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Ultrabookインタビュー「“All day”は9時間ぐらい」:CES2013

2013年01月10日 14時20分更新

 CES2013で大きな注目を集めるカテゴリのひとつがUltrabookだ。1月7日のインテルプレスカンファレンス(こちらの記事を参照)でも、第3世代Coreプロセッサー搭載の新製品に加え、第4世代Coreプロセッサー『Haswell』世代のプロトタイプが披露され、大いに注目を集めた。

 Ultrabookの最新状況はどうなっているのか、米インテルのUltrabook担当プロダクトマネージャー、Anand Lakshmanan氏にグループインタビューの機会を得たので、さまざまな質問をぶつけてみた。

インテル:CES2013
↑米インテルのAnand Lakshmanan氏。

(聞き手は筆者を含むグループインタビューの参加者)

――昨年のCESに比べて、CES2013ではUltrabookの数が爆発的に増えていますね。

Lakshmanan氏:インテルにとって、UltrabookはCES2013で最も力を入れている製品のひとつです。CES2013の時点で、さまざまなOEMから140機種ものUltrabookが発表されており、そのうちの40機種はタッチに対応しています。たとえばタブレットに変形できるコンバーチブル型として、日本でも人気の高い『VAIO Duo 11』が、世界で最も薄いUltrabookとしてAcerの『Aspire S7』などがあります。

インテル:CES2013
↑CES2013のソニーブースに展示されたVAIO Duo 11。キーボード側がシルバー色の新モデル。
インテル:CES2013
↑Digital Experience会場に展示されたAcerのAspire S7。

 1月7日に開催したインテルのプレスカンファレンスでは、プロセッサーやUltrabookについての最新情報を提供しました。まず、現行の第3世代Coreプロセッサー(Ivy Bridge)に、消費電力の低い7Wモデルを追加します。これは、薄くて軽いUltrabookを設計したいOEMにとって、願ってもないプレゼントとなるでしょう。

 次にやってくるのは、2013年の年末商戦への投入を予定している第4世代Coreプロセッサー『Haswell』です。バッテリー駆動時間が大幅に長くなり、バッテリー駆動で一日中使えるようになります。タブレットに変形するコンバーチブル型、タブレットとキーボードが分離可能なデタッチャブル型、あるいは従来からあるクラムシェル型のあらゆるUltrabookで、真のモバイルコンピューティングが実現可能になるはずです。

インテル:CES2013
↑プレスカンファレンスでは、Haswell世代のUltrabookについての概要やプロトタイプが紹介された。

――現在、Ultrabookにはタッチ対応のものと、非対応のものが混在しています。しかしインテルは、Haswell世代のUltrabookでタッチ対応を必須要件にすると発表しました。Ultrabookでタッチ対応が必要な理由とはなんでしょうか?

Lakshmanan氏:最大の理由はWindows8への対応です。Windows8では新しいModern UIのインターフェースにより、タッチ操作への対応が充実しています。今日でさえ、Windows8のModern UIを見たユーザーは、画面に触れてみようとするでしょう。ましてHaswell世代のUltrabookが登場する2013年末ともなれば、ほとんどのコンピュータがタッチ対応になっているものとインテルは考えています。もちろんOEMにとっても、競争力のあるPCを作るためにタッチに対応することは当たり前になっていくでしょう。

――日本では移動中のあらゆる場所で通信をしたいという需要が高まっています。Haswell世代のUltrabookで、3GやLTEといったワイヤレスWANを必須要件としないのはなぜでしょうか?

