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カールツァイスのHMDなどCeBIT会場で見つけたもの――周辺機器編

2013年03月07日 12時30分更新

 ドイツのハノーバーで現地時間3月5日から行なわれています今年のCeBITは、開催に合わせてPC関連製品の大きな発表が行なわれておらず、PC関連製品の展示はやや低調といった印象でした。ただ、そういった中でも、PCやスマホ関連の周辺機器でキラリと光る製品もいくつか存在しています。そこでここでは、CeBIT会場で見かけた、注目の周辺機器をいくつか紹介します。

●カールツァイス 『Cinemizer OLED』

 『Cinemizer OLED』は、カメラやレンズなどでおなじみのドイツの光学機器メーカー、カールツァイスが発売するヘッドマウントディスプレーです。ホワイトを基調とした、洗練されたデザインが非常に印象的。本体は、HMDとしてはまずまずコンパクトで、ちょっと大きめのサングラス、といった感じでしょうか。重量も約120gと、それほど重くはありません。完全に視界を遮るタイプのHMDですので、室内での利用が基本となります。

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↑カールツァイスのHMD『Cinemizer OLED』。スタイリッシュでコンパクトなデザインが特徴です。
 

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↑かけている様子。ホワイトが基調で洗練されたデザインなので、かけていてもあまり違和感が感じられません。
 

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↑側面に輝く“ZEISS”の文字。これだけでも物欲がかき立てられる人がいそうです。

 内部のディスプレーには、小型の有機ELパネルを利用しています。表示解像度は870×500ドットでアスペクト比は16:9。左右の目それぞれに1枚ずつ、計2枚の有機ELパネルを内蔵しています。そして、2m先に40インチのディスプレーがあるかのような臨場感で映像が楽しめるようになっています。左右それぞれに独立したディスプレーが搭載されているので、3D映像にも対応しています。また、グラス部分にはステレオイヤホンも内蔵していますので、別途ヘッドホンなどを用意する必要はありません。

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↑内部には、左右の目それぞれに対応する2枚の有機ELパネルを内蔵。表示解像度は870×500ドットです。
 

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↑左右それぞれに、ピントを調節するダイヤルが装備されています。自分の視力に合わせて、くっきりとした映像が楽しめます。
 

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↑グラス部分にはステレオイヤホンを内蔵。別途ヘッドホンは不要です。

 映像入力は、付属のバッテリーボックスにあるHDMI端子を利用します。対応する入力信号は、720p、1080p、およびフルHDの3D信号にも対応します。また、NVIDIA 3D VisionおよびNVIDIA 3DTV Playにも対応しているので、ゲームも3D映像で楽しめるようになっています。バッテリーボックスにiPhone用アダプターを取り付ければ、iPhoneの映像を表示することも可能です。ちなみに、バッテリー持続時間は、iPhone接続時で約6時間、HDMI入力利用時で約2.5時間となっています。

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↑バッテリーボックスにはHDMI入力が用意されていて、フルHD映像や3D映像を入力できます。また入力アダプターを交換し、iPhoneを接続してiPhoneの映像を入力することも可能です。

 さらに、Cinemizer OLEDには、頭の動きを検知するセンサーを内蔵。対応ソフトを利用することで、頭を動かせば、その動きに応じて見えている映像も動くようになっており、よりインタラクティブな用途にも活用できるようになっています。

 さて、実際に筆者も試してみましたが、映像の品質はやや物足りないという印象でした。有機ELパネルの表示解像度がやや低いということもあるかもしれませんが、ソニーの『MHZ-T2』のような鮮烈な印象は感じられませんでした。それでも、液晶を利用するHMDと比べると、映像は明るいですし、発色も鮮やかなので、映画などもまずまず満足できる品質で楽しめそうです。また、3D Visionに対応していたり、インタラクティブ用途にも応用できますので、単なるHMD以上に活用できることは間違いないでしょう。

