あけましておめでとうございます。2012年はいよいよWindows 8が発売され、10月以降は毎週のように新しいPCが登場するという慌ただしい年末となりました。この流れを受けて、2013年はWindows8の本格的な普及が期待できそうです。
今回は2013年最初の連載ということもあり、Windows8対応PCについて昨年を振り返りつつ、新年の動向を予測してみたいと思います。
■コンバーチブルUltrabookが続々登場
2012年は、Ultrabookが大きく躍進した1年だったと言えるでしょう。初期のUltrabookは、11インチや13インチクラスのモバイルノートという印象がありました。しかし3月のCeBITではインテルによるタッチ対応Ultrabookのプロトタイプが登場、6月のCOMPUTEX TAIPEIではOEM各社からWindows8を視野に入れた多くのコンバーチブルUltrabookが登場しました。
↑COMPUTEX TAIPEI 2012でコンバーチブルUltrabookが多数登場。 |
コンバーチブル型の特徴は、タブレットに変形できることです。ディスプレーが360度回転するタイプとして、パナソニックの『Let'snote AX2』や、レノボの『IdeaPad Yoga 13』が登場しました。
↑パナソニックの『Let'snote AX2』。 |
↑レノボの『IdeaPad Yoga 13』 |
ディスプレーがスライドするタイプとしては、ソニーの『VAIO Duo 11』や東芝の『dynabook R822』があります。デルの『XPS 12』のように、ディスプレー部分だけが回転するタイプも印象的でした。
↑ソニーの『VAIO Duo 11』。 |
↑デルの『XPS 12』。 |
■最軽量・最薄Ultrabookのインパクト
しかしUltrabookは、コンバーチブルだけがすべてというわけではありません。従来型(クラムシェル型)のUltrabookも、大きく進化しました。
たとえばNECは、世界最軽量の『LaVie Z』や、15インチで世界最薄の『LaVie X』といったクラムシェル型のUltrabookを発売しました。Acerはタッチ対応で世界最薄の『Aspire S7』を、ASUSは両面ディスプレーの『TAICHI』をそれぞれリリースしており、台湾メーカーの技術力もどんどん高まっています。
↑15インチ世界最薄の『LaVie X』。 |
↑875グラムと世界最軽量の『LaVie Z』。Windows 8モデル。 |
↑AcerのAspire S7シリーズの11インチモデル。13インチモデルは世界最薄。 |
■タッチ対応は本当に必要?
Windows8世代のPCにおいて、タッチ操作に対応するかどうかは興味深いテーマと言えます。タッチに未対応のWindows7世代のPCをWindows8にアップグレードしたユーザーからは、「Windows8のメリットが感じられない」という声も聞こえてきます。やはりWindows8のModern UIやWindowsストアアプリを快適に使うには、タッチ操作が適しています。そういう意味では、Windows8世代のPCにタッチ操作は必須と考えることもできます。
その一方で、日常的なPCの利用シーンにおいて、タッチが必要不可欠という場面はそれほど多くありません。Windows8においてもデスクトップアプリを利用する機会が多く、キーボードとマウスによる操作でなんの不満もない、といったユーザーも少なくないでしょう。このことから、タブレットのように特定のフォームファクターを除けば、タッチ操作は必須ではない、と考えることもできます。
現時点で筆者は、デスクトップアプリを中心に利用するのであれば、タッチ対応かどうかを意識せずPCを選んでもいいのではないか、と考えています。たとえば12月11日にレノボは米国で『ThinkPad X1 Carbon』のタッチ対応モデルを発表しました。しかし厚さは2.8ミリ、重さは180グラム増えています。たしかにタッチ対応は魅力的ですが、サイズアップを許容するかどうかは意見の分かれるところでしょう。
↑タッチに対応したレノボの『ThinkPad X1 Carbon Touch』。 |
あるいは、必ずしもディスプレーへのタッチ操作だけがすべてではありません。タッチ操作のためには、ディスプレーに手が届く距離に座っていなければなりません。これに対してNECはWindows8対応デスクトップPCの一部に、タッチ操作に対応したリモコンを採用しています。ディスプレーから離れた位置からも、リモコン上のタッチパッドを利用してWindows8を操作できるわけです。
↑タッチ操作にリモコンを採用したNECの『VALUESTAR N』。 |
今後、タッチ対応モデルは本格的に普及するのでしょうか? 2012年末の時点では、発売されたばかりのWindows8対応モデルよりも、値下げされたWindows7対応モデルのほうがお買い得という状況が続いていました。しかし今後、新しいPCへの買い換えが進むにつれて、Windows8が普及するはずです。それに伴って、徐々にタッチ対応モデルが増えていくことは間違いないでしょう。
■Clover Trailタブレットが登場、後半はHaswellも
このように2012年に大きく進化したUltrabookですが、2013年後半から再び大変化が訪れるかもしれません。それがインテルによる第4世代のCoreプロセッサー“Haswell”の登場です。
Haswellでは特に電源管理の強化が見込まれており、Windows 8対応Ultrabookをスマートフォンやタブレットのように使える“Connected Standby”に対応する予定です。すでにConnected Standbyは、Haswellの電源管理を先取りした最新のAtomプラットフォーム“Clover Trail”で実装されています。
2012年末には、富士通の『ARROWS Tab Wi-Fi QH55/J』やAcerの『ICONIA W510』、HPの『ENVY x2』などのClover Trail搭載タブレットが発売されました。2013年1月以降、レノボやASUSのタブレットも登場する見込みです。
↑富士通の『ARROWS Tab Wi-Fi QH55/J』。 |
↑HPの『ENVY x2』。 |
Clover Trailタブレットでは、すでにConnected Standbyを利用することができます。これまでのタブレットPCでは、使用しないときはスリープや休止状態に移行する必要がありました。しかしConnected Standbyでは、電源ボタンを押すと一瞬で画面がオフになり、もう一度電源ボタンを押すと一瞬で復帰します。
これは単にディスプレーの電源が切れただけでなく、デスクトップのアプリなどの動作が停止した、一種のスリープ状態となっています。1週間以上の待機が可能なほど、消費電力は下がった状態です。しかし再生中だった音楽はそのまま鳴り続けるなど、一部のタスクについては継続されるのが特徴です。また、WiFiへの接続は維持されており、メールの受信やSkypeの着信に対応できます。
このように、Connected Standbyに対応したWindows8タブレットなら、スマートフォンやタブレットと同じ使い勝手を実現できると言えます。HaswellによりConnected StandbyがUltrabookにも搭載されることで、いよいよPCのスマート化が加速していくものと思われます。
■1月はCES、そして2月のMWCへ
2013年は、1月8日よりラスベガスで開催されるInternational CES 2013が最初の大きなイベントとなりそうです。筆者も現地取材に赴き、会場から最新ニュースをお送りできる見込みです。残念ながらマイクロソフトの基調講演やブース展示はありませんが、Ultrabookを始めとする様々なPCに期待しています。
↑CES2013、もちろん筆者も参加します! |
また、2月のMobile World Congressでは、Windows Phone 8についての新情報が提供されるかもしれません。Windows Phone 8については、CESの後に2013年の展望をまとめてみたいと思います。
山口健太さんのオフィシャルサイト
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