2013年11月05日20時30分

Maker Faireでインテル異例の開発ボード『Galileo』発表

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Maker Faire Tokyo 2013
↑昨年同様に科学技術未来館で開催され、出展者の数は300を数えるかなりでかい規模になった。

 11月3日・4日、東京お台場にある日本科学未来館にて世界最大のDIY展示発表会『Maker Faire Tokyo 2013』が開催された。

 一応説明しておくと、Maker Faireは電子・電気工作やクラフト、メカトロニクスなど技術系の自作を趣味とする人達のお祭りで、2006年にカリフォルニアで始まった。日本でも2008年よりMake:Tokyo Meetingとして毎年実施していたイベント。東京では昨年よりMaker Faireとしてスタート、数百を数える出展者と数万人の入場者が集まるイベントに成長している。要するに自作の電子基板やガジェットなどを持ち寄って展示・販売する「技術系の人間たちのコミケ」みたいなものなのだが、単に技術寄りな出展だけではなく刺繍・手芸系もジャンルとして確立しており、さまざまな大学の研究室レベルの出展も数を増やしていているなど広がりを見せている。

Maker Faire Tokyo 2013
↑国内ではほぼ初のお目見えとなるインテルのGalileoボード。

 今回の大きなニュースと言えば、やはりインテルの開発ボード『Galileo』の国内初出展だろう。いままで電子工作系ではマイコンボード『Arduino』(もともとイタリア製の学習用マイコンボードでAVRプロセッサーを搭載。比較的簡単なプログラムでいろんな電子機器を制御できる)が主流で、対抗馬として『mbed』(蘭NXP社のARMプロセッサー搭載のワンボードマイコン、Arduinoより高速・高機能)があり、さらに昨年より登場した『Raspberry Pi』(英国製のシングルボードコンピューターで、やや電子工作とは方向性は異なるが多機能でいろいろできる)など、ベースとなる制御基盤の選択肢も広くなってきている。

Maker Faire Tokyo 2013
↑Maker Faireは展示だけではなくプレゼンテーションもあるが、Galileoのデモおよび国内発売時期などの発表も行なわれた。

 GalileoはArduinoと共同開発したボードで、IOT(Internet of things)向けのプロセッサー、Intel Quark SoC X1000を搭載。Arduino互換開発環境、互換基板形状(基板上に装着する拡張基板を開発する人にとっては重要)を持ちながらも、電源を切っても現在時刻を忘れないリアルタイムクロック、USBホスト機能、マイクロSDカードへの対応、イーサネットポートの搭載など、Arduinoと比べると大幅に機能がリッチだ。これまでArduinoでモノ作りをしていてネットに接続する機器を作ろうとすると、拡張基板を使わざるを得なかったものが基板だけでできてしまい、基板上のI/O端子はもっと重要なこと(たとえば留守中の猫のエサやり機を動かすとか)に使えるわけだ。

 今回インテルはMaker Faire会場にて発表会を開催した(Maker Faireとしてはやや異例かもしれない)のだが、曰く、Arduinoと共同で電子工作用ボードを作るということはインテルとしても異例のことで、開発は社内の有志、いわばMAKE好きなメンバーが就業時間外に進めたものだという。

 Galileoの国内発売時期および価格も会場の発表会において初めて公表された。発売は12月中旬、価格はオープンプライスながらだいたい7000円前後の予定。

 Maker Faireの会場では、電子・電気・機械工作など各種各様の自作のブツが展示・販売されていたので紹介として列挙しきれないのだが、おもしろいのはこれまでかなり混然としていた会場が、ある意味しっかりと整ってきたことが見受けられたことだ。これまでもある程度出展のジャンルごとにカテゴライズされた配置になっていたのだが、今回は会場の都合からか、主に企業や名のあるMaker(コミケで言えば大手サークルだ)を科学未来館に、個人出展を別会場(隣のタイム24ビル)に振り分けていた。

 個人サークルレベルのMakerでは、相変わらず混然としていて思い思いのブツを作って出品し、実にMakerらしい会場風景ではあったのだが、インテルにしても、mbedやRaspberry Pi、電子部品販売の秋月電子通商やスイッチサイエンス、さらには3Dプリンターメーカーといった、いわば個人の電子工作をサポートする企業がメイン会場に集中したことで、企業がMakerたちを支援する体制が充実しつつある(もちろんMakers Faireの主催であるオライリーも)。

