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Windows情報局ななふぉ出張所

CEATEC 2013で見えてきたWindows 8.1への期待と課題

2013年10月09日 17時00分更新

 10月1日から6日まで幕張メッセにて開催された『CEATEC JAPAN 2013』では、PC関連も多数の新製品が展示されました。

 Windows8の登場前後から元気がないと言われるPC市場ですが、10月18日のWindows8.1一般発売を控え、再び盛り上がっていくと思われます。その第1弾として、CEATECに並んだ最新PCを振り返ってみましょう。

■シャープのMebiusブランドを冠したAtomタブレット『Mebius Pad』

 CEATEC JAPAN 2013に合わせてシャープが開発を表明したのが『Mebius Pad』です。Mebiusというブランドは、2009年まで続いていたシャープのPCブランド。今回、そのMebiusが復活する格好となった点も話題を集めました。

CEATEC 2013に見るWindows8.1への期待と課題
↑シャープのMebiusブランドが復活し登場する『Mebius Pad』。

 Mebius PadはAtomプロセッサーを搭載した10.1インチのWindows8.1タブレットですが、それぞれに最新コンポーネントを採用しており、プロセッサーは最新のAtom Z3770(Bay Trail-T)、ディスプレーはシャープ独自のIGZO液晶で、2560×1600ドットというクラス最高の画素密度となっています。

 本体サイズとしては既存のAtomタブレットと同等でありながら、Bay Trailによるパフォーマンスとバッテリー駆動時間の両立が期待できる、Windows8.1世代のタブレットとなっています。唯一残念な点としては、マイクロUSBによる充電はできない(ブース担当者の説明による)とのこと。2014年1月に発売されそうです。

■富士通の未発表タブレットは最新ARROWS Tab

 CEATECの富士通ブースやインテルブースには、富士通製の未発表タブレットが展示されたことで話題となりました。参考出展となっており、詳細なスペックについての情報も得られないまま、来場者は指をくわえて眺めるしかない状態となっていました。

CEATEC 2013に見るWindows8.1への期待と課題
↑CEATEC時点では未公表だった2in1デバイス2機種。

 これらは10月8日の内覧会で正式発表され、白いほうが『ARROWS Tab QH55/M』、黒いほうが『ARROWS Tab QH77/M』であることが判明しました。

CEATEC 2013に見るWindows8.1への期待と課題
↑10インチの2in1デバイス『ARROWS Tab QH55/M』。
CEATEC 2013に見るWindows8.1への期待と課題
↑12.5インチの2in1デバイス『ARROWS Tab QH77/M』。

 QH55/Mは、10.1インチの画面サイズながら、Mebius Padと同じ2560×1600ドットのディスプレーを搭載しているのがポイント。プロセッサーは同じくBay Trail-Tの最上位モデル『Atom Z3770』を搭載。15.5時間のバッテリー駆動が可能となっています。

 Mebius Padのライバルとなりそうですが、液晶はIGZOではなくIPSαとのこと。一方、QH55/Mは純正キーボードがオプションで用意されており、マイクロUSBでの充電に対応する点が優位点となりそうです。

 12.5インチのQH77/Mは、Coreプロセッサーを搭載した“防水”タブレットである点が特徴。なんと“防水ファン”を搭載しており、ファンのなかに水が入っても大丈夫な構造になっているとのこと。富士通の防水に対する強烈なこだわりを感じさせるPCとなっています。

 オプションの拡張クレードルに乗せると、“ターボモード”が有効となり、パフォーマンスが向上します。これはクレードルに冷却ファンが内蔵されており、タブレットに空気を送り込むことで、CPUの性能をより多く引き出せるようになるためです。

■東芝のWindows8.1搭載8インチタブレット

 IFA 2013で東芝が発表した『Encore』(アンコール)と同型の8インチタブレットが、CEATECの東芝ブースにも展示されていました。

CEATEC 2013に見るWindows8.1への期待と課題
↑東芝ブースに展示された8インチのWindows8.1タブレット。
CEATEC 2013に見るWindows8.1への期待と課題
↑詳細は未発表だが、Encoreの国内向けバージョンのようだ。

