週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

日本最強を決めるゲームバトル! Red Bull 5G 2013 FINALS観戦レポート

2013年12月17日 17時00分更新

 5つのゲームで最強プレーヤーを決める東西対抗のゲームトーナメント『Red Bull 5G  2013 FINALS』が、12月15日に都内会場で開催された。

Red Bull 5G 2013 FINALS

『Red Bull 5 G』はエナジードリンクでお馴染みのレッドブルが2012年から主催しているゲームイベント。日本のゲームシーンに“翼をさずける”として、トップレベルのゲームプレイを競うEスポーツプレーヤーのために用意された、表舞台となる。夏から秋にかけて選抜された東日本代表チームと西日本代表チームの最強メンバーがこの“FINALS”に出場。会場には数百名のファンが集まり、最高の盛り上がりの中で開催された。

Red Bull 5G 2013 FINALS
↑会場は選手とファンの熱気で、真冬の寒さが吹っ飛ぶほどの盛り上がり!

■ジャンルの異なる 5種類のゲームで激突!

 競技は、レース部門『グランツーリスモ5』、FPS部門『Halo 4』、スポーツ部門『FIFA 14 ワールドクラスサッカー』、ファイティング部門『鉄拳タッグトーナメント2』、フリージャンル部門『ぷよぷよ!!』の5種目。東西それぞれのチームから代表選手が出場し、3つ以上のゲームで勝利したチームが総合優勝となるルールだ。

 集まったプレーヤーは事前に東京・大阪の各会場で行なわれた予選を突破してきた東西最強の猛者ばかりで、各チーム9名の総勢18名。FPSとレースはチーム戦で、他のジャンルは個人戦で各ゲームの勝利が競われる。

Red Bull 5G 2013 FINALS
↑ 試合に先立ち、2012年優勝の東日本代表チームから、『Red Bull 5G』プロジェクトアドバイザーの松井悠氏に優勝旗が返還された。
Red Bull 5G 2013 FINALS
↑個人種目は両チームメンバーが見守る中でバトルする。

わずかコンマ1秒で争い合う『グランツーリスモ5』

 最初に対決が行なわれたのはレース部門の『グランツーリスモ5』。東西2人づつがチームを組み、“富士スピードウェイ”と“鈴鹿サーキット”を舞台に、各3ラップレースで総合タイムを競い合うというもの。ちなみに東日本チームは前大会で勝利経験のあるスゴ腕だ。

Red Bull 5G 2013 FINALS
↑ 『Red Bull Racing』のレーシングシートを使った本格的な環境で対決。

 新作が12月5日に発売されたことで、『グランツーリスモ5』としては最後の公式大会となったが、それだけに選手たちのスキルも磨きぬかれていた。レースはギリギリの走りほど細かいミスが命取りになるため、いかに素早くリカバーするかが腕の見せどころなのだが、各選手ともデッドヒートの中で細かいミスに見舞われつつも、素早いコース復帰でほとんど差が広がらないという好勝負に。

“富士スピードウェイ”戦では東日本代表チームのYAM選手とやまどぅ選手がわずか0.008秒差でワンツーフィニッシュを決め、西日本代表チームのねぎ選手、kh選手は序盤に頭を抑えられた焦りからややミスが多く、遅れること4秒差でのゴール。しかし、続く“鈴鹿サーキット”戦では、上位グリッドからの出走となった東日本代表チームを、ねぎ選手が攻撃的な走りで交わして堂々の勝利をつかんだ。

Red Bull 5G 2013 FINALS
↑わずか0.008秒差でワンツーフィニッシュとなった“富士スピードウェイ”の結果。
Red Bull 5G 2013 FINALS
↑ひとつひとつのハンドルさばきやペダルのコントロールに勝負のゆくえがかかり、高い緊張感が続く。

 最終結果は1位YAM選手(10分55秒073)、2位ねぎ選手(10分57秒266)、3位やまどぅ選手(10分57秒971)、4位kh選手(11分03秒156)で、YAM選手擁する東日本チームが勝利。10分以上のレースでわずか数秒の差しかつかないという、流れによってはどちらが勝ってもおかしくない、素晴らしい勝負となった。

■『Halo 4』、因縁対決のゆくえは……!

