2013年04月01日16時30分

想いをつなぐ編集力

新作コンテンツの成功のカギは「ストーリー」にあり!

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 今日から新年度ですね。新社会人のみなさん、おめでとうございます。この連載では、人が人にものを伝えるための方法論をまとめています。ぜひ仕事や日常生活に役立てていただけたら幸いです。

 さて前回は、ドラクエやサザエさんという定番タイトルがなぜ強いのかという話をしました。その答えは、コンテクスト(キャラクターとシチュエーション)がみんなに浸透しているからではないかという結論になりました。

 今回は、そういう強いコンテンツがたくさんある中で、新しいヒット作はどうやって生み出すことができるのかを考えていきたいと思います。


■新作でカギをにぎる第3の要素

 物語を構成する要素として、キャラクターとシチュエーション以外に、じつはもうひとつ大事なものがあります。それは「ストーリー」です。新作が定番タイトルに対抗するためには、じつはこのストーリーが重要なカギをにぎります。

 ストーリーというのは、物語の「筋」にあたるものです。一般的に、物語というのは、ストーリーとキャラクターとシチュエーションの三つから構成されています。

新作をヒットさせる第3の要素――「ストーリー」で定番作品に勝つ

 三つの要素の関係性を、桃太郎を例に説明してみましょう。

シチュエーション 昔々、おじいさんとおばあさんが…

ストーリー 桃太郎が鬼退治に行く

キャラクター 桃太郎は勇ましい、鬼は悪いやつ、おじいさんとおばあさんはやさしい

 だいたいこんなお話ですよね。桃太郎は三つの比重がわりと均等なのですが、物語によってこの比重が異なってきます。基本的に、定番ものはキャラクターの比重が高く、構成比率が

キャラクター>シチュエーション>ストーリー ――(1)

 の順になることが多いのです。『サザエさん』はまさにそうですし、『男はつらいよ』とか『渡る世間は鬼ばかり』もそうですよね。

 でも、新作が同じ事をするのは、たいへんです。まだキャラクターやシチュエーションがみんなに浸透していないからです。だから新作でヒット作を出すには、ストーリーを強くして、

ストーリー>シチュエーション>キャラクター ――(2)

 とするのが有力です。ストーリーというのは、大きな流れのようなものなので、うまくできると、わかりやすくて共有しやすいものになるからです。『もしドラ』はまさにこのタイプの作品です。『もしドラ』は登場人物の描写が少ないという批判を受けたりもしましたが、あの作品はストーリー(とシチュエーション)を非常に重視した作品だから、それでいいのです。

 またもうひとつのタイプとして、

シチュエーション>ストーリー>キャラクター ――(3)

 というパターンもあります。『AKIRA』は、まさにこれですよね。

 どうやら、新作が勝負するには、まずは(2)か(3)ではじめて読者を引きこむのがよさそうです。『ハリーポッター』は、最初のころは(3)でした。まずはシチュエーションやストーリーの圧倒的なおもしろさで読者を広げていって、次に(2)になってストーリーが気になって、最終的には(1)のキャラクターの比重が一番になったと思います。人によって見方は多少違うかもしれませんが、新しい定番作品はだいたいこうやって生まれます。

 おもしろいドキドキストーリーをずっと続けるのは無理なので、長い作品はたいてい(1)のキャラ萌えに落ち着くのです。


■おもしろいストーリーはどうやって考えるのか?

 ここでひとつ問題があります。「おもしろいストーリーをずっと続けるのは無理」と書きました。そう。おもしろいストーリーはとても強力なのですが、「考えるのが大変」という最大の弱点があります。これは、世界中の作家が一生をかけて取り組んでいる大問題なので、簡単な回答がでるはずもないのですが、どこかにヒントくらいないものでしょうか。

 まず有力なのは、神話や古典を読むことです。神話というのは、世界中に似たような話があるのですが、これは、人間が好きな話には一定のパターンがあるということを示しています。だから神話や古典作品のストーリーを読むのは、新しいストーリーをつくるときの参考になるのです。世界最大のベストセラーであり、もっとも普及した物語である『聖書』から生まれた物語は数しれません。

 また、古典までいかずとも、ちょっと前の名作のストーリーを参考にするのもよくあるやりかたです。『もしドラ』は『がんばれベアーズ』を参考にしたことを作者の岩崎さん自身が語っていますし、ぼくが好きなマンガの『ボーイズ・オン・ザ・ラン』は、名作『宮本から君へ』に大きな影響を受けています。

※ ※ ※

 そろそろまとめです。定番作品が強いのは、キャラクターやシチュエーションといったコンテクストが共有されているからでした。でも、新作もストーリーを強くすることで対抗できます。ストーリーは古典や過去の名作から学ぶのがおすすめです。結局、ここまで考えて「本を読みましょう」という普通の結論に落ち着きました(笑)

 ではでは、今週はこのへんで。次回はなにを考えましょうかね。

【筆者近況】
加藤 貞顕(かとう・さだあき)
株式会社ピースオブケイクCEO。今日からピースオブケイクの仲間が2人増えます。なかなか大所帯になってきましたよ。

■関連サイト
cakes(ケイクス) クリエイターと読者をつなぐサイト
cakes公式ツイッター:@cakes_PR
株式会社ピースオブケイク公式Facebookページ

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