 Cinemizer OLEDは、ヨーロッパではすでに発売されていて、販売価格は650ユーロ(約8万2000円前後)となっています。日本での発売は未定のようですが、デザイン性に優れていて、しかもあのカールツァイスの製品ということもあって、日本でも人気製品となる予感がします。


●Thermaltake 『Level 10 M Gaming Headset』

 Thermaltakeは、CeBIT開幕に合わせて、新型のゲーミングヘッドセット『Level 10 M Gaming Headset』を発表しました。名前からピンと来る人もいると思いますが、BMW Group DesignworksUSAによるデザインの、Level 10シリーズに属するヘッドセットです。もちろん、直線と曲線をうまい具合に取り入れた、Level 10シリーズのケースやマウスと同じコンセプトのデザインとなっています。ハウジング部分が四角形に近い、独特な形状が目をひきますが、このあたりは、ケースやマウスなどのLevel 10シリーズのデザインコンセプトがしっかり生かされているように感じます。また、左側のハウジングには収納型のマイクを内蔵しています。

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↑Thermaltakeの最新ゲーミングヘッドセット『Level 10 M Gaming Headset』。Level 10シリーズ同様、BMW Group DesignworksUSAによるデザインを採用しています。
 

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↑ハウジング部は四角形に近い独特なデザインとなっています。
 

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↑左ハウジングには、収納式のマイクを内蔵。マイクは直線的なデザインとなっています。

 ベースとなる部分は金属製となっていますが、アルミニウムを採用しているので、見た目以上に軽量です。また、アルミニウムのベースを採用することで、剛性もしっかりしていながらかけ心地が良く、長時間のゲームプレーでも疲れが少ないとしています。そして、Thermaltake製の周辺機器らしく、LEDを内蔵し、ハウジング部が鮮やかに輝くようにもなっています。もちろん、発色は自由に変更できるようです。本体カラーは、ブラックとホワイトの2色が用意されます。

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↑ヘッドバンドやハウジングのベースとなる部分は、アルミニウムを採用。見た目よりかなり軽く、かけ心地は抜群です。
 

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↑イヤーパッドも素材にこだわり、疲れにくいように配慮しているそうです。
 

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↑ハウジング外部の赤い部分は、LEDで光るようになっています。また、発色も自由に変更できます。
 

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↑カラーは、ブラックとホワイトの2色が用意されます。

 今回公開されたのはエンジニアリングサンプルで、実際に動くものではありませんでした。そのため、サウンド再生能力やLEDの発色などは確認できませんでした。また、搭載するドライバーユニットなど、詳しい仕様も公表されていません。ただ、Level 10シリーズということなので、登場時には十分に満足できるクオリティーが実現されているものと考えていいでしょう。発売は6月ごろを予定しており、価格は149ドル前後となるそうです。

●Dio Systems 『Sixth Sense』

 韓国Dio Systemsが開発した、大画面スマホを快適に利用できるグッズ、それが『Sixth Sense』です。大画面スマホの裏側に取り付けるジャケットタイプのグッズですが、最大の特徴は、裏面にスマホ操作用のボタンやタッチパッドが用意されているという点にあります。大画面スマホを片手で操作する場合に、指が操作したい場所まで届かずに、結局両手で操作するはめに、といったことを経験したことのある人も多いのではないでしょうか。しかし、このSixth Senseを使えば、それも解消です。裏面のタッチパッドとボタンで、液晶面を触ることなくスマホが操作できるようになるのです。

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↑大画面スマホを快適に操作できるグッズ『Sixth Sense』。裏面のタッチパッドとボタンでスマホが操作できるようになります。
 

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↑四角いタッチパッドと3個のボタンが用意されています。スマホに取り付けると、UBS接続の標準入力デバイスとして認識され、マウスとほぼ同等の動作を実現します。

