで、GoogleとAppleに対する世界最大のパートナーだと胸を張る。

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↑iPhoneの法人顧客数は21万社を突破。

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↑Google AppsのID数は80万を超えて世界最大となったという。

 O2O(Online to Offline)事業も強化。ヤフーがスマートフォン向けにクーポンを配信し、店舗への誘導を実施したところ、2週間で7万件の利用者となったほか、集客単価も30%低減したという。また、イオンのショッピングモール全体でO2Oビジネスを提供するなど、「世界最大のO2Oの実践者」(同)としている。

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↑クーポン配布により来店者が増加し、集客単価も低減させた、という。

 こうした法人向け、O2O、ビッグデータなど、「複合的にビジネスを展開しているから売上が伸び、利益が伸びている。複合的にソフィスケートされた形で利益を稼ぐビジネスモデルを作っている」と孫社長はアピールする。

 ヤフーでは、出店手数料の値下げなどによる店舗数の拡大を図り、初めて楽天の4万店を超える11万店を揃え、取扱高をさらに拡大させる。グループの中国アリババは、すでに米国を超える世界最大のオンラインショッピング市場である中国で成長しており、純利益も前年同期比9倍になるなど好調。

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↑出店数が急拡大し、今後取扱高はさらに増加する見込み。

 スマートフォンゲームのガンホー、Supercellを子会社化したことで、スマートフォンゲーム市場でもiOS向け、Android向けで売上1位をキープ。さらに中国最大のモバイルアプリ検索エンジン『Wandoujia』の筆頭株主となり、中国市場でのアプリ、ゲーム配信網を確保した。中国市場では、9割近くがAndroidを占め、そのうちの73%で独自のアプリマーケットが提供されている。その半数にWandoujiaがインストールされており、ユーザー数も3億人を超えているという。これによって、中国市場への展開の足がかりとし、スマートフォンゲーム・アプリでもさらなる成長を狙う考えだ。

 孫社長は、「ソフトバンクはいまだに成長途上」と話し、今後も国内市場はさらなる成長を目指し、米Sprintについては買収後に売上が反転したことからこれをさらに加速させる。それ以外の事業についても継続して力を入れていくことで、今後のさらなる成長に自信を見せている。

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