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基調講演でWindows8.1を発表、開発トレンドはタッチ重視へ:BUILD2013

2013年06月27日 17時25分更新

文● 山口健太 編集●アタラシ

 6月26日より始まった、マイクロソフトの開発者向けカンファレンス『BUILD 2013』。初日の午前9時から行なわれたキーノートでは、Windows8.1や未発表のWindows Phone 8端末、Visual Studioの最新版を含む、多数の新情報が発表されました。

BUILD2013

↑キーノートには米マイクロソフトのCEOとしておなじみのスティーブ・バルマー氏が登場。


 

■なにはともあれ、Windows8.1 Previewを配布開始

 最初にスティーブ・バルマー氏は、開発者が最も知りたいであろう『Windows 8.1 Preview』の提供開始を発表しました。プレビュー版は製品版よりも完成度が低いベータ版相当ではあるものの、一足先にWindows8.1の機能を試すことができます。

BUILD2013

↑Windows8.1へのアップデートを提供開始。


 6月26日時点では、プレビュー版の配布サイト(関連サイト)を経由したWindowsストアからのアップデートに対応。新規インストールが可能なISOイメージについては、明日6月27日からの一般公開が予定されています


■小型タブレット対応を強化、縦位置での使用感を改善へ

 マイクロソフトがCOMPUTEX TAIPEI 2013において明らかにしたのが、Windows8.1における縦位置(ポートレイト)利用の改善です。これは7~8インチの小型タブレットにおいて、特に重要なポイントとなります。

BUILD2013

↑Windows8.1の具体的な改善ポイントを解説するJulie Larson-Green氏。
 

BUILD2013

↑Iconia W3によるポートレート使用のデモ。


 特に、公式のTwitterアプリでは、縦位置の画面デザインが改善されたとのこと。今後はこのように縦位置で使いやすいアプリがトレンドになる可能性を示しました。


■デスクトップとモダンの調和を目指す

 すでに発表された新機能も含め、Windows8.1ではモダンUIの画面に多くの改良が加えられています。スタート画面の背景にはデスクトップの壁紙を利用できるようになり、“アプリ一覧”画面は、スタート画面から上下方向のスワイプで行き来できるようになりました。

 サイドバー上にアプリを表示するスナップ機能は、50対50の分割や3分割以上など、より柔軟な表示に対応。検索機能はアプリだけでなく、OSの設定やWebサイトにまたがって検索できるようになるなど、細かな使い勝手の改善が図られています。

BUILD2013

↑複数のカラムに分割するようにしてストアアプリとデスクトップアプリを併用できる。


 Internet Explorerの最新版『IE11』ではタッチ操作の大幅な改善が、SkyDriveの最新アプリではクラウド上のファイルとローカルのファイルをシームレスに扱えるようになります。さらにサードパーティーのアプリとして、ソーシャルニュースアプリ『Flipboard』、そして待望の『Facebook』公式アプリの近日登場がアナウンスされました。

BUILD2013

↑『Flipboard』や『Facebook』のストアアプリが登場へ。

BUILD2013

↑Windowsストアのアプリ自体も改良され、よりアプリを探しやすくなった。


 これらのモダンUIにおける機能向上と同じくらい見逃せないのが、Windows8.1のデスクトップにおける改善です。COMPUTEX TAIPEI 2013でも紹介されたように、デスクトップにはスタートボタンも復活します。

BUILD2013

↑Windows 8.1のスタート画面。デスクトップとの融合が進んだ。


 デスクトップとモダンはこれまで分断されてきましたが、Windows8.1ではそれぞれを洗練させつつ融合するという、新たな方向性を打ち出すこととなりました。

BUILD2013

↑デスクトップとモダンを洗練させつつ融合する。


■スプリント向けLTE対応Windows Phoneを発表

 Windows Phone 8については、米スプリントから発売される新端末『HTC Windows Phone 8XT』と『Samsung ATIV S Neo』が同時に発表されました。これまでスプリントはWindows Phone 8世代では端末を発売していなかったため、これが初のWP8端末となります。

BUILD2013

↑スプリントから初となるWindows Phone 8端末が登場。


 これにより、米国の四大キャリアがすべてWindows Phone 8をラインアップすることになります。また、スプリントのソフトバンクによる買収が成立まであと一歩に迫っていることを考えると、日本への展開可能性があるのかどうかも興味深いところです。


■開発者に向けて、タッチ対応の重要性を強調

 Windows 8.1用アプリの開発に対応した開発環境としては、『Visual Studio 2013』を発表。すでにWebサイトから、Preview版のダウンロード(関連サイト)が可能となっています。

BUILD2013
BUILD2013

↑Visual Studioの最新版『Visual Studio 2013』。

 Windows8.1では、基本的にすべてのWindows8向けストアアプリが動作するとされています。一方、Windows8.1の新しいAPIを使うには“Windows8.1用アプリ”として開発する必要があります。このようなアプリは、Windows8での動作には対応できません。

 開発者向けのメッセージとして、バルマー氏はタッチ対応の強化を呼びかけました。マイクロソフトによれば、タッチに対応したPCを使っているユーザーは、そうでないユーザーに比べてより幸福度が高いとのこと。

 また、最近ではマイクロソフト関係者の間で、タッチありきでアプリを開発する“タッチファースト”というキーワードが盛んに使われるようになっています。

 これまでの開発者向けカンファレンスにおけるお約束は、バルマー氏が「デベロッパー、デベロッパー、デベロッパー!」と開発者の重要性を叫ぶことでした。しかし今回はその代わりに、「タッチタッチタッチタッチタッチタッチタッチ、そしてタッチ!」と連呼。世界中から集まった開発者に向けて、タッチ対応の重要性を改めて呼びかけました。


(2013年6月27日20時10分追記:縦位置でのタイルなど、画面デザインに関する説明を修正しました。)

■関連サイト
BUILD公式サイト
 

山口健太さんのオフィシャルサイト
ななふぉ

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