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定型の発想の外側を常に目指す――作家 貫井徳郎

2013年12月02日 11時25分更新

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 先頃、作家デビュー20周年記念作品『北天の馬たち』を上梓された、作家の貫井徳郎さんに「ルール」についてのお考えを伺いました。

貫井徳郎さん

 

 僕にとって「ルールを持たない」ことがルールです。

小説を書く上で、型はまった発想にとらわれるのではなく、ルールを持たずに、ルーティンにならないようにいつも気をつけています。定型の発想の外側を常に目指すのが、僕のルールです。

 デビュー当時は、まだ小説の書き方もよくわかってなかったので、あえて型にはめて書いていた部分はありました。でもなかなか評価されないので、なぜなのかと考えたときに、型にはまることを止めました。そういう考え方になったのは、デビューして7、8年ぐらいですね。

 一方で、生活面においては、きっちりルールを決めています。規則正しく、ルール通りに一日を過ごすことこそがコンスタントに小説を書けると思っています。13時ぐらいに仕事場に入り、1、2時間ほど読書時間をとってから小説の執筆をはじめ、18時ぐらいに終える。いまの目標は一日10枚書くことですね。自分の決めたルールから外れることがすごく嫌いで、毎日、起きる時間から寝る時間まですべてスケジュールを決めて、そのルール通りに動くことが僕にとっては快感ですね。
 昔は、ひとつの小説を書き始めると、なりふりかまわず、朝、昼、夜と一日中ずっと書いていました。でも書き終わると虚脱してしまい、何もしない怠惰な日々がずっと続いていた。デビュー4、5年ぐらいまではそういうスタイルでやっていましたが、一年のトータルで見たときには、たいした量は書けていないのです。それが分かってからは、今のように少しでもいいから毎日書くことを心がけるようになりました。

 生活は規則正しくしながら、仕事ではルールを作らない、ということです。メリハリをつけることが大事です。仕事上でルールがないからといって、生活でもルールを持たないとメリハリがつけられなくなってしまいますから。

 

貫井徳郎(ぬくい・とくろう)

1968年、東京都生まれ。93年、鮎川哲也賞の最終候補作『慟哭』でデビュー。2010年、『乱反射』で日本推理作家協会賞、『後悔と真実の色』で山本周五郎賞を受賞。その他の著書に『失踪症候群』『天使の屍』『プリズム』『新月譚』『微笑む人』『ドミノ倒し』など多数。

■関連サイト

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『北天の馬たち』

 

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