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“自分のサントラ、そして育った街のサントラ” ハナレグミ インタビュー

2013年05月23日 18時00分更新

 5月22日にニューアルバム『だれそかれそ』をリリースしたハナレグミの永積さんに、楽曲に関する想いを伺いました。また、インタビューとともに“鼻先がツンとして空を見上げたくなる5曲”や愛用ガジェットに関してもお話頂きました。ボリュームたっぷりの内容をお楽しみください。

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元々昔から知っている曲

――新作は初のカバー作品です。

永積 人の言葉だからこそ、辿り着ける場所、そして言えるメッセージがあるんです。自分のなかで言葉になっていない感覚が、カバーを歌うことで「あぁっ! こういうことだったのか」と理解ができたり。人の言葉を使って心の深い部分に行ける瞬間があるし、さまざまなものとの出会いがあるんですよ。

――では今作では12曲ぶんの出会いがあったのですか?

永積 そうですね。でもアルバムのために練習したというよりも、元々昔から知っている曲で構成をしました。アルバムに収録した曲は、小さいときに親が好きで聴いていたり、ひとり暮らしを始めてたまに歌っていた曲だとか……。今までの人生の断片断片で鳴っていた、自分のなかに残っている言葉やメロディーをもつ曲たちなんですよ。

――すごくパーソナルな関係の楽曲たちなんですね。

永積 自分のサントラみたいなものですね。だから「歌ってみたんだけど、ちょっと聴いてくれない?」って、友だちに渡すテープのような部分もあるかもしれませんね。そして同時に自分の育った街のサントラとも言えるなと思うんです。ただそれは今の街というよりかは、いろんな時々の自分の知っている街。小さいとき、学生、社会人。ずっとその街は存在していて、そのつど見せてくれた景色に、音をひとつひとつ付けていく感じが僕にはあったんですよ。

グッとぶつかり合うように

――アルバム名は『だれそかれそ』。とても印象的ですね。

永積 新作が街のサントラだと思えたときに、自分がいちばん好きな街の瞬間を考えたら"たそかれ(誰そ彼※)どき"だったんです。西日が強くなって、影が伸び、遠くの誰かを待っているような時間。それこそ胸がツンとする瞬間があふれている言葉だと思って、つけました。

――名曲の力とともに"憂い"も作品の奥から感じたのですが。

永積 原曲にはつくった人の気がこもっているので、サラリと歌うのもいいけれど、今回はそれとグッとぶつかり合うようにやりたかったんです。だからこそ"憂い"の部分が出てきたのだと思います。僕自身も"憂い"が好きだし、心の通う歌や、何かを思い出させる歌が歌いたいと思っているんですよ。それに今はちょっと心に引っかかる歌が歌いたかった。カバーは、元々僕も聴いている側なので、その距離感からイマジネーションが広がります。なので、新作は、今までとは違った深み、濃厚さをもっているので、どのように届くのか楽しみですね。

※誰そ彼:たそかれ、黄昏の語源。薄暗い夕方に「あれは誰?」という意味で「誰そ彼」と言ったことから夕暮れどきを表わす言葉となった。

今回インタビューの際に、プレイリストも制作して頂きました。永積さんの鼻先がツンとなってしまう楽曲とは!?

【お題】
鼻先がツンとして空を見上げたくなる5曲
選曲:永積崇

「まるで街ゆく人々が映画のなかのワンシーンのように見えてキュン2とくる」と崇は言ったのであった……ちょっとセリフふうに言ってみました。

【1曲目】
Julie London
『Days of Wine and Roses』
(アルバム『Our Fair Lady』収録)

ゴージャスで華やかな音のなかで、酒とたばこで焼けたような声で歌う彼女が寂しげでツンときます。

Our Fair Lady - ジュリー・ロンドン

【2曲目】
Stevie Wonder
『That's What Friends Are For』
(アルバム『Number Ones』収録)

This is America!という感じで空に向かって歌う感じがイイ。曇り空が晴れいくような感じ。ツン!

Number Ones - Stevie Wonder

【3曲目】
どんと
『夢の中』
(アルバム『一頭象 どんとスーパーベスト』収録)

自分の夢がなかなか叶わない現実を歌いながら、声には希望が溢れていて、鼻も胸もツンときます。

【4曲目】
Nick Drake
『Pink Moon』
(アルバム『Pink Moon』収録)iTunes

緊張感をほぐしてくれる。そのままでいいんだぜって。そんなNickの兄貴的な優しさにツン&キュン!

Pink Moon - Nick Drake

【5曲目】
The Rolling Stones
『Tumbling Dice』
(アルバム『Exile on Main St.』収録)

くよくよせずに思ったように生きればいいんだよ! とことん遊べ! と奮い立たせてくれます。

Exile On Main St - ザ・ローリング・ストーンズ

■愛用の機材についてもお話を伺いました。永積さんがふだん使用しているガジェットとは?

『iPad Retinaディスプレーモデル 16GB』

ネットサーフィンに憧れて。でもサーフするほど知りたいことがないと最近気づきました。ギターサイトをずっと観ています。

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【ニューアルバム】
ハナレグミ
『だれそかれそ』

心と思い出が詰まったカバー集

自身のルーツとも言える思い出の楽曲を歌ったカバーアルバム。12曲ぶんの出会い、そして景色がていねいに歌われている。
●3045円 ●5月22日発売 ●ビクターエンタテインメント

だれそかれそ - ハナレグミ

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【プロフィール】
永積崇によるソロユニット。現在までに5枚のオリジナルアルバムを発表している。9月より全国ツアー"ハナレグミツアー だれそかれそ"を開催。

●関連サイト ハナレグミ公式HP http://www.laughin.co.jp/hanare/

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