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iTunesで観たい男泣き映画 ブラックホーク・ダウン、僕たちは世界を変えることができない。|Mac

2013年10月12日 20時00分更新

 今週のテーマは男泣き映画です。男が泣いていいのは親が死んだときとだけ言われていますが、涙腺機能がバカになった年齢になると、箸が転がっただけで泣いてしまいます。吉田編集長は「僕たちは世界を変えることができない。」、三宅デスクは「ブラックホーク・ダウン」を選択。「この俺の枯れた涙を呼び戻した」映画になったのでしょうか?

僕たちは世界を変えることができない。
But, we wanna build a school in Cambodia.
僕たちは世界を変えることができない。

 おそらく3回、いや5回は泣くと思います。世間一般の「感動」とはちょっと違ってますが。そして、泣けるから観るってのも違うんでしょう。最初は、チャラい感じで始まりますが、すぐに映画に引き込まれることは間違いありません。

 映画のベースは、葉田甲太さん原作のノンフィクション。自身が体験した「カンボジアに学校を作る」という目的を達成するまでのストーリーが描かれています。実際の撮影手法は、一部のシーンでアドリブを生かす感じだったみたいですが、その方針もあってドキュメンタリー映画を観ているようでした。映画を観て、多くの人が高校時代の教科書やニュース映像でしか知らなかった、三十数年前のカンボジアの悲劇を深く知るきっかけにもなるでしょう。

 映画の中でも議論されてますが、寄付を募るボランティアの難しさをリアルに描写しています。「誰かのためになにかしたい」と思う気持ちはあっても、生活のすべてをそれに捧げるわけではありません。個々人にはそれぞれの生活があり、それぞれの楽しみも悲しみもあるわけです。「なんでカンボジアなのか」「自分の満足のためでしかない」などの疑問が噴出するのも当然だと思いますが、ボランティアに国とか地域とか理由とか、どうでもいいように思いました。自分がそうしたいと思う気持ちと、行動に移すことが大事ですよね。当たり前か。

 カンボジアでのガイド役の方は、実際に現地でガイドをされており、原作者を案内した本人だそうです。おそらく演技は素人なんだと思いますが、そのぶんリアルな発言や表情が印象深かったです。もちろん、現地のシーンでは演技なのか素なのかわからないほど気持ちが入っていた、役者陣も素晴らしかったです。

 おっさんになると自分の学生時代と照らし合わせてしまいがちですが、二十年ほど前の自分はというと、生活費の捻出、学費の支払い、はじめて購入した新品MacであるLC575の超長期ローンではやくも生活に追われていました。大学にはほとんど行かずに、朝から深夜まで新宿近辺でバイトばっかりしてたなぁと。そこから、人生間違っていたかもしれませんが、特に後悔はしてません(吉田)。

僕たちは世界を変えることができない。
But, we wanna build a school in Cambodia.

HD版レンタル:300円、SD版レンタル:200円
iTunes Storeで映画を見る


ブラックホーク・ダウン
ブラックホーク・ダウン

 非常に単純なんだけど、涙腺崩壊映画は「苦労するが報われなく死んじゃう」系。感動とかラブとかじゃなくて、バッドエンド映画ね。なんとかならないかと、もう一回観るんだけど、やっぱり死んじゃうので、リピート率がハンパない。

 一番好きな泣ける映画は長年不動で「Uボート」(1982年)。機雷攻撃で海底に沈んじゃって、残り酸素がなくなる絶体絶命の中、なんとか修理して浮上し、ぼろぼろの船員がドックに戻ると英国軍の爆撃で……という内容。あとちょっとの未達感がたまらない。

 もともとテレビドラマだったものを劇場用に再編集しているので、カットが変わると髭ぼうぼうだったり、タイムスリップ感は気になる。編集した人は怒られなかったのかなぁ、とかドキドキするので、好きな人は5時間くらいあるオリジナル版を見てほしい。

 その不動の座を僅差で追っているのが、2002年公開の「ブラックホーク・ダウン」だ。公開当時はさんざんで、いつものアメリカ万歳映画とか、ゾンビ映画なんて言われたけれど、最近では評価も高まり、先日テレビ放映もされたばかり。

 実際ソマリアであった作戦を、リドリー・スコットが乾いた映像と細かいカット割りで撮り、ハンス・ジマーがここ一番で哀愁ある音楽を流すという、王道パターンの作品だ。単なる戦争映画なので、しばらく観ていても全然泣けない。みんな短髪の隊員な上、デルタとレンジャーという混合部第なので、誰が誰だがわからないのに、どんどん死んでいく。弾丸が雨あられの中、銃座に次々ついて即死んでいったり、手や胴体がバランバランになって、呼吸するのも苦しいほど。

 が! 中盤に暴徒に襲われる仲間を救うべく、どう考えても死んじゃうのにヘリから地上に降りて支援を志願したり(死ぬ)、命からがら基地に帰って来ても、弾を補給したらまた仲間を助けに戻るあたりから、じわじわと胸が一杯になってくる。とにかく、誰かを助けに行く→その人は助かるけど自分は死んじゃう、という展開が続いて泣けてくる。

 結局、作戦は失敗。残った隊員たちは弾も無く、乗り物もなく、ゲーゲー吐きながら走って民兵から逃げ戻るという、誰得な終焉を迎える。にも関わらず、それでも水と軽食を摂ったら、装備を整え残った仲間を救出に……という「無理無理、絶対、自分だったら行かない」状況に向かっていくあたりがグッと来る。

 映画自体は2時間24分と長いのだが、リドリー・スコット映画では当然の2時間32分のエクステンデット版もある。iTunes版は劇場公開サイズなので、最初に長いほうを観るのもおすすめ。もっと隊員たちの素行を描いているので、誰が誰だかわからない事態は緩和する。またセル版のコレクターボックスには、ヘリから救援に降りた隊員たちがどうなったかなど、実際の作戦に関するニュースやインタビュー映像も収録されているから、事実を知ってからもう一度観るとまた見方が変わるはずだ(三宅)。

ブラックホーク・ダウン(字幕版)
HD版レンタル:400円、SD版レンタル:300円
iTunes Storeで映画を見る

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