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「見出しから作る」がライティングの基本――迷わず書くための文章術(1)

2013年01月02日 15時00分更新

 本記事は、誰でもできる上手な文章の書き方を解説した本『Webライティング実践講座』(関連サイト:Amazon)から、一部を抜粋したものです。ブログや仕事で活かせるテクニックがいろいろ紹介されているので、気になった方はぜひどうぞ。

迷わず書くための文章術(1)

 

「見出しから作る」がライティングの基本

 よほど専門的な分野でない限り、日本語の会話で困ることはありません。買い物もできるし、道に迷っても親切そうな人に聞けば教えてもらえます。作文に苦手意識を持つ人はたくさんいますが、それでも日本人なのだから時間をかければ文章くらいは書ける、と思っている人が大半です。

 ところが、企業のブログやTwitter担当になると、多くの人が日本語への自信を失ってしまいます。一生懸命ブログを書いても話題にすらならず、Twitterで面白いと思うことを書いても見向きもされません。宣伝費を減らすためにブログを始めたのに、結局は広告代理店に高額なブログ更新料を払う会社もあります。講師の所属企業のソリューションを紹介するだけの無料セミナーで金曜日の夜を無駄に過ごす人もいます。ライティングの本を読むと「結論を先に書く」「一文を短くする」などの法則が書いてありますが、「結論が思い浮かばないから困っている」「短くする以前に一文字も書けない」といった問題は解決しません。しかもWeb上のコンテンツなので、担当者が変わってからコンバージョン率が下がった、最近Googleの上位に表示されなくなったなど、文章の出来・不出来が客観的に評価されてしまいます。


■ライティングとWebライティング

 本書では、ライティングとWebライティングを分けて考えます。ライティングとは作文のことです。ただし、本書で扱うライティングは仕事のための作文です。学校の作文とは違って、だれかが読んだとき、わかりやすい、面白い、と思ってもらえる文章を書くことが大切です。学校教育の作文では、文章が論理的に構成されているか、誤字脱字がないかが重視されます。先生が面白いと思えば作文コンクールに推薦されますが、面白くなくても点数はもらえます。そもそも小中学校の作文は読書感想文や夏休み、修学旅行といったテーマが決まっており、どの生徒でも何か書けるように工夫されています。高校や大学入試の小論文になると内容の自由度は上がりますが、公平に評価する必要があるので、論理的構成力や誤字脱字の少なさが重視されるのは小中学校と同じです。

 ごく普通の日本人にとって、内容が重視されるのは大学の卒論からです。しかし、卒論は学生としての研究成果をまとめるのが目的ですから、文系なら標準的な学説や文献を積み上げて自分の意見を述べたか、理系なら仮説を実験によって検証できたかが評価されます。マスコミを志望する学生でさえ、「どうすれば大衆を煽る見出しを作れるか」を大学で教わることはありません。社会人になって初めて、人に文章を読んでもらうためのテクニックを習っていなかったことに気付くのです。

 Web上のコンテンツを最初に読むのはおそらく人間ではありません。Googleが検索インデックス作成用に動かしているロボットだったり、ページの更新を確認に来るRSSリーダーだったりします。そこで本書では、Webライティングを「Webに特化したライティング」と定義します。すでにWebライティングに関する書籍は多くありますが、「Web」と付いているのに従来の作文技法から一歩も抜け出していない本も見かけます。人に読んでもらうための「ライティング」をベースに、機械にも読ませるためのテクニックが「Webライティング」です。

 Googleのアルゴリズムが変更され、コンテンツの面白さがますます重視されています。といっても、Googleのアルゴリズムは面白さを理解できません。同じサイトのほかのページと比べた直帰率、似たサイズのコンテンツと比べたときの閲覧時間、FacebookやTwitterでの拡散度合いなど、さまざまな指標を組み合わせることで、面白さを評価しているはずです。したがって、人間相手に文章を作るライティングのテクニックはWebでも有効です。一方で、たったいまどんなキーワードの検索数が多いのかがわかるツールの存在、検索結果の見出しは最大35文字しか表示されないといったWebならではの制約事項は、「ライティング」とは別の「Webライティング」というテクニックを生み出しました。これまでのテクニックも大事だけど、WebにはWebのやり方もあるよね、というのが本書の立場です。


■必ず見出しから書く

 小中学校の作文や高校、大学入試の小論文、採用試験の課題論文はテーマが決まっているのでタイトルは重視されません。一方で、Webライティングでもっとも重要なのは見出しです。

 見出しは、英語でheadlineといいます。19世紀から20世紀初頭にかけての新聞を見ると、1行目が2行目以降よりも大きく書かれているのがわかります。新聞を街頭や駅でたくさん売るために、1行目(headline)を大きくして内容を大げさにアピールしたのが見出しの始まりです。Webコンテンツで見出しが重要なのも同じ理由です。検索エンジンには本文まで表示されませんし、ニュースサイトでもTwitterでもFacebookでも、見出しを見て読むかどうか決めているはずです。見出しが魅力的でなければ発表時に多くの人は訪れず、検索エンジンかソーシャルメディア経由でじわじわと評価されるのを待つしかなくなります。そこで本書は、1章を次のように構成しました。

 Web上のコンテンツは、必ず見出しが読まれて、本文を読むかどうかが判断されます。したがってWebライティングでは、本文を書くのと同じくらいの労力をかけて、見出しを作る必要があります。

 見出しでユーザーに関心を持ってもらうには、本文だけではなく、見出しそのものにニュース性や、驚き、起承転結でいえば「転」が欠かせません。そこで本書では、1.2で「転」のある話の「ネタ」を量産する方法を紹介します。「転」のあるネタを考えたら、検索エンジン、ソーシャルメディア、サイト内回遊のどこから集客するのかに合わせて見出しを作ります。1.3では、見出しを3種類に分けて、集客方法の違いに応じて書き分ける方法を説明します。

 見出しを決めたら、書きながら考える効率の悪い方法で本文を書かずに済むように、あらすじを作りましょう。1.4では、ズームイン、ズームアウト、パンという3つのカメラワークでテーマをわかりやすく述べるためのあらすじの作り方を解説します。

 わかりやすい文章のあらすじは、カメラワーク型以外にも、アメリカ式の「主張→理由→結論」型、日本式の「背景事情→結論」型があります。1.5ではそれぞれの長短を説明して、使い分けるときの基準を示しました。

 わかりやすい文章と面白い文章は別です。1.6では、面白い文章を書くための書き出し語の考え方を紹介し、面白い文章に共通している話の運び方を明らかにします。

 わかりやすくて面白い文章でも、表現が回りくどかったり、敬語の使い方が間違っていたら興ざめです。1.7では、文意を変えずに文章を圧縮し、濃密で無駄のない文章への直し方を、ステップバイステップの方法論として説明します。1.8では、細かい敬語のルールではなく、動作の主体に注意して、敬語を適切に使い分ける方法を説明します。

 まず「転」を考え、見出しを書き、見出しで期待される文章のあらすじを作り、読み手の想像を超える言葉で文章を書き始めて、ユーザーの期待をいい意味で裏切り、最後まで読んでもらう。本書で紹介するテクニックを身につければ、だれでもWebライティングが上達します。

 

 さらに詳しく知りたい方はこちらの本で。

■関連サイト
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