2013年05月16日15時30分

おたく30周年、発祥の地をご案内しましょう

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 週刊アスキー本誌では、角川アスキー総合研究所・遠藤諭による『神は雲の中にあられる』が好評連載中です。この連載の中で、とくに週アスPLUSの読者の皆様にご覧いただきたい記事を不定期に転載いたします。

おたく30周年、発祥の地をご案内しましょう

 1983年は、日本はオタク文化に突進していた。コミケは絶好調、ファミコンが出て、映画は『時をかける少女』、アニメはクリィミーマミだった。

おたく30周年、発祥の地をご案内しましょう

『東京おとなクラブ』という名前は、言うまでもなく、往年のレコード付き絵本『東京こどもクラブ』からの連想だ(写真は事務所に移って作った3号=特集ウルトラQ)。前田武彦やキャロライン洋子がやっていて、子供は全国にいるのに"東京"と突き放しているお洒落さが気になっていた。キャロライン洋子、HPで人工知能の研究をしているという話があったけどどうなった?

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おたく30周年、発祥の地をご案内しましょう

"おたく"ゆかりのビル。写真は、ずいぶん前にある用件で訪れたときのものだがいまもほとんど変わってない。四川一貫は、当時、東京おとなクラブの公式中国料理店という感じでたまっていたのですね。

 神田の四川一貫という中国料理店で宴会があって、そこから遠くないそのビルを訪ねてみることにした。いまから30年前、私は、『東京おとなクラブ』という雑誌を作っていて、本の町こと神田神保町のはずれにあるビルのワンルームの部屋を借りていた。いまで言えば、ちょっと凝ったサイトを作りましたとか、アプリを作りましたという感覚のような気もする。

 1982年7月に、東中野のアパートでひとりで始めたのだが、すぐに何人もの仲間が手伝ってくれるようになった。当時は、『宝島』や『ポパイ』の元気があったし、『本の雑誌』や『広告批評』なんかも頑張っていた時代である。源喜堂でまとめ買いした『WET』や『Whole Earth Catalog』(スティーブ・ジョブズのスタンフォードでの講演の“Stay hungry,stay foolish”はこれからの引用なのですよ)を見ると、米国でも好きなように雑誌を作っている。新宿の紀伊國屋書店や神保町の書泉ブックマートなど、全国の30くらいの書店が置いてくれた。そこで、もう少し真面目にやろうかなと思って、オフィスを借りたのだった。

 一応、事務所として借りたのだが、毎晩のように誰かが遊びに来て盛り上がる。昼間神保町で買い集めてきた本の話だったり、出はじめのビデオデッキでいろんな映像を見たり。コミックマーケットが、軽オフセット印刷というメディア革命がもたらしたものなら、ビデオデッキも私のまわりだとテレビCMの録画マニアがいたりして、いまのYouTubeの楽しみかたとさほど変わらない。発売間もないタカラ時代のバービーのコレクターがいたり、怪獣マニアがいたり。あまりに楽しいので、ほとんど本なんか作らない。結果的に、このオフィスで編集した『東京おとなクラブ』は3年間で3冊だけ(ほかに『丸尾末広ONLY YOU』など別冊も3冊あるのだが)。そこで、ここの家賃を稼ぎだすために商業誌や自販機本のページ編集なんかをやることになった。

 その頃、ここによくいた数人の間でだけ使われていたのが「おたく」という言葉だった。それを、“東京おとなクラブ Jr.”という連載をやらせてもらっていた『漫画ブリッコ』に、中森明夫が“おたくの研究”というのを書いたのだ。'80年代はじめは、「おたく」という言葉はそれほど特別な言葉だったわけではない(長谷川和彦監督の『太陽を盗んだ男』('79年)で、警部役の菅原文太に向かってDJの池上季実子が、いきなり「おたく……」と切り出すでしょう)。しかし、クラスターとしてのおたくというのは、この部屋から広がったんだよ。そのあと、私は、すっかりデジタルの世界にきてしまっていたわけなんだけど。

【筆者近況】
遠藤諭(えんどう さとし)
角川アスキー総合研究所ゼネラルマネジャー。元『月刊アスキー』編集長。元“東京おとなクラブ”主宰。コミケから出版社取締役まで経験。現在は、1万人調査“メディア&コンテンツサーベイ”のほか、デジタルやメディアに関するトレンド解説や執筆・講演などで活動。東京カレーニュース主宰。TOKYO MX TV 毎週月曜日18:00からのTOKYO MX NEWS内“よくわかるIT”でコメンテーターを務め、『週刊アスキー』で“神は雲の中にあられる”を巻末で連載中。
■関連サイト
・Twitter:@hortense667
・Facebook:遠藤諭

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