 半導体大手中の大手であるインテルの参入により、そんな空気をいっそう感じたのかも知れないが、各種マイコンボードにしても3Dプリンターにしても環境が充実してきた。Makerにとってものづくりを始める際の敷居も下がり、かつ作られるモノのレベルも次第に高度化しており、「理系離れを食い止めよう」とか「ものづくり日本の復興」といったお題目はともかくMakerムーブメントは今後も注目だ。

Maker Faire Tokyo 2013 Maker Faire Tokyo 2013
↑こちらはRaspberry Pi。ボード1枚でUSBをつないでHDMIでモニターに出せばLinuxマシンになる。 ↑会場ではmbedやRaspberry Piも販売していた。現在のところ、だいたいの市販価格はmbedが5000円強、Raspberry Piが4000円前後。
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↑Arduinoも根強い人気のMaker標準ボードだが、Arduino互換ボードもけっこうがんばっている。写真はArduinoとボード互換でUSB、イーサネット搭載のSAKURA(ルネサス製)。 ↑電子部品などでおなじみのスイッチサイエンスもいちはやくGalileo用バニラシールド(自由度の高い拡張基板)などを製品化。
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↑こちらはlittleBitsと呼ばれる電気工作学習キット。磁石でくっつくモジュールを組み合わせて、スイッチを押したらブザーが鳴ったりモーターが回ったりする。電子楽器でおなじみのKORGが代理店となり、11月中旬に発売する。価格は10ピースブロックで1万1000円。 ↑3Dプリンター自体を作る系ではRepRap Community Japanのデルタタイプ(パラレルリンクロボット形式)の3Dプリンター自作が注目。
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↑3Dプリンター活用例のひとつ。超小型飛行体研究所は羽ばたき飛行機などがおなじみだが、羽ばたきのカム機構は独特の形状なので3Dプリンターが活用されている。 ↑一般の人も巻き込んだ3Dプリンターのブームもひと段落して、やはりモノを作るなら堅実なCNC(数値制御工作機器)。オリジナルマインドの格安CNCならば金属なども加工して歯車を作ることもできる。
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↑左はマイクロ衛星のCUBESAT。こうしてみると10センチ立方というのはほんとうに小さい。右はJAXAの『はやぶさ2』ロケットに相乗りして打ち上げられることになった多摩美大の『ARTSAT2-DESPATCH』深宇宙彫刻のモデル。 ↑電子・電気工作ばかりだではなくいろいろなクラフト系も。高濃度溶液から成長させた石華工匠のビスマス結晶はそれだけできれい。
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↑刺繍などファブリックなクラフトものもジャンルとして確立。こちらは電子部品のぬいぐるみ&でかいブレッドボードだが、中に部品を仕込んであって回路として機能するようだ。 ↑音楽系電子工作モノも相変わらずの人気。ギター系・鍵盤系など形もさまざまだが、やはりMakeの常連は宇田氏の『ウダー』。
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↑個人・中小サークル系の会場は中規模会議室×3フロア。企業系と違ってかなり有象無象というか百鬼夜行な雰囲気だが、ものづくりへの活気はものすごい。 ↑ここしばらくブームだったマルチコプター系はほとんど見られず、徳島大学の研究室が出展していた数機がある程度。意外に思ったものの企業系は今週から同時期にビッグサイトで開催する『2013 国際ロボット展(iREX2013)』を優先しているのかもしれない。
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↑グッドデザイン賞を取った人力強化外骨格「スケルトニクス」。しかしでかい。 ↑自分の代わりに歩き回ってくれるテレプレゼンスロボット。カメラとユーザーの顔表示はiPad、移動メカニズムは見てのとおりのRumbaという割り切り方がユニーク。
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↑電気系のなかでも高電圧回路を組まなくてはいけないテスラコイルの自作キット。 ↑なぜかラジコン操作で動くラジコンの初代ファミコン。有線だからラジではないのでは……というツッコミは野暮である。
Maker Faire Tokyo 2013 Maker Faire Tokyo 2013 Maker Faire Tokyo 2013
↑電子自作系ではFriskケースに入れるのがいまだ根強いブーム。こちらはヘッドホンアンプなどがそれぞれFriskケースに入っている。 ↑フィルム写真系はやや減ったもののがんばっている。これはプラケースの中にフィルムを入れ、針穴写真で撮ったあと、そのまま現像液を流し込んで現像してしまうというもの。 ↑こちらは自作空気砲でおなじみの出展者(Maker Faire常連)。デモを含むので屋外展示となっているが、科学未来館の前の広場は自作EVのデモ走行やマルチコプターの飛行や、隣で開催されているコスプレ撮影集会でかなりカオスな感じだった。

■関連サイト
Maker Faire Tokyo 2013

【週刊アスキー 2013年 12/12号はこちら!】

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