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Apple基調講演12 驚くほどに駆け足だったiPhoneOS 4プレビュー|Mac

2013年05月26日 20時00分更新

■初代iPadリリースの1週間後に開催されたイベント

 このスペシャルイベントは、2010年4月8日に開催された。同年の1月に初代iPadが発表され、米国でWiFiモデルが発売されたのが4月3日。つまり、iPadが発売されてからわずか1週間後に開かれたことになる。日本を含む諸外国ではまだ発売されていないし、米国内でもまだWiFi+3Gモデルが出ていない時期。そんな中で開催されたこのイベントでは、iPhone OS(まだ「iOS」という呼称は用いられていない)の次期バージョン「iPhone OS 4」がプレビューされた。特に新機種の発表もなく、一般ユーザーにとってはやや面白みに欠けるイベントだったが、アップルとしては、iPadの好調を印象づけるべく開催したのかもしれない。

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■何がジョブズをそこまで急き立てたのか?

 この講演で印象的だったのは、とにかく「駆け足」だったということ。アップルの基調講演では、だいたい1.5〜2時間くらいをかけ、観衆を焦らしつつゆっくりと進行していくのが通例だ。ところがこの講演は、ほぼ1時間であっさりと終わってしまった。ちなみに、司会進行役はスティーブ・ジョブズ。発表するものがiPhone OSしかなかったので無闇に長引かせる必要はないと考えたのかもしれないが、それにしてもジョブズの進行はせっかちに思えた。

 なぜそれほど「巻き」の進行だったのかはわからないが、ジョブズの健康問題が理由ではなさそうだ。声にも力があり、動作にも特に衰えは感じなかった。実際、この講演の8割方はジョブズ自身がスピーカーを務めている。体力的な問題であれば、過去の例に従ってiPhone OS開発担当上級副社長のスコット・フォーストールあたりに任せればよかったはず。そういった意味では、やや不可解なプレゼン形式だったと言える。

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■モバイルプラットフォームのさらなる躍進を目指す

 さて、講演の中身に入ろう。まずは恒例の業績報告。初代iPadは、発売初日で30万台が売れ、その後の1週間で累計45万台を売ったという。米国内だけでのペースなのだから、世界で発売されたらとんでもない数値になるだろうことが予想された。続いて、累計60万本のiBooksコンテンツが、350万本のiPadアプリがダウンロードされたとことを述べ、iPhoneアプリ全体では40億本のアプリがダウンロードされたと報告。加えて、米国内のモバイルブラウザーのシェアはiOSデバイスのSafariが第1位であり、全体の65%と、2位以下を大きく引き離していると得意気に語った。

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■多数の新機能を搭載したiPhone OS 4

 続いてジョブズは、この講演の本題である次期iPhone OSの紹介に入った。新OSには100個の新機能が追加され、SDK(開発キット)には1500もの新しいAPIが採用されているという。その中から7つのキーポイント(Tentpole Features)を紹介しよう、とジョブズ。ここで開発担当者のフォーストールにバトンタッチするかと思いきや、ジョブズはそのままスピーチを続けた。7つのポイントの内訳は下記の通り。

(1)マルチタスクに対応
(2)フォルダー作成機能の追加
(3)「メール」アプリの機能を拡張
(4)iPhone向け「iBooks」アプリ
(5)企業向け機能(デバイス管理やSSL VPNなど)
(6)Game Center機能搭載
(7)モバイル広告プラットフォーム「iAd」

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 この間、フォーストールが登壇したのは1、5、6についての説明の時のみで、それ以外はずっとジョブズが話し続けた。あとは他社のゲスト・スピーカーが出たのみで、ティム・クックやフィル・シラーの出番はナシ。また、ミュージシャンを呼んでのライブ演奏もなく、あっさりと閉幕した。音楽関連のイベントではないのでライブがなくても当然といえば当然だが、全体的に、ジョブズらしいサービス精神があまり発揮されない講演だったのは確かだ。

 興味深いのは、このイベントのPodcastコンテンツ自体が、内容を象徴するかのようにブッツリと終わっている点。余韻も何もあったものではない。このビデオの編集者も作業が面白くなかったのだろうか……。

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