 仕組みは簡単で、スマホにこのSixth Senseを取り付けると、裏面のタッチパッドとボタンがUSBマウス相当としてスマホに認識されます。それにより、スマホを操作できるようになるというわけです。Android標準ドライバーで動作するために、専用のドライバーは不要でなのもうれしいところです。今回展示されていたのは、SamsungのGALAXY Note II用のジャケットに取り付けられていたものですが、内部のユニット自体は汎用で、ジャケットを変えればどのスマホでも利用できるそうです。

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↑スマホを起動して、タッチパッド下のボタンをクリックすると、スマホがSixth Senseを認識し、操作できるようになる。
 

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↑展示されていたのは、SamsungのGALAXY Note II用のジャケットでしたが、ジャケットを変えればどのスマホにも対応できるそうです。

 実際に操作してみましたが、ホーム画面の切り替えや、アイコンを選択したアプリの起動、ブラウザー利用時の上下の画面スクロールなど、思った以上に快適に利用できました。これがあれば、指が届かずにイライラする、といったことも確かになくなりそうです。

 このSixth Senseは、電力消費がかなり少なく、バッテリー駆動時間を大きく損なうことはないとしています。また、スマホがスリープ時には電源供給が遮断されるため、バッテリーは消費しません。スリープからの復帰直後は、ボタンを押さなければ認識されませんが、ボタンを押して1秒ほどで使えるようになるので、待たされる感覚もほぼありません。

 ちなみに、このタッチパッドは静電容量方式ではなく、パッドの四隅に感圧センサーを配置した特殊な構造をしたものだそうです。しかし、実際に操作した感覚では、静電容量方式のタッチパッドに近い操作性が実現されていました。

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↑タッチパッドは、四隅に感圧センサーを配置した特殊な仕様となっているとのこと。ただ、操作感は思ったほど悪くありませんでした。

 韓国ではすでに発売中で、価格は32ユーロ(2800円前後)だそうです。日本でも大画面スマホが増えていますので、発売を期待したいところです。


●Shuttle 2.5インチHDDを8台搭載したキューブベアボーン

 最後に、ちょっと変わった仕様のキューブPCが展示されていたので、そちらを紹介しましょう。キューブベアボーンでおなじみのShuttleブースに展示されていたものです。ベースとなるキューブPCは、『SH16R4』と発売済みのモデルですが、5インチベイに2.5インチリムーバブルベイを4個搭載するアダプターを利用して1TBの2.5インチHDDを4台取り付け、さらにケース内のシャドーベイにも1TBの2.5インチHDDを4台取り付けた、8台のHDDを搭載したキューブPCとして展示されていました。

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↑Shuttleは、キューブベアボーン『SH16R4』に、2.5インチHDDを8台搭載して展示していました。
 

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↑5インチベイには、2.5インチリムーバブルベイ×4のアダプターが取り付けられて、ここに1TBのHDDを4台搭載しています。
 

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↑内部のシャドーベイにも、1TBの2.5インチHDDを4台搭載して、合計8台のHDDを搭載していました。

 マザーボードには、SATAポートは4個しか用意されていませんので、2.5インチリムーバブルベイ×4に取り付けたHDDは、4ポート対応のPCI Express SATA RAIDカードに接続されていました。小型のキューブPCではありますが、合計8TBのHDDを搭載すれば、利用用途はかなり広がりそうです。また、今後2.5インチHDDの容量が増えれば、映像などの大容量データを多数保存するサーバー用途としても、十分に活用できるでしょう。

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↑SH16R4のマザーボードは、SATAポートが4個のみなので、リムーバブルベイのHDDは、4ポート対応のPCI Express SATA RAIDカードに接続しています。
 

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↑RAIDボリュームも含め、広大なストレージ環境が実現されています。これなら、コンパクトなホームサーバー用途に最適ですね。

 このPCは、小型のキューブPCでも、2.5インチHDDを利用してこういったことができますよ、ということを見せるためのもので、このまま販売することはないそうです。それでも、小型のキューブPCでも、工夫をすれば様々な用途に使えることを示すには、なかなかいい展示だったのではないでしょうか。

■関連サイト
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