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Apple基調講演18 ティム・クック新体制でリリースされたiPhone4S|Mac

2013年07月14日 20時00分更新

 このスペシャルイベントが開かれたのは2011年10月4日。同年8月にはスティーブ・ジョブズはCEOを退任することを発表しており、後任としてティム・クックを指名していた。本講演は、クックが新CEOとして初めてホスト役を務めたイベントだ。新体制となったAppleの門出を見届けることが最後の使命だったかのように、ジョブズはこの翌日、生涯を閉じている。
 

■ホスト役は新CEOのティム・クック

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 Appleのイベントは、スクリーンにKeynoteのスライドやビデオを表示し、それを見ながら進められる。だがこの日クックは、ステージ登壇してから3分弱、画面には何も投影せずに観衆に語りかけた。自分がAppleという企業を愛していること。そしてそのCEOという役目を任されたことをとても名誉に思う、と。ゆっくりと確かな口調で所信を表明する姿は、ジョブズのようなカリスマ性こそ感じさせないものの、誠実な能吏という印象を与えた。
 

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 ひと通りあいさつを済ませるとスライドが投影され、いつもの業績報告が始まった。まずは、直営のリテールストアの展開が引き続き順調で、11カ国357店舗に増えたことを報告。クックは以前はセールス&オペレーション担当であり、リテールストアも彼の専門分野だ。
 

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 続いて、7月にリリースしたOS X Lionの状況。発売から2カ月強でダウンロード数が600万件を突破し、驚異的なペースで導入が進んでいること語った。また、米国におけるPC市場のシェアも順調に拡大しつつあり、23%に達したことを報告。


■Appleがナンバーワン企業であることを強調

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 本講演で繰り返し強調されたのは、Appleがハード、ソフト、サービスの各分野でナンバーワンの企業へと成長したことだ。「#1」(ナンバーワン)というスライドが繰り返し表示され、各分野での実績が語られた。
 

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 いわく、米国で最も売れているのはMacであり、iPodシリーズは世界で最も売れているミュージックプレーヤー、iTunes Storeは音楽販売サービスのトップであり、iPhoneはスマートフォン市場のトップ、iPadはタブレット市場におけるトップであり、かつ顧客満足度でもトップである……と。

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■2番手の登壇者はフォーストール

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 クックに変わって登壇したのは、iOS担当上級副社長のスコット・フォーストール。iOS関連の業績報告ではApp Storeを例に出し、やはりナンバーワンのアプリ販売プラットフォームであると豪語した。

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 新製品としては「Cards」というアプリを発表。これは当時もあまり注目されなかったアプリだが、iOSアプリからバースデーカードなどの紙製のカードを作成して送付できるもの。世界各地に送ることが可能で、日本からも利用可能だ。
 

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 続いてはiOS5の新機能だが、これは過去の講演で語られた内容と同じであり、ダイジェスト的な紹介に留まった。当時のフォーストールとしては珍しく、5分程度でステージを下りている。


■3番手はエディー・キュー

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 フォーストールに代わって登壇したのはエディー・キュー。この約1年後にフォーストールはAppleを追放され、その後任となるのがエディー・キューであるというのは、何とも皮肉だ。
 

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 キューが担当したのはiCloudに関する発表。iCloudは先のWWDCでジョブズがプレゼンした分野であり、Apple内でのキューのプレゼンスが拡大していることが感じられた。ただし、目新しい発表としては「友達を探す」機能のみで、それ以外はWWDCのダイジェスト的なものに留まった。

 

■メインを張ったのは4番手のフィル・シラー

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 本講演の一番「おいしいところ」を持っていったのは、キューに続いて登壇したフィル・シラー。Appleの基調講演ではおなじみのプレゼンターだ。スピーチも堂に入っており、独特の柔らかい雰囲気は観衆を和ませる。ポスト・ジョブズ後初の講演のメインにシラーを据えたのは、優れたキャスティングといえよう。
 

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 シラーはまず、毎年この時期にアップデートしているiPodの新シリーズを発表。いずれのモデルとも大きな変化はなく、プライスパフォーマンスの向上がメインのマイナーアップデートといった内容。もちろん、今回観客が期待していたのはiPodではない。iPhoneのニューバージョンだ。
 

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 この発表では、ジョブズの基調講演の伝統ともいえる「焦らしテク」が最大限に駆使された。シラーの口からiPhone4Sが発表されたのは、イベントが始まって50分以上も過ぎてからだ。しかし、iPhone4Sは外観上は前バージョンのiPhone4と同じなのでインパクトに欠ける。それを補うべく、シラーのプレゼン力がいかんなく発揮された。
 

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 新世代の「Apple A5」プロセッサーを搭載しており、処理速度が向上。それにもかかわらず、バッテリー持続時間は以前と同等以上を確保。そしてCDMA版が追加され、より広い地域で提供可能になったこと。日本でauが取り扱いを開始したのも4Sからだ。
 

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 とりわけシラーが強調したのは、カメラ機能の強化だ。8メガピクセルの裏面照射型センサーを採用し、レンズの数も5枚に増えた。撮影速度、明るさ、色再現性が向上し、カメラとしてのグレードが大幅に上がったことを力説した。写真共有サービスのFlickrにおいて、iPhoneで撮影した写真の比率が飛躍的に増加していることに触れ、カメラとしての高い性能も求められていると説明した。フルHDの動画撮影もサポートしたこと、AirPlayをサポートしたことも付け加えた。

 

■Siriの発表〜クックによる締め

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 もうひとつの大きなトピックとして、音声アシスタント機能の「Siri」も発表。デモはフォーストールが担当した。お約束の宣伝ビデオも上映されたが、いつもと違ってジョナサン・アイブは登場しなかった。ビデオに登場した幹部は、グレッグ・ジョズウィアックやボブ・マンスフィールド、フォーストールらだ。
 

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 こうして今回の主要な発表は終わり、最後は再びクックが登壇。発表内容を振り返ったあと、少し間をおいてから観衆に語りかけた。Appleだけが、こうした素晴らしいハード、ソフト、サービスを一括して提供できる。私はこの会社とスタッフ達をこの上なく誇りに思う、と。ステージ映えするような華はない半面、人々の襟を正させるような真摯な眼差しで訴えかけるこの人物が、Appleの新しいリーダーなのだ、と納得させられる瞬間だった。

 

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