 2種目めはFPS部門『Halo 4』。こちらは4対4のチーム戦となる。東日本代表はクラン“Next DimensioN”、対するは西日本代表の“FANATIC”。FANATICのリーダー、VEXATION選手は、もともとNext DimensioNのメンバー。分離独立していざ古巣と決勝対決という構図になり、会場はいやおうなしに盛り上がる。

 試合は、自陣の旗を守りつつ、敵陣の旗を奪って持ち帰れば勝利という“キャプチャー・ザ・フラッグ(CTF)”ルール。もちろんその間も激しい銃撃戦があるため、チーム内の攻撃と防御の役割分担や、状況に合わせて味方をサポートするという無駄のない動きが求められる。

Red Bull 5G 2013 FINALS
↑4対4のチーム戦では、個人の技とチームとしての立ち回りが求められるため、選手たちは大声で報告や指示を飛ばし合う。

 試合中、特に活躍が目立ったのは、確実にNext DimensioNのメンバーの背後をとり次々に倒すという、獅子奮迅の働きでチームを大いにバックアップするVEXATION選手。それでも旗の周辺は超激戦となり、旗を拾う→敵に倒される→旗を落とす→また拾う……と、旗を持ち帰る最後の10メートルで10人以上が倒れるという、1秒単位で攻守が切り替わる猛威な攻防戦が繰り広げられた。

Red Bull 5G 2013 FINALS
↑旗をめぐる戦いは倒し、倒されの連続。VEXATION選手は遊撃的に動き、見事に味方の旗持ちをサポート。

 途中から、じわじわとFANATICチームが流れをつくり出すことに成功し、最終局面では、防御力が強化されるアイテム“オーバーシールド”の取得に合わせて全員が攻勢に出る一糸乱れぬチームワークを見せたFANATICが、旗取得数5対2で勝利! 見事、西日本代表チームの勝利となった。

Red Bull 5G 2013 FINALS
↑火花を散らした両チームも、試合が終われば固い握手を交わす。素晴らしいライバルとして切磋琢磨していくのだ。

■経験と貫禄が流れを惹きつける
 
『FIFA 14 ワールドクラスサッカー』

 3種目めはスポーツ部門『FIFA 14 ワールドクラスサッカー』。俄然注目が集まるのは『ウイニングイレブン』シリーズのチャンピオンとしても知られるベテラン、西日本代表のマイキー選手。予選の段階で昨年のファイナリストを倒すため、関東在住なのにわざわざ大阪の予選に参加したという気合の入りようだ。

 対する東日本代表は、初決勝のたけはら選手。ゲーム中屈指の強チームと言われる“レアル・マドリード”を使うマイキー選手に対し、たけはら選手はディフェンスの硬い“イタリア代表”で対峙。試合は6分ハーフという一般的なルールで行なわれた。

Red Bull 5G 2013 FINALS
↑マイキー選手(奥)とたけはら選手(手前)。大会優勝経験の多いマイキー選手が試合の流れを掴む展開に。

 サイド攻撃が強いと言われる本作のセオリー通り、両選手ともサイド突破を狙った攻撃を展開した。しかしそのスタイルは対照的。マイキー選手が中盤で引きつけ大きなスルーパスを展開するといったスピードある前線を使うと、たけはら選手がサイドにより多くの人数をかけて崩しを狙っていく。両選手ともディフェンスが堅く、通り一遍の攻撃はすべて跳ね返される展開に。

 前半からより多くのクロスを上げたのはマイキー選手だったが、最初のゴールは中央付近のフリーキックからのヘディングから。攻撃機会の少ないたけはら選手は後がなくなり、後半はより人数をかけて、リスキーな攻撃を仕掛けるようになっていく。

Red Bull 5G 2013 FINALS
↑リスクをとって人数をかけた攻めを繰り返したたけはら選手だったが、逆にそれがディフェンスに穴をつくってしまうという結果に。

 それを受けたマイキー選手は、すかさずショートカウンター狙いに切り替え、中盤のプレッシャーを高めてボールをカットすると、ガラ空きのDFラインの裏を何度も脅かす作戦に出る。右サイドの俊足ギャレス・ベイルが決定的なスルーパスを受け、そのままペナルティエリア内にカットインし、コントロールシュートを流し込むことで華麗に追加点を決めた。こうしてマイキー選手が試合を制し、西日本代表チームが勝利した。

Red Bull 5G 2013 FINALS
↑マイキー選手は俊足のサイドを上手く使って2得点の成果。戦術がうまくハマったこともあり安定した試合運びだった。

■超接戦『鉄拳タッグトーナメント2』
 最後のいち撃を入れたのはどっち?

 4種目めはファイティング部門『鉄拳タッグトーナメント2』。東日本代表のBE AO選手は“アリサ”、“ミゲル”のタッグでテクニカルな構成、西日本代表のダイナモ選手は“ジャック 6”、“エディ”を組み合わせたパワー&トリッキーな構成で2本先取制の試合に臨む。

Red Bull 5G 2013 FINALS
↑個人戦である格闘ゲーム。サイドではチームメンバーが固唾を飲んで見守っている。

 互いのスキルは、間合いの取り方によく現われていた。どちらも出の速い小技からコンボに繋ごうとするものの、初手になにを繰り出されるのかを熟知しているため、ギリギリの距離を測りながら好機を見計らう恰好に。ガードするよりも、すんでのところで空振らせることのほうが多いほどだ。モーションの大きな初手を空振ればカウンターとなるため、お互いに慎重な立ち回りで、1本目のラウンドはタイムアップでの勝敗となった。

