開発者から見たWWDC2013とOS X Mavericks、iOS7の注目点｜Mac

2013年06月11日 19時30分更新

エキサイティングな内容の基調講演

　WWDCには昨年まで、13年間毎年参加していたのだが、今年は諸事情により行けなかった。それが悔やまれるWWDCだった。ティム・クックCEOをホストにつつがなく始められたこの基調講演は、その淡々とした語り口に反して、非常にエキサイティングで盛りだくさんの発表内容った。その中から3つ、個人的に注目した発表を紹介したい。

順当にアップデートしたOS X Mavericks

　まずは次期OS Xについて。外観が大きく変わったiOS7と異なり、Mavericksの基本的なUIデザインはMountain Lionを踏襲している。見た目よりも中身が大きく変わったようだ。SpacesやMission Control がマルチディスプレー対応になり、それぞれがモニター間を個別に動作する点など、細かい改善が加えられ、ブラッシュアップされている。

　また、使用されているメモリー領域のうち、あまり使われていない部分を圧縮することで空きメモリーを確保するメモリー圧縮機能がついたり、App Napと呼ばれる省電力に対する改善が入ったりと、OSの根幹部分でさまざまな変更が加わっている。使い勝手は変わらず、足腰を大幅に強化、そしてかゆいところに手が届くアップデートであり、発売が楽しみなOSと言える。

フラットデザインの、どこか懐かしいiOS 7

　同じフラットデザインでも、Windows8の直線的なデザインに対し、丸みを残したiOS7のデザインからは柔らかく、優しげな印象を受ける。磨りガラスのような透明感を持つシンプルで未来的なデザインは、一時期のソニー製品にも似ており、ひと目見て「懐かしい未来」という言葉が浮かんだ。

　これまでの輪郭がハッキリしたデザインと異なり、タッチして反応する部分が判別しにくくなりそうな点がやや心配だが、タッチUIも登場から数年が経ち、利用者が慣れてきたことからこの改良に踏み切れたのだろう。

　UIが改善されただけではない。システム的にも大改造が加えられた。これまで、iOSアプリは画面に表示されているものだけが実行され、バックグラウンドのアプリはいくつかの例外を除き静止状態にあった。これはバッテリー寿命を保つためのやむを得ない措置であったが、iOS7でとうとうこの制限が緩和され、バックグラウンドでの動作が可能になった。ただし、「バッテリー寿命を保ったままで」と明言されているので、無制限にアプリが動くわけではなさそうだ。

開発者の心を刺激する発表の数々

　このほか、ローカルアプリと見紛うようなウェブ版iWorksや、いちいちアップデートボタンをタップする必要のないApp Storeのアプリのアップデート、iTunes Radio、端末の紛失時などに通常のパスワードではなくより強固なパスワードを入力しないと使えないようにするActivation Lockなど、気になる発表が多々あった。こちらも今秋のリリースに心が躍る。

　省電力や新しいUI、またiOSでの60fpsのアニメーションなど、今回紹介された機能の多くはアプリの連携が不可欠だ。セッションに参加する開発者たちは、これからの1週間、そうした新たな対応についてみっちり習得してくることだろう。

One more interest...

　今回の基調講演ではHaswell搭載の新型Macbook Airは発表されたものの、さほどの目新しさはなかった。むしろ驚きは、大きく姿を変えたMac Proだ。円筒型で、これまでのMac Proからは予想できないほど小さくなった黒い筐体はスタイリッシュで、思わず購入を考えてしまった。拡張スロットの存在や販売価格など気になる点はあるが、しかしiMac以外の選択肢としては、大いにアリだろう。ところで、色は黒だけなのだろうか?　カラーバリエーションはかなり期待されるところなのだが……。このあたりは開発者ではなく単なるApple好きの興味だが、そうした一般ユーザーに対しても訴求力のあるWWDCだったと言えよう。

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