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iTunes Storeで週末に観たい映画「父の日」編|Mac

2013年06月15日 20時00分更新

 明日の16日は父の日です。そこで今回は「父」がキーワードの映画から作品を絞り込みました。山口編集者が選んだのはジョンQ 最後の決断」、吉田編集長が選んだのは「別離」です

ジョンQ 最後の決断
iTunes Movie

 いかにもお涙頂戴感動系ではないものが観たいなと思ったのと、デンゼル・ワシントン主演に惹かれて選んだ1本。iTunesの解説には、心臓移植が必要な息子を助けるために病院に立てこもるとあります。息子のためとはいえ凶悪犯罪を犯すことになる主人公を、最後どのように正当化して終わらせるのかが観たいと思いました。盛った感の少ないリアリティー重視の演出が好みで、集中力を欠かさずに一気に観ちゃいましたね。

 ドナーリストに名前を載せるだけでも高額な保証金が必要となり、保険の適用が受けられないか奔走する様子を丁寧に描いているのがいいです。会社から理不尽な対応をされ、役所の窓口の融通の利かなさに苛立っても、ジョン夫婦は人や物に当たったりしません。そういうとこがよかった。だってね、映画とかドラマではよくありますけど、床に叩きつけたカップが割れて散乱したりしたら後が面倒じゃないですか。よほどじゃなきゃしませんよね。私だって、投げても大きな音がせず壊れないクッションとかを選んで壁に叩きつけていますよ。てっきり友人夫婦がカンパを呼びかけてあっさり全額集まってしまうんだと思いましたが、そううまくはいきません。やっぱりね。

 立てこもり事件を起こしてからも、ジョンQの取る行動は劇的すぎないのが好感度大です。ストックホルム症候群といえばそうなのかもしれませんが、人質がだんだん彼を支持し始めるのも理解できる気がしました。奇跡っぽいものは本当にひとつしか起きません。

 こんなことをして助かっても息子は幸せなのかという議論はあると思うんですが「生きてこそだ」いう考えも悪くないと思いましたね。自分の立場だったら、批判を受けたって助けたいのが心理かなと。何が何でも生に執着することこそ、リアルの家族愛かなと思いました山口

ジョンQ 最後の決断(字幕版)」をiTunesで見る
(HD版レンタル:400円、SD版レンタル:300円)

別離
iTunes Movie

 今週からは編集者二人のリレー連載に変更したので、作品のチョイスに悩みました。父をキーワードに探せばいいとはいえ、父がヒーローなのか殺人者なのか、生きてるのか死んでるのかなど、作品によって描き方はさまざまです。今回選んだ「別離」は、父親とその父親が中心となって話が進んでいきます。

 見終わってまず感じたのは、見る人によって悪役が変わるという点。映画はいきなり夫婦の離婚協議から始まります。イランから出国して海外で暮らしたい妻と、認知症の父親の介護を故郷で続けたい夫。これだけの情報であれば、自分勝手な妻だという印象を受けます。しかし、妻が海外に行きたいのは娘の教育のため。親をとるか、子をとるか。非常に厳しい選択を迫られます。

 このあと妻は出て行く(実家に帰る)わけですが、働きながらの介護となるため、夫はお手伝いさんを雇います。このお手伝いさんと夫の間でも究極の選択があります。最終的には、夫と妻、お手伝いさんとその夫の4人がそれぞれの主張を繰り返していくわけですが、見ていてすごく哀しくなりました。誰も悪くないかもしれないが、みんな悪いのかもしれません。まあ、お手伝いさんのダンナは結構困ったちゃん的なキャラなんですが。

 子と親、生まれてくる命と老いていく命。将来を考えると前者、過去を考えると後者を優先ということになります。少子高齢化の現在、映画の中だけの話ではありません。

 そのほか、この映画の中で印象に残っているのは、認知症の老人の介護をお願いされたお手伝いさんが、仕事の内容が宗教の戒律に触れるかどうかを電話で問い合わせるシーンです。ここには、実生活と宗教という究極の選択もありました。

 父の日を迎える映画としてはテーマが重すぎるのですが、深く深く考え込まされる作品でした。あと、撮影場所はイラン国内だと思うのですが、道行く人々の服装や建物のデザインが異なるだけで、車の交通量も多く、めっちゃ都会なんですね。四大文明の発祥地の1つでもあるので、中心部が栄えているのは当たり前かもですが(吉田)。

別離(字幕版)」をiTunesで見る
(HD版レンタル:500円、SD版レンタル:400円)

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