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【私のハマった3冊】ぬくぬくとした春の休日に猫と一緒にベッドで読みたい

2013年03月29日 13時30分更新

私のハマった3冊

猫のいる日々
著 大佛次郎
徳間文庫
580円

カモメに飛ぶことを教えた猫
著 ルイス・セプルベダ
白水Uブックス
840円

猫だましい
著 河合隼雄
新潮文庫
515円

“春眠暁を覚えず”な季節です。せっかくポカポカと優しい日差しの中で目覚めたというのに、幸せそうに熟睡しているかたわらの愛猫を見ると、つい一緒にぬくぬくしてしまいたい衝動に駆られる……。そんなことってありませんか? そんな思いから、今回は、休日のお寝坊やお昼寝におあつらえ向きの“猫本”をテーマに選んでみました。

猫と一緒にベッドで読書するならこんな一冊はいかがでしょう? 『鞍馬天狗』でおなじみの大佛次郎が書いた、猫にまつわる童話や小説、随筆を一挙にあつめた『猫のいる日々』。世代を問わず、猫好きさんなら誰でも、くすりと笑みを浮かべて頷いてしまうはずです。旅先にて、芸者相手にさんざん子供自慢を聞かせた挙句、「猫なんだよ。うちの子は」なんて言い放ち、拾った猫から保護した猫、夫婦そろって猫好きで、一緒に暮らした延数はなんと五百匹を越える。そんな著者の日々の雑々を、ユーモアを交えながら綴った本書は、きっと心地良い眠りを誘うでしょう。

夢かうつつか、南米作家が贈るこんなファンタジーが夢で見られたら幸せです。『カモメに飛ぶことを教えた猫』は、その名のとおり、瀕死のカモメから卵を託され、雛鳥のお母さんになってしまった雄猫ゾルバのお話です。地域の仲間たちと悪戦苦闘しながらも、一羽のカモメを育て上げるクライマックスは、児童文学の枠を飛び越え、“異なるものどうしの愛”を教え、あたたかな気持ちを届けてくれます。

お薦めしたい猫本は数多くあれども、ここで挙げるのは三冊とのことなので、最後の一冊はちょっとズルして、“猫本の紹介本”をご紹介します。日本におけるユング派心理学の第一人者であり、こころの専門家、そして大の猫好きの河合隼雄先生が、古今東西の物語の中でも、特にお気に入りの主人公猫たちをご考察されています。本書で紹介される猫本とともに「猫と本とお昼寝に幸あれ!」

奥村知花
本しゃべりすと。書籍PRに携わり、書評エッセイや『本の今がわかる紀伊國屋書店』の特集記事も執筆。

※本記事は週刊アスキー4月30日号(3月25日発売)の記事を転載したものです。

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