2013年10月05日15時00分

2本のジョブズ映画と考える、在りし日のジョブズとAppleのこれから|Mac

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ジョブズの映画2本が公開に

 スティーブ・ジョブズの訃報が世界を駆け巡ってから、早くも2年が経過しようとしている。2年前の2011年と言えば、東日本大震災のあった年でもある。特に日本のジョブズファンにとっては、重苦しい出来事が重なった年として記憶に強く残っているはずだ。

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 それから2年が経ったいま、ジョブズが主役の映画2本が、相次いで登場した。なぜいまになって、という気がしないでもないが、映画を準備して撮影し、公開に漕ぎ着けるまでには単純にそれくらいの時間がかかるのだろう。

 しかし、本サイトでも紹介したように(関連記事)、特に日本ではウォルター・アイザックソンによるスティーブ・ジョブズの伝記を原作として描かれたマンガ(ヤマザキマリ作)が少女マンガの月刊誌に連載され、コミックの発売が話題なったばかりだ。何かしらの不思議な巡り合わせだろうか、仏教式に言えば三回忌を迎えるにあたって、第2次(か何次かわからないが)ジョブズブームがやってきそうな条件が、ここにきてまた整ってきたようにも思える。

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© 2013 The Jobs Film,LLC.

 その映画の1本は、日本で11月1日から公開が決まっている、その名も「スティーブ・ジョブズ」だ。ジョブズの伝記を映像化したような作品で、ジョブズという人間の人格、その人生を手早く知るための入門用とみるのが妥当だろう。

 それだけでなく、ジョブズが少年から青年時代を実際に過ごし、Appleが文字どおりガレージカンパニーとしてスタートすることになった米ロスアルトスの実在の家で撮影するなど、見どころも多い。また、これまでは頭の中で想像するしかなかった、1980年代の緊迫したAppleの重役会議の場面を、迫真の映像として体験できる。

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© John Gau Productions & Oregon Public Broadcasting 2011

 そしてもう1本は、すでに9月28日から公開されている「スティーブ・ジョブズ1995〜失われたインタビュー〜」だ。そのタイトルからもわかるように、ジョブズ本人のインタビューを収録したもので、最初から最後までひたすらジョブズ本人がしゃべりまくる。

 1995年のジョブズは、まだAppleに復帰する前、1985年にAppleを追放された後に起業したNeXT社のCEOだった。ただし、NeXT社としての社運はすでに尽きかけたころであり、ジョブズの生涯でも決して充実した時代のものではない。その証拠に、それから2年もしないうちに、ジョブズはNeXTを会社ごとAppleに買収させる形でAppleに暫定CEOとして復帰する。実はジョブズは1995年ごろからAppleを買収することを目論んでいたと言われている。このインタビューを受けたころには、すでに何らかの方法で自身がAppleに復帰してAppleを再興するという未来の青写真が頭の中にでき上がっていたのかもしれない。

 そうした時代背景を考えると、タイミング的にも実に興味深いインタビューだ。映像は荒いが、大写しになったまだ若いジョブズ本人の迫力に勝るものはない。当時のジョブズが何を考えていたのか、ジョブズ本人の口から聞ける非常に貴重な体験と言える。その後のジョブズの行動、その成果を知る現在の我々にとってこそ、全身を目と耳だけにして浸りたい作品だ。

ジョブズ以後のAppleへ

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(c)Koichiro Hayashi

 ジョブズブームが何度再燃しようとも、ジョブズの話題が永遠に語り継がれようとも、もはやそれは現在のAppleにとっては何の関係もないことだ。Appleはすでにジョブズ以後の時代を歩み始めている。

 とはいえ、現在のAppleの主力製品はジョブズ時代からあるもので、ジョブズが指揮し、心血を注いだものばかりだと人は言うだろう。それはそのとおりだ。ジョブズの死後2年も経過するのに、ジョブズの生前になかったものは少なくとも主力製品としては何も登場していない。にもかかわらず、Appleがその分野でトップを走り続けていられるのはむしろ驚きであり、それこそがジョブズの威光であると考える人もいるだろう。しかし、これから時間が経過するにつれて、そうした状況も徐々に変化していくはずだ。2年が経過したいま、その兆候は徐々に見え始めている。

 その先陣を切ったのが、先日リリースされたiOS7だ。それ以前のiOSはあらゆる点で、ジョブズの美的感覚の結晶のような存在だった。ジョブズがAppleを永遠に離れてから2年が経過したいま、Appleは主力製品に搭載するiOSに手を加え、それまでとは大きくイメージの異なる製品に仕上げてきた。もうじき登場するOS X Mavericsも、おそらくその延長線上のものになるだろう。

 さらに新たなハードウェア製品が登場しなければ、ジョブズ以降のAppleは見えてこないと言う人もいるだろう。すでに6月のWWDCで発表されている新しいMac Proが、その先鋒となるのかもしれない。ほかにもウワサされているさまざまな新製品があり、それらにはジョブズ以降のAppleの意図が反映されているはずだ。

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 残念なことだが、ジョブズはもう過去の人だ。それは、こうした映画がこぞって公開されることからも明らかだ。2年目に登場した映画、2年目に登場した新しいOS、それらはあたかもひとつの時代の区切りが訪れたことを告げているように思えてくる。

 ジョブズのようにAppleを経営し、その業界全体を牽引できる人は誰もいないし、これからも出てこないだろう。誰もジョブズの真似はできないし、その必要もない。ジョブズがほかの誰よりも間違いなく勝っていたのは、自社の製品、自分が造る製品に対する情熱だ。その情熱だけは受け継ぐことができるかもしれない。その情熱を思い出し、噛み締め、自らの思いを新たにするには、ジョブズの映画は大きな力となるだろう。

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©Kazuhiro SHIOZAWA

●関連サイト

・映画「スティーブ・ジョブズ」(公式サイト
・映画「スティーブ・ジョブズ1995~失われたインタビュー~」(公式サイト

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