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エバーノートCEOが惚れ込んだヤマハ「ディスクラビア」工場見学

2013年05月03日 14時30分更新

 世界が注目する起業家、エバーノートCEOフィル・リービン氏が大の親日家ということをご存知でしょうか。社内の公式ドリンクには伊藤園の「お~いお茶」、自家用車はトヨタのレクサス、腕時計はグランドセイコー限定モデル、ウイスキーは山崎のシングルモルトが最高! と言うのですから、筋金入りの日本通なのは間違いありません。

 そして「日本のイイモノが大好き」というリービン氏が今夢中になっているのが、ヤマハのハイテク自動演奏ピアノ『ディスクラビア』です。きっかけは昨年の夏。インターネットと連動し、iPhoneからもコントロールできる画期的なピアノが日本にあると知った音楽好きのリービン氏、ヤマハをはじめありとあらゆるコネを活用してディスクラビア新モデルのアメリカ向け第一号機を自宅に導入することになったそうです。「エバーノートへ投資してくれた人やボードメンバーに見せたら、自分も欲しいって言い出す人が多くて、ボードメンバーのうち2人が自宅用に買ったんだ」とうれしそうに語るリービン氏。

 そんなディスクラビアへの思いが高じたのか、来日して「新経済サミット」や「Evernote Devcup 2013 Kick off」(外部サイト)など超多忙スケジュールの中、なんとこのディスクラビア生誕の地であり、ヤマハのピアノ生産の本拠地である静岡の掛川工場へリービンCEO自ら向かったのでした。

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↑Evernote Devcup 2013キックオフミーティングで講演中のフィル・リービンEvernote最高経営責任者(CEO)。

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↑「KAKEGAWAまで来ちゃったよ...(心の声)。」

●リービン氏の父親は音楽家

 普段はなかなかお目にかかることができないピアノの製造現場は、工業技術の粋を集めた生産ラインと木製部品の研磨や調律といった職人の技術が同居する不思議な空間です。各工程を興味深そうに眺めつつ「アップライトとグランドピアノの製造比率は?」など経営者視点の鋭い質問を投げるリービン氏、と思いきや「僕の父親が音楽家でね、アメリカに移住してからは調律師もやってたんだよね。あ、僕はピアノ弾けないけど(笑)」など解説のお姉さんとにこやかに談笑する一幕も。

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↑真剣な眼差しでピアノの組み立て工程を見学するリービン氏。エンジニア出身の血が騒ぎます。

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↑興味深いところはiPhoneで撮影、もちろんエバーノートに写真をポストしてます。

●エルトン・ジョンのライブ演奏を自宅で再現

 工場見学後、改めてディスクラビアのデモンストレーションを受けるリービン氏。一般的な自動演奏ピアノはあらかじめ用意された演奏データを用いてピアノの弦を鳴らすのですが、このディスクラビアのすごいところは鍵盤の繊細なタッチやペダルの挙動などもすべて記録するのに加え、インターネット経由でディスクラビアのコントロールユニットを搭載したピアノでそのまま演奏を再現できるのです。

さらに、これを応用した「RemoteLive(リモートライブ)」というライブ配信技術では、遠隔地での演奏を中継できます。つまり、エルトン・ジョンやサラ・マクラクランといった超一流ピアニストのライブ演奏もそのまま自宅のピアノで再現できるわけです。実際に聴いてみないとこの感動は伝わりにくいのですが、これはリービン氏が惚れるのも無理ないわ……。

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↑浜松と掛川をインターネット回線でつないで双方向に演奏をやり取りする「リモートレッスン」のデモ。映像はSkypeでつながっていて、ピアノのハンマーが動くまでの動作は280ミリ秒以下と低遅延。

●音楽×ITで日本を元気にしよう!

 最後にヤマハ側の技術者やY2プロジェクトの責任者と意見交換が行われました。「スカイプも使うんだったら、ピアノ教室の遠隔レッスンだけじゃなくて、沖縄の三味線(三線)とかスイスのフルート奏者が教えてくれるようになったらいいよね!」とディスクラビアをプラットフォームとした新ビジネスのアイデアを熱く語るリービン氏。ディスクラビアが予定している新サービスや次世代モデルのプランについて説明を受けると「すごい! 僕がベータテスターになるよ」と会話も大盛り上がり。日本の楽器製造のトップブランドとして120年以上の歴史を持つヤマハと、100年以上続く日本企業を敬愛して止まないと公言するシリコンバレーの雄エバーノート。両者がコラボしたら、もっと日本からユニークな楽器や音楽が生まれていくのではないか、そう感じさせる会談となりましたよ。

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↑「ディスクラビアには大きな可能性がある。そしてエバーノートを音楽教育に役立てたいと思っててね、すごいアイデアがあるんだよ」(手元にはやっぱり「お~いお茶」)。

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↑「音楽を生み出す敷居を下げる」Y2プロジェクト(現在は研究開発センター内)の田邑元一マネージャ(左)とヤマハピアノ事業部の上原春喜技術開発課課長(右)。「ワイヤレスの端末でもオンデマンドコンテンツを楽しめるディスクラビアの新サービスをアメリカで間もなく開始できると思います」。

●公式サイト
ヤマハ ディスクラビアE3
ヤマハY2 PROJECT
エバーノート

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