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実効速度1Gbps達成! ドコモ、LTE-Advancedテストを公開

2013年03月25日 10時00分更新

 ドコモは3月22日、神奈川県横須賀にあるドコモR&Dセンターで研究開発に関する記者説明会を実施。太陽電池を利用した「次世代グリーン基地局」や下り1Gbpsの高速通信を実現する「LTE-Advanced」など、現在取り組んでいる新技術プロジェクトを公開した。

下り1Gbpsを実現する「LTE-Advanced」

 高速化、大容量データ通信に対応するための「LTEーAdvanced」は、下り最大1Gbpsを実現する次世代のLTE通信規格。ドコモは来年2015年には開発完了予定で、2020年頃にはモバイル通信の主流となるように取り組んでいる。

LTE-Advancedとは?

 LTE-Advancedは、従来のLTE(Xi)通信と互換性があり、LTEエリアとの切り替えがスムーズに行える。

LTE-Advancedの導入イメージ

 都市部など通信が混雑するエリアでは、送信電量が小さいスモールセル基地局を設置。通信速度の低下を抑えるために「高度化C-RAN」技術を導入していく。

高速C-RAN
従来のC-RANとの違い

 これまでは幅広いエリアをカバーする基地局とスモールセルはほぼ同等の基地局として扱われていたが、「高度化C-RAN」では
スモールセルを混雑時の一時回避の基地局として機能。例えて言うなら追い越し車線を作って、通信速度の低下を解消するのだという。

マクロセルのみのCAとの違い



 LTE-Advancedの高速化技術として「MU-MIMO(下りリンクマルチユーザーMIMO)」技術も見逃せない。MIMOとは「Multiple Input Multiple Output」の略で、複数のアンテナを利用して受信を行う無線通信技術のこと。

MU-MIMO技術

 従来のMIMOは、一度に複数アンテナからデータを送信、複数台ある端末側は受信後、自分が受け取るデータを合成する方式だった。送信アンテナ2本に対して受信端末は1台というイーメージだ。
 しかし、「MU-MIMO」は送信アンテナを2本×2=4本にして、一度に2台の端末に送信できる。複数アンテナから複数台の端末に個別に送信、干渉を抑えることでそれぞれが受け取るデータだけをより高速に受信できるということだ。

 同センターでは実際にMU-MIMOを使ったLTE-Advancedの通信テストを実施中しており、当日も1Gbpsの下り通信速度を出していた。

MU-MIMO実験のしくみ
LTE-Advanced 基地局アンテナは4本
MU-MIMO実験 基地局アンテナは4本
受信側はアンテナ2本
MU-MIMOテスト受信側移動局のアンテナは2本
下り速度は平均1Gbps!
下り速度は平均1Gbps

 通信速度を測定しているグラフ画面には、2台の受信端末それぞれの下り通信速度を青い線で表示してある。それぞれ500Mbps前後だ。2台の合計速度を赤い線で表示してあり、合計の下り速度は平均1Gbpsを実現。

移動中継車

 固定基地局と移動基地局にそれぞれアンテナを2本づつ設置したMU-MIMO通信の屋外実験も実施中で、アンテナを搭載する測定車の内部も公開。基地局からの下りデータ通信速度は平均600Mbpsを記録していた。

移動中継車の内部に潜入!
移動中継車の内部
平均で600Mbps超えてるよ
画面左のグラフで下り平均600Mbps
↑ディスプレー画面左上側が受信速度のグラフ。コンスタントに600Mbps前後の速度が出ている。

グリーン基地局のフィールドテストを実施

 同研究所では、ソーラーパネルとリチウムイオン充電池を利用したグリーン基地局の運用テストも行っている。今年4月からは神奈川、東京、山梨の3カ所でのフィールド運用テストを開始する予定だ。

グリーン基地局

 ソーラーパネルによる基地局運用はコスト削減につながるほか、災害時など電力供給が難しくなった場合でも単独運転が可能となる。

リチウムイオン蓄電池を使用している

 基地局で利用する蓄電池はノートPCなどに使われているリチウムイオン電池を使用している。

基地局の電力を遠隔操作

遠隔操作で電力をコントロール。天候によって商用電力や蓄電池を利用するように切り替えられる。

燃料電池システム01
燃料電池システム02

 センター内に設置されている燃料電池施設。メタノール水型燃料電池。ノキアシーメンス社製のものを使用している。
リチウムイオン電池と比べて、バックアップできる時間(稼働時間)とコストが優れている。

●関連サイト
NTTドコモ
NTT DOCOMO R&D

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