Red Bull 5G 2013 FINALS
↑実力伯仲、1本目と2本目の試合はフルラウンドが戦われる大接戦。

 相当に見応えがあったのは3本目の最終ラウンド。あと1ラウンド取ればBE AO選手が勝利、という後がない状況で、ダイナモ選手が果敢な攻めを繰り広げ、BE AO選手の“アリサ”をダウン寸前まで追い詰めると、今度はBE AO選手がすかさずキャラチェンジ! ダイナモ選手の“エディ”に向かって畳み掛けるような攻撃を仕掛け、これまたダウン寸前まで追い詰めるという息もつかせぬ展開となった。

Red Bull 5G 2013 FINALS
↑最終ラウンドはキャラチェンジのタイミングが両選手とも抜群で、全キャラが体力ギリギリまで戦い切る流れに。

 残り20秒――両選手の全キャラがほぼワンパンで沈む直前のところで、適確にキャラチェンジできる両選手のスキルもすさまじいが、最終的に、BE AO選手が最後にチェンジした“アリサ”の体力がほんの少し多かったことで勝負は決着し、超ギリギリの3本勝負を制したBE AO選手の属する東日本代表チームが勝利。これで両チームの勝利数は2対2の同点に!

最終決戦はハイレベル頭脳戦が展開する『ぷよぷよ!!』

 最終ゲームはフリージャンル部門のぷよぷよ!!。東日本代表のくまちょむ選手、西日本代表のkamestry選手という2人のぷよマスターの手によって、チームの総合優勝が決まる。実は2012年大会でも全く同じシチュエーションとなり、その際はくまちょむ選手が東日本代表チームを総合優勝に導いたのだ。

 ゲームが始まると、見たことのないような神ワザのぷよぷよ!! プレイが次々と展開された。10連鎖以上を最高速で組めるのは当たり前、目にも留まらぬスピードで落ち続ける“ぷよ”を追いつつ、大技か小技か、相手が仕掛けてくる直前に戦略的に必要最小限の連鎖を完成させ“おじゃまぷよ”を送り込むというハイレベルな頭脳戦を繰り広げる。

Red Bull 5G 2013 FINALS
↑ 泣いても笑ってもこの1戦でチーム全体の勝敗が決まる最終決戦は『ぷよぷよ!!』。

 先に判断が上回ったのはくまちょむ選手だ。巨大連鎖を構築中と見せかけ、これから大技勝負に入ると誰もが思った次の瞬間、地味な小規模連鎖を即席で発動。kamestry選手が構築中の巨大連鎖を数個の“おじゃまぷよ”で台無しにしたのだ。そのタイミングは驚くほど絶妙で、中途半端な状態で邪魔されたkamestry選手は、なすすべもなくやられてしまった。

Red Bull 5G 2013 FINALS
↑くまちょむ選手は巨大連鎖を構築しながらも地味な連鎖をうまくはさみ、kamestry選手を適確に妨害。

 次ラウンドでは、見事な巨大連鎖勝負でくまちょむ選手が先行し、あっという間の11連鎖で快勝。

 これにより東日本チームが3ジャンルで勝利となり、総合優勝を決めた。

Red Bull 5G 2013 FINALS
↑優勝決定の瞬間、喜びを爆発させる東日本代表チームのメンバーたち!

■2014年大会開催も開催決定!

 日本トップレベルのゲーマーがぶつかりあった『Red Bull 5G 2013 FINALS』。いずれのジャンルでも普段は見られない最高級のプレイが展開され、ゲームファンにとって非常に見応えのある大会となったのは間違いない。

 また、それを支える会場運営も見事で、種目が変わるごとに瞬く間に異なるステージを構築。Eスポーツイベントはこういった部分で余計な時間がかかり、予定時間をオーバーする例が多いのだが、本大会では極めてスムーズな試合進行で進められていった。訪れたファンも純粋に試合の中身を楽しめたように思える。

Red Bull 5G 2013 FINALS
↑ 試合の合間、ステージ上では大勢のスタッフが手際よく試合の準備を整え、スムーズな運営に貢献していた。

 閉幕式では『Red Bull 5G』の来年度開催が決定したと発表。この日、惜しくも負けてしまった西日本チームの面々だけでなく、予選で敗れた大勢のプレーヤーたちも捲土重来を期し、来年の開催に向けてますます腕を磨くことだろう。2014年も見逃せない大会になりそうだ!

Red Bull 5G 2013 FINALS
↑総合優勝を果たした東日本チーム。昨年に引き続き与えられた優勝旗を1年間、保持していくことになる。これを翌年奪うのは誰だ?

■関連サイト
Red Bull 5G 2013
Red Bull 5G Facebook

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう