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iTunes Storeで週末に観たい映画「5月の新作・注目作品」編|Mac

2013年05月04日 20時00分更新

 今週のテーマは「新作」。GWに合わせてさまざまな話題作がiTunes Storeでも見られるようになっています。連休中は外出もいいですが、自宅でじっくりと映画鑑賞もお勧めですよ。

容疑者Xの献身
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  東野圭吾原作のドラマ「ガリレオ」が放映中ですが、ガリレオシリーズ中の一作の映画化です。私はガリレオシリーズのドラマがヒットした頃には観ておらず、先に小説を読みました。この映画には、ドラマだけのオリジナルキャラやシーンは登場せず小説に忠実になっています。福山雅治のガリレオ先生は原作のイメージからすると少々かっこよすぎますが、やりすぎ感はないので好きですね。現在放映中のシリーズは、オリジナルキャラの岸谷美砂を演じる吉高由里子もすごくいいです。

 原作の「容疑者Xの献身」は推理小説ということもあって情景の描写が詳細なので、文章で読んだのか映像を見たのか記憶が曖昧になるほど。映画は、脳内でイメージしていた映像と映画の映像があまりにぴったりだったので、デジャブのようなおもしろい感覚で観ることができました。

 推理モノですが、探偵が犯人を追い詰める過程がテーマというわけではありません。主人公は犯人側であり、視聴者には犯人が最初からわかります。犯人とその手口がわかっていながら、ガリレオ先生がその謎を解明する過程を描くというのは、ものすごくよくできた仕掛けだと思います。もちろん、それだけではありません。終盤に明かされる真実もあったりします。東野圭吾さんって本当、頭がいい人なのでしょうね。文章でも映像でも、その仕事の「技術」を感じさせる作品って好きです。

 明るいテーマではないので、ドラマよりも陰りのある雰囲気がよくはまっていました。数学教師・石神を演じる堤真一や松雪泰子の影のある演技もとても好きですね。ガリレオシリーズが好きな人はもちろんですが、同シリーズを一作も観たり読んだりしたことがない人にもお勧めです(山口)。

容疑者Xの献身」をiTunes Storeで見る
(HD版レンタル:400円、SD版レンタル:300円)

ルビー・スパークス
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 単館系の映画は、作品によってはちょっと小難しいテーマが含まれていて、見終わったあとに「よかったけど……、うーん?」なんてことも少なくありません。

 でもこの作品は、まったくそんなことはありません。それもそのはず、’07年のアカデミー賞4部門にノミネートされて話題を呼んだ「リトル・ミス・サンシャイン」のジョナサン・デイトン&ヴァレリー・ファリス夫婦が同じく監督をつとめているのです。  現実世界では恋にオクテな作家、カルヴィンはせめて小説の中だけはと、理想の女の子「ルビー・スパークス」を主人公にした小説を書き始めます。そんな彼の前に本物のルビーが恋人として現れます。書いたとおりに行動するルビーを自分好みの恋人に仕立て上げ、さらには彼女の行動までも思いどおりに操るカルヴィン。最初は幸せだった2人ですが、やっぱり現実はそんなにうまく行かず……。というストーリーです。

 ジャケットや予告編からもわかるように、とにかくルビーがかわいくてたまりません。コロコロと変わる表情や彼を全身で大好きだと表現する仕草、まるでファッション誌を見ているような服装まで、彼女にメロメロになること間違いなしです。  さらに、本作の脚本はルビーを演じるゾーイ・カザンが担当しているというから驚き。天は二物を与えるものですね!

 また、カルヴィン役のポール・ダノとは実生活でも恋人同士だそう。いろいろな意味で、絶対に見逃せない作品です!(藤村

ルビー・スパークス Ruby Sparks(字幕版)」をiTunes Storeで見る
(HD版レンタル:500円、SD版レンタル:400円)

リトル・ミス・サンシャイン(字幕版)」をiTunes Storeで見る
(HD版レンタル:400円、SD版レンタル:300円) 

アルゴ
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 見応えのあるドラマ、とはまさに本作のような作品のこと。うむ、地味ながら2時間きっちり楽しませてくれる良作でした。ちなみに、iTunes Storeではこの映画、「アクション/アドベンチャー」のカテゴリーに入っていますが、この分類を担当した人の正気を疑います。アクションではまったくないし、アドベンチャーとは言えないこともないですが、子供が見てワクワクするような冒険活劇とは全然違います。正しくは、シリアスでサスペンスフルなドラマです。そこはお間違いなきよう。

 ところで少し前に、中国での日本に対するバッシングがすごかったじゃないですか。中国にいる邦人がえらい目に遭ってる光景もニュースとして流れてきましたが、なんかこう、メディアを通して見ると現実感が薄れるというか、どこか他人事に見えてしまうことないですか? 僕はあります。んでこの作品は、そういう国家的な一触即発の事態を、第三者目線ではなく当事者目線で描いたものです。ただし日中間ではなく、米国・イラン間のお話。

 ストーリーは、1979年の「イラン革命」の際に、実際に起きた事件に基づいています。革命直前まで、イランはパフレヴィー朝という王朝が政権を握っていました。この政権のバックには米国がいて、同国の脱イスラム化、世俗化を画策していたんですが、強権的な支配体制が民衆の猛反発を受けます。そしてついに、ホメイニ師を指導者とする革命が起こってしまうわけですね。当然ながら、革命の支持者たちは反米化するわけです。アメリカ人許すまじ、と。

 大局的に見ればまあ、米国の自業自得ではあるわけですが、現実には米国に対する憎悪の具体的な矛先となってしまう人々がいるわけです。つまり、イランにある米国大使館の職員たちですね。過激化した民衆が大使館になだれ込み、職員を一人残らず捕まえようとするわけです。これはハンパなく怖いです。捕まったらどうなるか、命があるかさえわからない。狼の群れに囲まれたウサギみたいなもんです。そのうち、機転を利かせた6人が包囲網をかいくぐり、カナダ大使の私邸に逃げ込みます。カナダはイランの直接の攻撃対象ではないですが、米国寄りであることは否めず、6人を匿うのも限界に来てしまいます。

 その6人を、「架空の映画製作プロジェクト」という奇想天外な手段によって救い出そうというお話です。主演は、そのプロジェクトの発案者であり、人質救出作戦のスペシャリストであるCIAのエージェントです。このCIA職員を演じるベン・アフレックがいい。情熱的かつ抑制的なキャラを、見事に演じています。

 全編を通して、ジリジリと身を焼かれるような緊迫感が続いていきます。ダレることなくこのテンションをキープし続ける監督の手腕は、お見事というほかありません。だからこそ、最後に得られる感動も大きいわけです。よくできた脚本、優れた演出と編集、そして役者達の見事な演技。非常に満足感の高い1本です。長くなりましたが、それだけ色々と言いたくなる作品ということです。今年見た作品の中では、いまのところブッチギリでトップです!(諸富大輔)。

アルゴ(字幕版)」をiTunes Storeで見る
(HD版レンタル:500円、SD版レンタル400円)

ミケランジェロの暗号
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 新作ということで観たい映画はたくさんありましたが、目に飛び込んできたのがこの作品。タイトルからして「ダ・ヴィンチ・コード」みたいな謎解き要素があるのかなぁと期待しましたが、その予想は見事に外れました。

 この作品の主人公は、画商の息子であるヴィクトルとその使用人の息子であるルディです。この二人は幼いころから兄弟のように育てられた親友でしたが、画商の一族が密かに所有しているミケランジェロの絵の存在によって悲劇が生まれてしまいます。

 国家間の取引材料に使われるほどの絵を巡って親友だった二人が敵同士になるわけですが、飛行機の墜落事故によって攻守交代。それぞれが相手にすり替わって有利、もしくは不利な立場に追いやられます。結果的に友好国の独裁政権が崩壊して、二人とも生き延びることになります。ここでも攻守交代は発生しますが……。

 途中で結末はわかってしまったのですが、ヴィクトルが画廊を去ろうとしたときにルディが苦笑いするシーンが印象的でした。信頼している人間に裏切られると憎悪が倍増しがちですが、最後のルディの笑いはあきらめの感情とも取れるし、元親友の勝利を称えるようにも見えました。

 ちなみに、この作品はドイツ映画なのですが、男性も女性もみんな顔がいかつかったです(吉田)。

ミケランジェロの暗号(字幕版)」をiTunes Storeで見る
(HD版レンタル:300円、SD版レンタル200円)

ホビット 思いがけない冒険
iTM11

 「ロード・オブ・ザ・リング(指輪物語)」の前日譚。最近は前日譚の作品が多くて、軽く設定が崩壊していることもある。「プロメテウス」なんてテクノロジーが発達しすぎて、「エイリアン」の時代につなげるのは無理っぽい。そんなシリーズゼロ作も多い中、この作品は大人気ファンタジー小説を忠実に再現しているので、「ホビット」を観てから「ロード・オブ・ザ・リング」を観ても、その逆でも安心。

 指輪物語はファンタジーの元祖的作品なので、映画自体もPRGっぽい展開でゲームファンにも楽めると思う。仲間を集めてドラゴン退治と、要素だけ書くと単純な話なのだが、ゴブリンやオークといった種族や魔法などの世界観をしっかり描いているので、「ドラゴンクエスト」が実写になるとこんな感じなのかぁ、くらい気楽に観るのがオススメ。

 全3作の1作目となる「思いがけない冒険」は、ドラゴンに奪われた財宝を奪還するために、ホビットと魔法使いが冒険に出る序盤まで。年末には「スマウグの荒らし場」が公開予定なので、未見の人は今のうちに観ておくと、今後2年ほど楽しみが増えると思う。IMAX 3D作品なので、ファンタジーの世界観を楽しむならば、視界一杯に広がるIMAX版だと没入感が段違いだ。繰り返し見られるレンタルで予習して続編に臨みましょう。(三宅)

ホビット 思いがけない冒険(字幕版)」をiTunes Storeで見る
(HD版レンタル:500円、SD版レンタル400円)

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