Lakshmanan氏:技術的には、Ultrabookにモデムを搭載して3GやLTE通信に対応させることは可能です。しかし世界にはさまざまな通信規格が存在し、国によって通信に関する事情は異なります。たとえばキャリアとの契約をどうするのか、といった問題があります。一方で、Ultrabookのユーザーの多くがスマートフォンも使っています。スマートフォンは、すでに3GやLTE通信に対応しています。このことから、スマートフォンとUltrabookを組み合わせて、接続を共有するのが合理的ではないでしょうか。もちろんOEMは必要に応じて、3GやLTE通信に対応したUltrabookを自由に作ることができます。しかしインテルとしては、そういった地理的な事情に左右される機能をUltrabookの要件に含めることには慎重にならざるを得ません。

――インテルのプレスカンファレンスでは、タブレットとキーボードを分離可能なデタッチャブル型のUltrabookも紹介されました。今後、純粋なタブレット製品「ピュアタブレット」のUltrabookというのはあり得るのでしょうか?

Lakshmanan氏:たしかに、コンバーチブル型やデタッチャブル型のUltrabookでは、タブレットとして使えるものが多数登場するでしょう。しかしピュアタブレットは、Ultrabookとは明確に異なるカテゴリーです。なぜなら、Ultrabookには完全なPC体験が求められ、かつ完全なPC体験には物理的なキーボードが必須だとインテルは考えているからです。このことから、物理的なキーボードがなかったり、別売りになっているタブレットは、Ultrabookとしては存在できないでしょう。

インテル:CES2013
↑プレスカンファレンスで披露されたHaswell世代のUltrabookも「デタッチャブル」型。

――最近では14~15インチという大型のディスプレーを搭載したUltrabookが増えています。これはUltrabookのイメージと異なるように思えますが?

Lakshmanan氏:我々もまさにその問題をよく議論しています。当初、Ultrabookは11~13インチのディスプレーを搭載した、比較的小型の製品しかありませんでした。しかし、Ultrabookの種類が多様化するにつれ、大型のディスプレーを搭載したUltrabookも増加しています。しかしながら、インテルはUltrabookの要件を明確に定義しており、たとえ15インチのUltrabookでも例外ではありません。たとえばインテルのプレスカンファレンスでは、カーク・スカーゲンがNECのLaVie Xをご紹介しました。このような製品が出てくる日本のマーケットは、本当にすごいと感じています。15インチで12.8ミリというのは信じられません。もちろん、インテルが定めた14インチ以上のUltrabookに求められる要件を完全に満たしています。

インテル:CES2013
↑従来のぶ厚いノートPCと、NECのLaVie Xを比較するカーク・スカーゲン氏。

――Windows8で最も注目すべき機能のひとつはConnected Standbyだと考えています。Connected StandbyがUltrabookにもたらすインパクトとは、どのようなものでしょうか?

Lakshmanan氏:Haswell世代のUltrabookでは、Windows8のConnected Standbyに完全に対応します。一方で、似たような機能としてインテルは「スマート・コネクト・テクノロジー」を提供しています。どちらもキーワードは「フレッシュデータ」です。使っていないときでも、メールやメッセージの着信など、最新情報をPCが受け取れるようになることが重要です。これはスマートフォンやタブレットでは当たり前の機能です。Connected Standbyとスマート・コネクトのどちらを搭載するかは、OEMが決定できるようになるでしょう。いずれにしても、Haswell世代のUltrabookはフレッシュデータによるスマートなユーザー体験を実現します。

――Haswell世代のUltrabookは“All day”のバッテリー駆動が要件として挙げられています。しかし、英語と日本語のニュアンスの違いかもしれませんが、これは「24時間」にも感じられます。“All day”とは具体的にどれくらいの長さなのでしょうか?

Lakshmanan氏:英語の“All day”とは、一般的な労働時間である8時間を想定しているものと思って良いでしょう。インテルではさらに余裕をみて、Haswell世代のUltrabookに9時間のバッテリー駆動を期待しています。つまり“All day”とは、9時間の動作を考えてもらってよいでしょう。普通、24時間働くことはあり得ませんよね(笑)。

――ありがとうございました(笑)。

■関連サイト
Intel at CES 2013
Intel at CES 2013 Live Press Event

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