 Encoreについて、IFAで東芝は「年内の発売を目標にしている」と発言していることから、正式発表が期待されるタブレットとなっています。東芝ブースでは“dynabook”コーナーの一角に展示されており、国内での製品名や価格がどうなるのか気になるところです。

■ASUSがIDF 2013で披露した2in1デバイス

 インテルブースにASUSが参考出展したのが、『Transformer Book T100』。このデバイスはASUSがIDF 2013で披露したことで話題となったモデルです。

CEATEC 2013に見るWindows8.1への期待と課題
↑ASUSの2in1デバイス『Transformer Book T100』。

 ディスプレーは10.1インチで、プロセッサーに最新のAtom Z3740(Bay Trail-T)を搭載。ディスプレーとキーボードを分離することでタブレットとしても使える2in1デバイスです。米国での価格として、32GB版が349ドル、64GB版が399ドルと発表されており、かなり手頃な価格で入手できる2in1デバイスとなりそうです。

■Bay Trailなら“艦これ”もサクサク?

 ほかにもインテルブースではBay Trail-T搭載のリファレンスタブレットを持った説明員が待機しており、『艦隊これくしょん ~艦これ~』がいかに快適に遊べるかをデモしていました。

CEATEC 2013に見るWindows8.1への期待と課題
↑Bay Trailで“艦これ”。取材陣の間でもCEATECの見どころのひとつとして口コミで評判が広がった。

 艦これのようなFlashゲームではWebサーバーとの通信も重要ですが、画面の描画にもある程度の性能が求められることも事実。その点、Atom初のクアッドコアで、GPU性能も3倍に向上したBay Trail-Tは、これまでの“Atom”のイメージを覆すプロセッサーとして期待できそうです。

■Windows8.1はRTMから一般発売までにさらなる改善か

 このようにWindows8.1を目前に多数のPCが登場するなかで、各メーカーのブースで話題となっていたのがWindows8.1自体の話です。昨年10月のWindows8のリリースからわずか1年という短い間隔でリリースされることもあり、舞台裏はずいぶん慌ただしいものとなっているようです。

 スケジュールの過密さが顕著に現われた例として、Windows8.1のRTM版を巡る一連の騒動が挙げられます。これまではRTM版の完成後、すみやかに開発者やIT技術者向けに配布するというのが通例でしたが、マイクロソフトはWindows8.1について、一般発売まで配布を見送ろうとしました。

 これは開発者やIT技術者の大きな反発を招きました。完成版のWindows8.1を発売前にテストできず、ぶっつけ本番で発売日を迎えることを意味するからです。後日マイクロソフトは方針を変更し、RTM版を従来どおりのチャネルで配布しました。

 この経緯について、米マイクロソフトのSteven Guggenheimer氏はブログ記事で解説しました。これによれば、マイクロソフトはWindows8.1のRTM版を、内部テスト用のバージョンの一種と見なしていたことがわかります。このようなマイルストーンは、従来ではRC(リリース候補版)に近い位置付けと言えます。

 つまりWindows8.1では、開発スケジュールのうしろに“年末商戦”が控えている以上、スケジュールの遅延は許されず、従来のRC相当の品質のものをRTMと名付けてOEMにリリースせざるを得なかったのではないか、と推測できます。一連の騒動の原因は、“RTM”の意味を勝手に変えたマイクロソフトと、従来の“RTM”を期待していた開発者との間で生じた齟齬にあると言えるでしょう。

 エンドユーザーの視点で気になるのは、はたしてWindows8.1は本当に大丈夫なのか、という点です。現在、MSDNやTechNetで公開されているRTM版は、報道関係者が記事や番組作成のために利用することはできないという制限が付けられています。Windows8.1の本当の姿がメディア上で明らかになるのは、一般発売以降となりそうです。

山口健太さんのオフィシャルサイト
ななふぉ

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